各国の電力概要

イタリア(2022)

2022-08-31

1.エネルギー供給


石 炭
石 油ガ ス原子力水 力その他自給率
国内生産-5.93.3-4.122.035.2
国内供給5.143.359.3-4.126.7137.5

(2020年、石油換算100万トン)

 

 

2.電力供給

発電電力量
(10億kWh)
構成比(%)
石 炭石 油ガ ス原子力水 力その他
280.0544801826

(2020年、発電端)

 

年負荷率熱効率送配電
損失率
CO2SO2
排出量
NOX
排出量
(%)(%)(%)原単位
(g/kWh)
総排出量
(百万トン)
(g/kWh)(g/kWh)
56.1N/A5.8265.172.00.020.10

(2020年)

(注)SO2排出量、NOx排出量は2019年
 

電気料金水準
(日本=100、2020年)
停電時間
(分/年間、2016年)
産業用家庭用
10611364.89

 

 

3.電気事業体制

事業再編ベルサーニ政令(1999年)に基づき事業再編。ほぼ独占であった国有企業エネル社(ENEL)を持ち株会社に改め、発電、送電、配電、小売など機能別に分社化。政府は株式を1999年以降段階的に放出し、2021年末現在23.6%を保有。
発 電自由参入。2003年に発電・輸入部門で1社シェアが50%を上回ることを認めず、エネルに1,500万kWの設備売却を義務付け。2021年の総発電量に占めるシェアは、エネル・グループ17.5%、Eniグループ9.4%、エジソン・グループ6.2%など。
送 電エネル送電部門から独立したTernaが設備所有および系統運用。
配電・供給エネルが配電シェアの85%。供給事業者を変更しない家庭用需要家には規制料金が適用。エネルギーサービス管理会社GSEの100%子会社「単一購入者(AU)」が相対取引や電力取引所を通じて電力を購入し、配電事業者に卸売り。

 

4. 最近の動向と今後の課題

(1)自由化・事業体制

  •  自由化:2007年7月に家庭用も含め全面自由化。
  •  事業再編:エネルの分割民営化は前述のとおり。他事業者では、ボローニャ、フェラーラ、パドヴァ、モデナなどの11公営事業者が2002年に合併し、電力・ガス、水道・廃棄物処理事業の「Heraグループ」を設立。小売供給シェアは国内5位。
  •  エネルの海外展開:2007年にスペイン建設会社アクシオーナと共同でスペイン第一の電力会社エンデサを買収。2009年にはアクシオーナ所有のエンデサ株を取得し、出資比率92%に。中・東欧ではスロバキア電力会社(SE)、民営化されたルーマニア3配電会社、ロシアUESから分割・民営化された卸発電事業者OGK-5などを取得。またエンデサ買収で中南米進出も。最近は巨額の負債削減、成長の見込まれる中南米事業強化のため、エンデサ株21.92%を放出(現保有株70.14%)。SE株も2016年に半分を売却し、2020年時点で、SE株の66%を保有するSPH社の株式50%を保有。
  •  債務危機再燃により、電力消費は2011年秋以降、低下を続け(2012年-2.1%、2013年-3.2%、2014年-3.0%)、2015年にようやく増加に転じる(+1.5%)。
  •  最大電力:従来の冬ピーク型から2006年以降は夏ピーク型に移行。景気の低迷などで最大記録は暫く更新されなかったが、猛暑などにより2015年に8年振りに記録更新。2018年の最大電力は5,777万kWであった。
  •  規制料金:家庭用および小口業務用に適用されている規制料金が2019年7月1日から廃止予定であったが、実施の延期が繰り返されている。2022年8月現在、2023年1月1日に廃止予定となっている。

 

 

(2)原子力政策・開発
 

  •  1987年:国民投票結果を受け、政府は5年間の原子力モラトリアム導入。1990年には既設の原子力発電所の閉鎖を決定。建設も中止。現在、運転中の原子力発電設備なし。
  •  2004~2009年:ベルルスコーニ政権が原子力再導入に転換。①海外での原子力発電事業への参加を容認する法律、②国内での原子力開発を認める法律、③原子力施設の立地許認可手続などに関する法律を次々と制定。エネルと仏EDFは4基のEPR建設で合意。
  •  2011年6月:国民投票で原子力再開関連法に90%が反対。政府は新規建設を断念。

 

 

(3)気候変動対策

① 政策目標の動向

  •  EUの温室効果ガス(GHG)排出削減目標(2050年:カーボンニュートラル、2030年:1990年比55%削減)を加盟国として共有し、具体的な方策はEUの包括的政策に基づき今後策定する予定。
  •  温室効果ガス削減目標:2030年までに2005年比33%。
  •  石炭火力を2025年までに停止することを決定。
  •  省エネ:2005年から省エネ証書制度を導入。需要家数5万軒以上の電力、ガス供給事業者に省エネ義務量を割当て。2017年4月に発表された新たな省令により、省エネ義務量は電力・ガス部門合計で、2017年・石油換算714万トン、2018年・同832万トン、2019年・同971万トン、2020年・同1,119万トンとなっている。

 

② 再エネ政策

  •  2020年目標:最終エネルギー消費に占める比率を17%、総発電電力量に占める比率を26%に設定。2020年実績はそれぞれ20.4%、38%となり、目標を達成。
  •  2030年目標:最終エネルギー消費に占める比率を30%、総発電電力量に占める比率を55%へ拡大。太陽光5,200万kW、水力1,930万kW、風力1,930万kW(うち洋上風力90万kW)を開発する計画。
  •  再エネ奨励策:2002年から再エネ利用基準制度(RPS)、2005年から太陽光のみを対象とした固定価格買取制度(FIT)を導入。FITは2009年以降、他の小規模再エネ電源、さらに2013年以降は5,000kW以下の全設備に適用(5,000kW以上はオークション)。RPSは2015年に廃止されFITに一本化。なお、太陽光へのFITは2013年の支援枠上限達成を受けて適用終了。

 

③ 水素・アンモニア政策

 2020年に発表された「国家水素戦略」では、2030年までに500万kWの水電解装置を導入し、最終エネルギー需要に占める水素の割合を2030年までに2%、2050年までに最大20%にする目標が掲げられる(2020年時点では約1%)。

 

 

(4)電化

① 電化の進展状況

2020年の住宅部門の電化率は18.6%で、52.0%を天然ガスが占める。

 

 

② 電化促進に向けた政策

  •  2030年までに600万台のEV導入を目標とする。
  •  政府は2022年4月、2022~2024年のEV・ハイブリッド車・低炭素車の購入に対する補助に合計6億5,000万ユーロを充てることを発表。

 

 

(5)その他

① ウクライナ侵攻の影響

ロシア産天然ガスへの依存脱却のために、アルジェリアからの天然ガス輸入量増加を図る。2022年7月には、アルジェリアからイタリアへ年間40億立方メートルのガスが追加輸出されることに両国が合意。

 

 

② エネルギー価格高騰への対応

  •  2021年夏以降、家庭および中小企業向けのガス・電気料金高騰抑制対策を行う。具体的には、ガスと電気料金に適用されている「システムコスト(再エネ電力支援、原子力発電所廃炉費用等に充てられる課徴金)」の一時的な廃止、天然ガスに課税される付加価値税(VAT)の最大22%から5%への引き下げ等。イタリアは一次エネルギー消費に占めるガスの割合が40%と高いため、ガス価格高騰による影響が大きい。
  •  2022年8月には、エネルギー価格高騰緩和のために、新たに170億ユーロの政策パッケージを採択。同目的のために、政府はこれまでに350億ユーロを拠出している。

 

 

※ 2022年8月時点の情報。
※ 数値の一部に四捨五入等を原因とする不突合がある。
※ 供給体制図はあくまで大まかな様子を表すもので、細部まで正確ではない場合がある。