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2019 年度

海外電力調査会が収集した世界各地の電気事業情報を、エリア別、項目別にフィルタリングできます。各年度毎の表示となります。

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2019年度

2020.03.31
韓国:新型コロナウイルスの救済措置として中小企業の電気料金を減免
産業通商資源部(MOTIE)は 2020年3月31日、新型コロナウイルスの流行を受けて特別被害地域と宣布された大邱(Daegu)、慶北(Gyeongbuk)地域において、サービス業を中心とした中小企業に対し、2020年4~9月の電気料金の50%を減免する救済措置を発表した。なお、減免額の上限は、毎月最大60万ウォン(約5万4,000円)とされている。そのほかの地域では、小規模のサービス業や低所得層世帯を対象に3カ月の料金支払猶予が認められるとされている。
2020.03.27
米国:EPA、新型コロナウイルスを考慮して環境規制を一時的に緩和
2020年3月27日付の業界紙によると、米環境保護局(EPA)は3月26日、新型コロナウイルス対策として環境規制を順守できない場合において、ペナルティを課さないことが認められる一時的な緩和策を発表した。これは、コロナウイルスによる直接ならびに間接的な労働力減少、移動制限、ソーシャル・ディスタンスの確保等の制約により、環境管理業務が通常通り遂行できないといった懸念への対策である。ただし順守できなかった場合には、コロナウイルスの影響が原因であることを説明することが要求される。対象となる業種は特定されていないが、火力発電所の水質や排ガス規制にも適用される 。
2020.03.27
米国:CA州、2030年の電気事業の排出削減目標を設定、再エネを倍増へ
エネルギー情報誌は2020年3月27日、カリフォルニア州(CA州)の公益事業委員会(CPUC)が2030年における電気事業のCO2排出削減目標を1990年比56%(4,600万トンにまで削減)として定め、目標達成のためには再生可能エネルギーや蓄電池の導入量を大幅に拡大する必要があると報じた。CA州では2030年の州全体での排出削減目標を40%としているが、太陽光など再生可能エネルギーの導入が進む電気事業の目標は、州全体の目標を大きく上回る。CPUCの試算では目標達成のためには2030年に2,500万kWの再エネ設備と蓄電池が必要で、これは現在の設備量を倍増させることになり、ガス火力を新設することは不可能になる。また目標設定に際して関係者から意見聴取を行った結果、州が目標とする2045年のカーボンニュートラル達成には今回の目標では不足するため、今後、排出目標を3,800万tにまで削減することを検討する可能性もある。CPUCは4,600万トンを目標とした場合の削減コストを年間457億ドル、3,800万tの場合はさらに年間11億ドルの追加コストがかかると試算している。高い排出削減目標を設定した際のコストについては、需要家だけではなく社会全体で負担すべきとの意見も出ている。
2020.03.26
米国:2019年の原子力発電量、前年に引き続き過去最大を更新
米国エネルギー情報局(EIA)は 2020年3月26日、同局のホームページにおいて、2019年の米国の原子力発電量が8,094億kWhと前年に引き続き過去最大を更新し、総発電電力量に占める割合が20%であったことを公表した。米国では2020年1月現在、96基・出力1億16万5,000kWの原子力発電所が運転を行っている。全米の30州に原子力発電所があり、そのうち12州においては発電電力量に占める原子力発電の割合が30%超、全米で最多11基の原子炉があるイリノイ州では54%に達している。米国内では、ジョージア州で2基の原子力発電所の建設が進められているほか、2020年3月には新たに2基の80年運転が原子力規制委員会(NRC)に承認されるなど、原子力発電を活用する動きが続いている。
2020.03.26
イタリア:Enel、従業員を対象としたコロナウイルスに対する保険加入
大手エネルギー事業者Enelは2020年3月26日、世界で勤務する同グループの従業員(約6万8,000人)を対象として、コロナウイルスに対する保険に加入したことを公表した。保険の内容は、従業員がコロナウイルスに感染した場合、さらに感染後に集中治療を受けた場合に、対象となる従業員に現金給付を行うものである。また、同社はイタリア国内におけるコロナ対策事業に2,300万ユーロ(約27億円)を寄付することを表明しており、その使途は医療機関へのベッド購入費用や国家市民保護局の感染予防活動への援助などである。
2020.03.25
デンマーク:Ørsted、新型コロナウイルス危機管理委員会を設置
エネルギー情報誌は2020年3月25日、洋上風力事業の最大手のØrstedが新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、Henrik Poulsen CEOをトップとする危機管理委員会を設置したと報じた。この対応は新型コロナウイルス感染拡大と政府の指導に基づくもので、出張や通勤の制限、在宅勤務の拡大、感染者の隔離、消毒の徹底など多くの予防的措置を実施している。現在のところ新型コロナウイルスによる事業への影響はないが、電力需要の低迷による卸電力価格の低下が考えられ、中期および短期の価格変動に対してはヘッジされているが、長期的な影響は不確実性もある。洋上風力発電の建設は通常通り行われているが、例えば洋上風力発電のメンテナンスにおいては、多国籍の人材がサービス船に詰め込まれている状態で、感染者が発生した場合には影響が生ずる。また、建設中の事業でサプライチェーンが滞って重要な部品の供給が行われないなどのリスクもある。
2020.03.20
イタリア:Enel、新型コロナウイルスによる事業への大きな影響はなし
エネルギー情報誌は2020年3月20日、イタリア大手電気事業者EnelのFrancesco Starace CEOのインタビュー記事を掲載し、「新型コロナウイルスの事業への大きな影響はない」との見解を報じた。イタリアは新型コロナウイルスの感染者が急激に拡大しているため、政府が封鎖措置を取るなど厳しい対策を取っている。EnelはスペインのEndesaに出資し、中南米諸国を中心に数多くの国で事業を行っているが、2015年以降のデジタル化への投資もあり半数の社員はリモートで働くことが可能で、また設備運用を円滑に行うことができる手順書を導入によって、今回のようなリスクにも十分対処可能としている。Starace CEOは再生可能エネルギーを中心としたエネルギー転換についても触れ、投資を加速する予定で、新型コロナウイルスによる影響はないと答えている。
2020.03.19
世界:2019年における新設洋上風力の国別導入量ランキングが発表される
2020年3月19日付の報道によると、世界風力会議 (GWEC)が2019年における洋上風力の導入量をまもなく発表する。GWEC関係者によると、2019年に新設された洋上風力の導入量は、前年比35.5%増の610万kWであった。2019年に新設した洋上風力導入量が多い国は、中国(239万5,000kW)、英国(176万4,000kW)、ドイツ(111万1,000kW)、デンマーク(37万4,000kW)、ベルギー(37万kW)、台湾(12万kW)、ポルトガル(8,000kW、浮体式)、日本(3,000kW、浮体式)であった。GWECは、米国、台湾、日本、ベトナム、韓国で導入が進み、2020~2024年に世界全体でさらに洋上風力が5,000万kW増加すると予測している。
2020.03.19
中国:石炭生産最大手、2月の石炭販売量は前年比22.1%減
現地業界紙によると、中国内の石炭生産最大手の神華集団は2020年3月19日、業績報告書を発表し、同年2月の石炭販売量が3,030万トンと、前年同期比22.1%の大幅減となったことを明らかにした。これは新型コロナウイルスによる経済活動の停滞によるものだが、同社によれば今期の販売量減少は一時的なものであり、企業の操業再開につれて石炭需要も徐々に回復すると捉えられている。しかし一方で、最近の原油安が石炭需要に大きな影響を与えているとも述べている。
2020.03.19
米国:太陽光発電産業、コロナウイルスにより重大な影響を受ける
2020年3月19日付のエネルギー専門誌によると、ワシントンDCを拠点とするNPOである太陽エネルギー産業協会 (SEIA:Solar Energy Industries Association) は2020年3月17日、コロナウイルスが太陽光発電産業に重大な危機をもたらしていると述べた。太陽光発電設備の部品はマレーシア、ベトナム、韓国、タイ、シンガポール等のアジア諸国から輸入しているが、サプライチェーンの崩壊により納入が遅延しているため、想定していた連邦税制控除を受けられない事態が発生する。また、工事の進捗が遅延していることも問題となっており、ルーフトップソーラーの据付けの際に家主が業者との接触を敬遠することや、大規模ソーラーの据付け時に作業員が一定の間隔を空けなければならないこと(州政府ルール)等が理由である。
2020.03.18
フランス:規制機関、原子力施設における検査を大幅に削減
フランス原子力規制安全局(ASN)は2020年3月18日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、国内の原子力施設における査察、検査を重要なものを除き大幅に削減すると発表した。また、放射性同位体を取り扱う医療機関に対する査察は、医療関係従事者の負担を避けるべく、当面の間見送るとしている。なお、ASNは全従業員がテレワークを実施中だが、緊急時の対応は通常通り実施されるとしている。
2020.03.18
PJM、最低入札価格制度(MOPR)に関する修正案を提出
米国の独立系統運用事業者であるPJMは2020年3月18日、連邦エネルギー規制委員会(FERC)に対して、容量市場の最低入札価格制度(MOPR)に関する修正案を提出した。PJMの提案が承認された場合、発電事業者はPJMと市場監視者のレビューを経ることで、規定の最低入札価格を下回る価格で入札することができる。同市場では、州の助成を受けた再エネ電源等が安値で入札するため、卸市場価格の下落が問題となってきた。このためPJMは2つの改善案を提案し、FERCに判断を委ねていた。FERCは2019年12月、このうちMOPR拡大案(助成を受ける電源にMOPRの適用を拡大する案)を採用するよう命じたが、再エネ業界からは、投資インセンティブが減退するとの懸念が示されていた。
2020.03.17
英国:Siemens、ロンドン市内で既存の街灯を利用したEV充電器の拡充プロジェクトを発表
ドイツ電機大手Siemensは2020年3月17日、英ロンドン市内にある全長約800mの大通りの街灯を改造し、EV充電器とするプロジェクト「エレクトリック・アベニューW9」を発表した。本プロジェクトにおいて同社は、ロンドンのSutherland Avenueに、ベルリン拠点のスタートアップUbitricity社の技術を活用した24台のEV充電器を設置する。さらに、今後数週間で隣接する道路にも設置範囲を拡大する予定である。Siemensの調査によれば、英国のドライバーの約3分の1が、ハイブリッド車または電気自動車への買い替えを計画しているが、そのうちの約40%が充電器の不足を購入の躊躇要因に挙げており、同社はこの取り組みがEV普及につながることを期待している。また、同社執行役員Cedrik Neike氏は、ロンドンの大気汚染の主要因が都市交通によるものであり、本プロジェクトは、既存の都市インフラを活用した問題解決を考える上で重要なショーケースであると述べている。
2020.03.16
中国:政府、送配電料金以外の電気料金を規制リストから除外
国家発展改革委員会(発改委)は2020年3月16日、国務院(日本の内閣に相当)の承認を経て、政府による価格規制対象品目の最新版を発表した。電気料金については、送配電料金のみが政府の規制対象に残った一方で、卸料金や小売料金は規制対象から除外された。新版は旧版(2015年)と比較して対象項目数が約30%削減されており、公共事業や、民生の重要なインフラの一部サービス以外は除外されている。発改委は、現状でも政府が価格設定に直接関与していない項目は全体の97%に達しているとしており、今後も市場化改革をさらに推進する方針を強調している。
2020.03.16
中国:新型コロナウイルスの影響で2020年1~2月の電力需要が大幅減
国家統計局および国家発展改革委員会は2020年3月16日から翌17日にかけて、同年1~2月の電力関連の統計を公表した。新型コロナウイルスの影響により期間中における国内の消費電力量は前年同期比7.8%減となった。分野別では第一次産業(前年同期比3.9%増)と家庭用(2.4%増)は増加が見られたが、第二次産業(12.0%減)、第三次産業(3.1%減)は前年同期実績を下回った。発電電力量は1兆267億kWhとこれも前年同期比8.2%減で、電源別では火力(8.9%減)、水力(11.9%減)、原子力(2.2%減)、風力(0.2%減)と減少する一方、太陽光(12%増)は拡大している。
2020.02.22
中国:発改委、新型コロナウイルス対応で商工業用電気料金を引き下げる方針
国家発展改革委員会(発改委)は2020年2月22日、新型コロナウイルス対応で、一部を除く産業用・商業用電気料金を時限的に引き下げる方針を明らかにした。これは、企業の生産および生産再開を企図したもので、期間は2月1日~6月30日までが対象とされ、引き下げ幅は5%とされている。発改委はこれとともに一部需要家のガス料金に関しても、オフシーズン価格の前倒し適用を求める通知を発行している。
2020.02.20
米国:農場主、風力発電タービン設置に土地をリースし副収入
2020年2月20日付の報道によると、風況の良いカンザス州では、風力発電事業者に農地の一部をリースすることで、年間3,000~7,000ドルの収入を得ている。風力発電タービン設置には、自動車2台分の駐車場程度の土地が必要になり、土地リース契約期間は一般的に30~40年間。なお近年、米国では農作物価格の低迷、米中間の貿易摩擦および予想できない天候パターンの増加により、破産する農場が増加している(2019年は前年比20%増)。同収入を得ている農場主によれば、経済的ストレスがなくなったことは大きな変化とのこと。
2020.02.18
英国:政府、水素とスマートエネルギーシステムの開発に9,000万ポンド拠出
英国政府は2020年2月18日、家庭や企業(重工業)からの二酸化炭素排出削減に向け計9,000万ポンド(約129億円)を複数の研究開発プロジェクトに投じたと発表した。政府発表によると、このうち7,000万ポンド(約100億円)は水素製造や供給に関する開発プロジェクト、2,000万ポンド(約29億円)は地域内においてエネルギーの融通などを可能にするスマートエネルギーシステムの開発や実証に充てられた。これにより、水素開発に関しては、イングランド西部のMerseyとスコットランド東部のAberdeenの2カ所における大規模な水素製造プラントの建設と、イングランド東部Grimsbyにおける洋上風力の電力を利用した水素製造プロジェクトが進められる予定。スマートエネルギーシステムに関しては、英国内の10地域、計25万人を対象にした実証プロジェクトが進められる予定となっている。
2020.02.17
フィリピン:エネルギー省、新たな再エネ導入目標を発表
2020年2月17日付の現地紙によると、エネルギー省(DOE)は、再生可能エネルギーによる発電容量を2040年までに2,000万kWとするという新しい目標を発表した。これまでの国家再生可能エネルギー計画(NREP)では、2030年までに再生可能エネルギーによる発電容量を2010年の543万8,000kWから3倍程度に増強することを目標としていた。
2020.02.17
英国:石油・ガス大手Shell、大型蓄電池から電気を購入して市場参入
エネルギー情報誌は2020年2月17日、石油・ガス事業者のShellが、英国南西部で計画されている大型蓄電池事業から電力を購入する複数年契約を締結したと報じた。事業を実施しているのは中国の五大発電事業者の一つである中国華能集団有限公司などで、総出力は10万kW、2020年末に運転を開始する予定である。欧州の蓄電池事業では2万5,000kWを超える事例は少なく、10万kWの出力は最大規模である。蓄電池の立地地点は太陽光発電事業が数多く実施されているため、Shellは蓄電池から購入した電気を系統のバランシングサービスのために提供することになる。なお、実際の運営はVPP事業を行う子会社のLimejumpが行うことになる。Shellは2030年代に世界最大の電気事業者となることを目標としており、これまでLimejumeの他にも家庭蓄電池事業を行うSonnen、浮体式洋上風力発電のEolfiなど、再エネ、デジタル関連で積極的な買収を行っている。
2020.02.16
中国:国家電網の問い合わせ、着信の約4割はAIによる自動応答が可能と発表
国家電網有限公司は2020年2月16日、管内26省のホットラインセンターのへの問い合わせについて、4割以上がAI技術による自動応答で対応可能と発表した。電話で寄せられる問い合わせの内容を音声アシスタントサービスが認識し、回答やその後の手続きを行うという流れである。国家電網は今回、8日間にわたる実証試験を実施したが、期間中処理した7万本近くの着信のうち4割超が自動応答で対応可能なものであり、また問い合わせ内容は自動応答で対応可能だが、方言などの認識の問題で有人対応となったものが約1割を占めたという結果を得た。この結果をもとに国家電網のAI開発チームは今後、さらにデータを蓄積してAI機能の改善を図る。
2020.02.13
中国:原子力発電所の2019年の運転状況が公表される
中国核能協会(原子力産業協会に相当)は2020年2月12日、2019年における原子力発電所の運転状況を発表した。それによると、2019年に商業運転を開始した台山原子力発電所(広東省)2号機(175万kW)、陽江原子力発電所(広東省)6号機(108万kW)を加え、2019年末時点稼働している原子力発電ユニットは47基、4,875万1,000kWとなった。また、原子力の発電電力量は2018年比18.9%増の3,481億3,000万kWhで、総発電電力量に占める割合は4.88%となり、2018年から0.66ポイント増加した。
2020.02.12
スペイン:Iberdrola、フランス通信事業大手Orangeと12年間のPPAを締結
エネルギー大手Iberdrolaは2020年2月12日、フランスの通信事業大手Orangeとの間でPPA(電力売買契約)を締結したと発表した。Iberdrolaは、スペイン西部エストレマドゥーラ州で建設が進められている太陽光発電所(発電設備容量32万8,000kW、2020年運開予定)を供給源とし、12年間にわたりスペインに所在するOrangeの拠点9,000カ所に電力を供給する。Orangeは2040年までにカーボンニュートラルの達成を目指している。
2020.02.12.
欧州:欧州議会、ガス関連インフラを含む優先的プロジェクトのリストを承認
欧州議会は2020年2月12日、本会議で、EUの優先的エネルギーインフラ・プロジェクト(PCI)に異議を申し立てる内容の議決案を反対多数で否決した(反対443票、賛成169票、棄権36票)。EUでは、「欧州横断エネルギー・ネットワーク(TEN-E)」と呼ばれる政策の枠組みで、PCIとして選定されたプロジェクトには、許認可手続きや財務上の優遇措置が与えられる。PCIの対象リストは2年ごとに更新されるが、2019年10月に欧州委員会が提示したリスト(第4次PCIリスト)には、151件の優先的プロジェクトのうち、ガス・インフラ関連のプロジェクトが32件含まれていた。これに対し、欧州議会の左派系の会派などから、「長期的に炭素中立化を目指すEUの政策と整合しない」ことを理由に、今回のPCIに反対する内容の提議が行われていた。評決の結果、上述のように議決案は否決され、第4次PCIリストは承認されることとなったが、2020年中にもTEN-Eに関する規則の見直しが予定されている中で、将来的なガスインフラ・プロジェクトへの支援をめぐって、引き続きEU内での議論が行われる可能性も指摘される。
2020.02.11
米国:ドミニオン社、温室効果ガスの2050年までのネット・ゼロ目標を発表
米国エネルギー大手のドミニオン・エナジー(Dominion Energy)社(本社:バージニア州リッチモンド)は2020年2月11日、温室効果ガス排出量を2050年までにネット・ゼロとする、同社の新たな排出削減目標を発表した。従来目標は、2019年3月に発表した「電気事業で2050年までに炭素排出量を2005年比80%削減、天然ガス事業で2030年までに2010年比でメタンガスを50%削減」であったが、これを「電気・天然ガス事業とも2050年までにネット・ゼロ」へと引き上げた。全米18州で事業展開する同社の発電設備容量は2017年時点で約2,700万kW、うち天然ガス39%、原子力22%、石炭18%、再エネ14%、石油8%である。今後同社は、原子力発電の運転ライセンスの延長、顧客のエネルギー効率プログラムの推進、再エネ・天然ガス・再生可能天然ガス(バイオメタンガス)への投資等を進める。また目標達成のため長期的には、立法や行政規制面での支援、エネルギー貯蔵や先進型原子炉などの技術への投資も必要としている。
2020.02.07
米国:ニューヨーク市長、建物でのガス、石油系燃料使用禁止に向け法案を検討
エネルギー情報誌は2020年2月7日、ニューヨーク市のBill de Blasio市長が気候変動問題に対処するため、「大規模建物でのガスや石油系燃料の使用を禁止する法案を検討する」と述べたと報じた。米国ではカリフォルニア州やワシントン州で同様の動きが広がっており、ニューヨーク市も加わることになる。ニューヨーク市は2050年にカーボンニュートラル達成を目標としており、この目標に沿った新築建物の認可を行うことを検討する中で、2040年以降の化石燃料の使用禁止が検討されるもの。米国で広がるガス使用禁止の多くは新たに建設される建物に適用されるが、ワシントン州のBellinghamでは既存建物も対象となっている。 印刷用PDF
2020.02.05
中国:当局、託送料金算定の新基準を公表
中国電力企業聯合会は2020年2月5日、国家発展改革委員会が今後5年間の託送料金(送配電料金)に関する算定基準を通知したことを明らかにした(通知文書は1月19日付)。この通知は、2019年12月にパブリックコメントが求められていた原案を正文化したものであり、今後、この通知で示された基準をベースに、国有企業を管轄する国有資産監督管理委員会や各省の関連部署で算定が行われることとなり、2020年5月までに具体的な金額を政府の料金関係部署に具申することが求められている。 印刷用PDF
2020.02.05
スペイン:Iberdrola、EV充電の新たなシステム開発のための技術を公募
エネルギー情報誌は2020年2月5日、スペインの電力会社IberdrolaがEV充電システムを新たに開発するため、スタートアップ企業などへ協力を呼び掛けたと報じた。同社は電気事業で新たなアイディアを募集するためのPerseoと呼ばれるプログラムを実施しており、7,000万ユーロ(約84億円)を投資して主に電化や脱炭素に関する技術開発を行っている。今回、新たに募集するのはEV充電に関するもの。現在、多くのEV充電は夜間に道路に設置された設備で行われており、EV所有者は充電設備を保有していない。一方で個人が保有する充電設備の利用は所有者に限定され、また勤務先や出先で充電を行うことは容易ではない。IberdrolaはEV充電設備を効率的に使用するため、充電設備を広く共有しながら管理することを可能とするソフトウェアの開発を目指している。 印刷用PDF
2020.02.04
英国:政府、石炭火力の廃止と内燃車の販売禁止時期を前倒しする方針
英国政府は2020年2月4日、2020年11月にグラスゴーで開催されるCOP26に向け、議長国として環境政策への取り組みを強化していくことを表明した。この中で政府は、石炭火力の廃止時期を従来の目標である2025年から2024年に前倒しすること、また、ガソリンおよびディーゼル車(内燃車)の販売禁止時期を2040年から2035年までに前倒しする方針を示した。内燃車の販売禁止については、新たにハイブリッド車も含むことや、可能であれば販売禁止時期を2035年からさらに前倒しする計画も示されている。 印刷用PDF
2020.02.03
中国・米国:中国の電池大手、テスラにEV用電池を供給へ
2020年2月3日付の全国紙によると、中国電池大手の寧徳時代新能源(CATL)は米国EV大手のテスラにEV用電池を供給することで合意した。これまでテスラにEV用電池を供給していたのは日本のパナソニックと韓国のLGの2社であったが、今回の合意で同社が加わる。専門家は、「電池サプライヤーを増やすことはテスラにとって有利であり、またサプライヤー間の競争を通してコスト削減が期待されるため、ユーザーにとってもメリットが大きい」と指摘している。 印刷用PDF
2020.01.30
韓国:韓国電力、世界最大容量500kWの化学ループ燃焼技術の実証に成功
韓国電力公社傘下の電力研究院と韓国エネルギー技術研究院は2020年1月30日、共同で開発を進めているLNGを燃料とするCO2分離型化学燃焼(化学ループ燃焼)技術に関して世界最大となる500kW級の実証試験を成功させたことを明らかにした。この技術は、空気と燃料を流す2つの反応器間で、金属物質を循環させて酸化還元反応を利用して熱を取り出すことにより水蒸気とCO2のみが分離でき、それを冷却することでCO2を簡単に分離することが可能となる。韓国電力は今後、火力発電会社と協力してMW級の化学ループ燃焼技術を開発し、実用化可能な設計技術を確立する計画である。関係者は、発電技術分野でこれまで高コストであったCO2の分離技術を代替する世界に先駆けた革新的技術となると期待を寄せている。 印刷用PDF
2020.01.29
フランス:EDF、発電地域名を明示した再エネ電力の供給を開始
電力大手フランス電力(EDF)は2020年1月29日、新たな料金メニュー「Vert Electrique Bretagne」(ブルターニュのグリーン電力)を発表した。この料金メニューは、ブルターニュ地域圏内の風力発電所1カ所(8月からは2カ所となる予定)で発電された電力をEDFが購入し、国内全土の家庭用および産業用需要家に販売するもの。ただし、同メニューに申し込むことのできる需要家数は、風力発電所2カ所の発電電力量を考慮し、先着で1,000軒となっている。EDFは、「このメニューにより、需要家は特定の地域圏に対する愛着を示しながら、気候変動対策に貢献することができる。他の地域圏の再エネ発電所とも買電契約を結び、同様のメニューの展開を目指す」としている。 印刷用PDF
2020.01.29
ドイツ:2038年末までの脱石炭を定める法案を閣議決定
連邦経済エネルギー省は2020年1月29日、連邦内閣が2038年末までの脱石炭・褐炭を定める法案を閣議決定したと発表した。脱石炭・褐炭は段階的に行われ、第一段階となる2022年末までに、石炭火力発電所および褐炭火力発電所の容量をそれぞれ1,500万kWとすることが記載されており、石炭火力発電所は現在の2,100万kWから600万kWの削減、褐炭火力発電所は現在の1,800万kWから300万kWの削減となる。石炭火力発電所の廃止に当たっては補償に関する入札(補償請求額の少ない順に落札)が行われ、補償額は2020年実施の入札の場合最大16万5,000ユーロ/MW(約2万円/kW)となるが、2021年以降はこの上限が段階的に減額され、2027年以降は補償対象外となる。一方、褐炭火力発電所に対する補償については、既にエネルギー大手RWEが補償額26億ユーロ(約3,200億円)の支払いを受けることで政府と合意したと報道されている。同法案によれば、脱石炭・褐炭の期限は2038年末とされているが、進捗によっては2035年末に前倒しされる可能性もある。今後、同法案は国会で審議される。 印刷用PDF
2020.01.29
米国:ワイオミング州議会で小型モジュール炉への転換を促す法案が提出
2020年1月29日付の報道によると、ワイオミング州議会において、石炭・ガス火力発電所を同等の出力の小型モジュール炉(SMR、出力30万kW未満の小型原子炉)へ転換する法案が提出された。法案を提出した同州議会下院のミラー議員(共和党)は、「発電を停止したものの、送電線や冷却設備等が残っている石炭・ガス火力発電所をSMRに転換することにより、発電所の雇用を維持し、気象条件により再生可能エネルギーがフルに能力を発揮できない時も、電力供給を安定に保つことができる」と述べた。同法案はSMRで発電した電力に対して1,000kWh当たり5ドル(0.5セント/kWh)の税金を課すことを要求しており、同議員はその税収が、近年同州で顕在化している石炭を含む鉱山産業からの税収減少を補うとしている。2020会計年度の同州議会は2020年2月10日から開催される。 印刷用PDF
2020.01.29
米国:EIA、2020年エネルギー年次見通しAEO2020を発表
米国エネルギー情報局(EIA)は2020年1月29日、2019年エネルギー年次見通しAEO2020(ANNUAL ENERGY OUTLOOK 2020)を公表した。これは、現在の政策をベースとして経済モデルを用いた政策中立的な分析を行い、2050年までの米国の長期エネルギー動向に関する予測を提供するものである。電力部門では、総発電電力量に占める電源別の割合で37%と現在最大の天然ガスが、2050年には36%とわずかに低下する一方で、再エネは19%から38%と2倍に拡大し、電源別で最も高い割合を獲得するとの見方を示した。また、原子力と石炭火力については2020年代中頃まで減衰するものの、それ以降は経済性のあるユニットが残存する結果として、原子力は12%、石炭は13%を確保すると予測している。 印刷用PDF
2020.01.28
米国・世界:2019年のPPAを通じた再エネ契約は前年比44%増
調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)社は2020年1月28日、電力購入契約(PPA)を締結した、再生可能エネルギー設備容量に関する数値を公表した。2019年は、世界23カ国100社以上の企業が1,950万kWのPPAを締結し、2018年の1,360万kWから44%増加した。このうち米国は1,360万kWと、その大半を占め、Google:270万kW、Facebook:110万kW、Amazon:90万kW、Microsoft:80万kWと、米国ハイテク企業による再エネ調達が活発である。また米国で締結されたPPAの約8割の1,120万kWはバーチャルPPA(VPPA)、残りの240万kWは電力会社からのグリーン料金(green tariff)による。米国以外の2019年の特徴として、欧州では従来、北欧のスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークが調達の中心となっていたが、新たにスペイン、ポーランド、フランス、イタリアなどで長期の再エネPPAが締結される動きが出始めているとした。またラテンアメリカでは、PPA市場が3倍の200万kWに成長し、ブラジルとチリが調達を牽引している。2020年も世界全体で、再エネPPAは拡大すると予想されている。 印刷用PDF
2020.01.24
ポルトガル・フランス:EDPとEngieが洋上風力の共同事業会社設立に合意
エネルギー情報誌は2020年1月24日、ポルトガルのEDPとフランスのEngieが洋上風力発電事業で共同事業会社を設立することで合意したと報じた。両社の共同事業会社設立については2019年5月に発表され、具体的な条件が交渉されてきており、今回合意に達したもの。今後、規制当局の承認が得られ次第、2020年3月までに設立される見込みで、出資比率は50:50である。両社は洋上風力発電市場において規模の大型化が今後の発展に最も重要な要素と判断し、世界で5番目以内に入ることを目標に共同事業会社の設立に踏み切った。両社で建設中の洋上風力発電事業は150万kW、開発中の案件は370万kWで、この中にはポルトガル沖の浮体式実証事業も含まれている。 印刷用PDF
2020.01.24
米国:FERCのマクナミー委員が辞任の意向を表明
2020年1月24日付の現地報道によると、連邦エネルギー規制委員会(FERC)のバーナード・マクナミー委員(共和党)が2020年1月23日、次の任期を継続しない旨を表明した。同委員は2019年1月に死亡したケビン・マッキンタイア委員の任期を引き継いだため、2020年6月30日で任期満了となる。FERCは2019年にロバート・ポウェルソン委員(共和党)とシェリル・ラフラー委員(民主党)が辞任した後、後任が空席のままとなっており、ニール・チャタジー委員長(共和党)、リチャード・グリック委員(民主党)、バーナード・マクナミー委員の3人体制できたが、マクナミー委員が辞任すると定足数3人を満たせなくなり、エネルギー規制委員会としての業務に支障を来すおそれがある。マクナミー委員が任期満了後も2020年末までFERCにとどまるか、後任が任命、承認されるまで、どちらか早い方まで委員を継続するという可能性も残されている。 印刷用PDF
2020.01.23
中国:政府、2020年度の風力、太陽光建設計画に関し意見聴取
国家能源局は2020年1月23日、2020年度の風力、太陽光発電の建設計画案を公表し、2月6日期限で意見公募を実施した。今回の計画案では、太陽光発電に関し、最大15億元(約232億円)の補助金の予算を計上しているが、そのうち5億元は屋上型太陽光発電向けとされている。また、補助金案件のほか、補助金を不要とする案件を推進することも求めているが、一方でそうした案件でも送配電事業者の系統連系条件や送電系統計画を踏まえることを厳格に求めている。なお、今回の意見公募案では導入目標などは示されていない。 印刷用PDF
2020.01.22
中国:2019年の電力消費、第三次産業の増加が際立つ
国家能源局は2020年1月22日、2019年の総消費電力量が7兆2,255億kWhと、前年比4.5%増となったことを明らかにした。これを産業別でみると、第一次産業(農林水産業)が780億kWh(前年比4.5%増)、第二次産業(鉱工業)が4兆6,362億kWh(同3.1%増)、第三次産業(サービス業その他)が1兆1,863億kWh(同9.5%増)と第三次産業の消費量増が際立った。地域別でみると、全国28省・自治区・直轄市において電力消費量が増加し、うち広西チワン族自治区とチベット自治区の前年比は10%以上の2桁に達した。 印刷用PDF
2020.01.21
米国:マサチューセッツ州知事、2050年までにネット・ゼロ目標とする方針
2020年1月21日付の現地報道によると、マサチューセッツ州のチャーリー・ベイカー知事(共和党)は21日に行われた州議会での施政方針演説で、現在の州法で定める温室効果ガスの排出削減目標(2050年までに1990年比で80%削減)を引き上げ、2050年までに州の温室効果ガスをネット・ゼロとする新たな目標の採用を掲げた。また演説では、再エネからの電力調達に取り組み、現在、連邦エネルギー規制委員会(FERC)の承認待ちとなっている電源開発(2件の洋上風力、カナダ・ケベック州の水力発電からの電力購入)で、州の消費電力の約30%を満たし、また約570万tの温室効果ガスの排出削減につながるが、これだけでは排出削減に不十分とした。知事の新たな排出削減目標を受け、民主党の州議会議員などからは賛同の声が挙がり、23日、目標の設定を含んだ気候変動包括法案が州議会上院へ提出された。なお同法案は、目標設定を含む気候政策のほか、交通部門の低排出化、省エネに関する3法案で構成される。 印刷用PDF
2020.01.20
スペイン:Endesa X、スペイン国内の病院にEV充電設備を設置
エネルギー大手Endesaの子会社であるEndesa Xは2020年1月20日、スペインの医療法人大手Vithasグループと提携し、同グループが運営する病院の公共駐車場に22基のEV充電設備を設置すると発表した。設置されるEV充電設備の定格出力は22kWで、充電時間は1時間~1時間30分程度と想定されている。また、同設備を通して供給される電力は再エネ由来であるとしている。なお、Endesaは2019年に発表したEV充電設備設置計画において、2023年までに8,500基の公共向けEV充電設備を設置することを掲げており、今回の取り組みは同計画の一環だとしている。 印刷用PDF
2020.01.16
中国:政府、主要電力・エネルギー事業者の首脳人事を発表
現地紙によると、中国では2020年1月16日に2020年初の中央政治局会議が開催され、翌17日に国家電網(送配電最大手)、大唐集団(五大発電企業の一社)、華電集団(五大発電企業の一社)、中国石油天然ガス集団(CNPC、三大石油・天然ガス事業者の一社)、中国石油化学集団(三大石油・天然ガス事業者の一社)の首脳人事が一斉に発表された。このうち、国家電網の董事長(会長)であった寇偉氏は、大唐集団の総経理(社長)に異動、後任の国家電網董事長には、江西省の副省長(副知事)であった毛偉明氏が就任した。毛偉明氏は58歳、2015年まで工業情報化部・副部長(工業情報省次官)などを務め習近平政権の産業戦略である「中国製造2025」の策定に携わっている。また、空席となっていた華電集団の総経理には、華能集団副総経理の葉向東氏が就任することとなった。さらに、勇退するCNPC董事長の王宜林氏の後任には中国石油化工集団(Sinopec)の戴厚良董事長が就き、中国石油化工集団の後任董事長には、天津市濱海新区書記の張玉卓氏が着任することとなった。なお、張玉卓氏は2017年まで最大の石炭事業者であった神華集団(2017年に五大発電企業の一つ国電集団と合併、国家能源集団となる)の董事長を務めていた。 印刷用PDF
2020.01.15
フィリピン:送電会社、1,300億ペソを投資し送電網整備へ
2020年1月15日付の現地紙によると、送電会社National Grid Corporation of Philippines(NGCP)は、1,300億ペソ(約2,782億円)を投資し、系統間を結ぶ連系線プロジェクトに取り組んでいる。このプロジェクトは、One Grid Philippinesと呼ばれる統合グリッドの構築を目的としている。主なプロジェクトとしては、ビサヤス系統とミンダナオ系統を結ぶ連系線のプロジェクトで、2020年12月に建設が完了する見込みである。 印刷用PDF
2020.01.14
カナダ:カナダ西部で最大電力を更新
カナダ西部を覆った寒波(cold snap)により、アルバータ州独立系統運用機関(AESO)は2020年1月14日午後5時18分に緊急アラート(energy emergency alert)1、さらに午後7時15分には緊急アラート2を発した。アラート1、2ともに予備力の動員によって州内の電力需要は賄うことが可能な状態であり、需要遮断を必要とするアラート3には至らなかった。またAESOは翌15日の午後6時41分に、同州が「2018年の記録を1,000kW上回る1,169万8,000kWのピーク電力を記録」したことをツイートしている。この時期の平均気温は最高-3℃、最低-15℃であるが、寒波によりこの週の最高気温は-25℃、最低気温は-30℃を下回っている。同州の西側に位置するブリティッシュ・コロンビア州でも同様に電力需要が高まっており、BC Hydro社は1月14日のピーク時の需要が1,030万2,000kWとなり、2017年1月3日の記録1,019万4,000kWの記録を超えたことを発表している。 印刷用PDF
2020.01.13
中国:2019年末の充電スタンド数は前年比50.8%増の121万9,000台
中国電動汽車充電インフラ設備促進連盟(EVCIPA)は2020年1月13日、2019年の電気自動車(EV)用の充電設備の普及状況を発表した。それによると2019年末時点の充電ステーション数は3万6,000カ所で、充電スタンド数は121万9,000台(うち公共用:51万6,000台、業務用および特定利用者用:70万3,000台)に達した。なお、同連盟は2020年には充電ステーションが4万8,000カ所、充電スタンドは174万3,000台になると予測しているが、2015年に発表された目標値(充電スタンド:2020年480万台)には及んでいない。 印刷用PDF
2020.01.13
フランス:Cordemais石炭火力発電所、制限付で2024年まで運転延長の可能性
フランスのヴァルゴン環境連帯移行大臣付副大臣は2020年1月13日、ロアール川河口地域にあるEDF所有のCordemais石炭火力発電所(発電設備容量120万kW)が運転時間を短縮した上で2024年まで、場合によっては2026年まで運転を続けると発言した。同国内の他の石炭火力発電所3カ所は脱石炭目標通り2022年に廃止される予定だが、同発電所は2022~2024年の供給力確保の観点から現在の約10%程度の運転が必要とのこと。同副大臣によると、2022~2024年にかけては現在の年間運転時間制限を4,500時間から200~500時間に短縮して運転し、2025年以降の運転については現在建設中のFlamanville原子力発電所3号機およびLandivisiauガス火力発電所の運開時期次第だが、最長でも2026年までとしている。なお、フランスの脱石炭については、「エネルギーと気候に関する法律」において発電所からのGHG年間排出量の上限を定めることで実現が図られており、脱石炭の目標年である2022年以降もCordemais発電所の運転は続くものの、年間運転時間制限の短縮および同発電所で進められている固形バイオマス混焼によるGHG排出削減プロジェクトの成果により、GHG排出量は同法で定められた範囲内に収められるとのこと。 印刷用PDF
2020.01.13
米国:2019年に停止した石炭火力は1,500万kW超
エネルギー情報サイトは2020年1月13日、2019年に停止あるいは燃料転換した石炭火力の設備量が1,510万kWとなり、過去2番目の規模になったと報じた。エネルギー情報局などのデータを基に報じたもので、これまでの最大は2015年の1,930万kWで、2019年は1,510万kWと推定している。米国の電力市場では安価な天然ガスや再生可能エネルギーへの転換が進み、石炭産業の復興を支援するトランプ政権の政策にも関わらず、石炭火力発電所の停止傾向が継続しており、今後もこの傾向は変わらないと報じている。 印刷用PDF
2020.01.09
米国:2019年の天然ガス価格、過去3年間で最低レベル
2020年1月9日付の米国エネルギー情報局(EIA)の発表によれば、2019年の米国内の天然ガス価格が2016年以降で最低レベルとなった。2019年の米国の天然ガス指標価格であるヘンリーハブ価格は2.57ドル/MMBTUとなり、2018年より0.60ドル低下した。価格低下の主な原因は、米国内の天然ガス産出量の増加である。天然ガス価格の低下により、国内の需要の増加、特に発電分野での増加が見られかつ国外への輸出が増加している。 印刷用PDF
2020.01.08
中国:国家電網、±1,100kV 直流UHV変換所で5G通信を用いた設備運用を開始
2020年1月8日付の現地専門紙によると、国家電網公司の傘下企業である国網信息通信産業集団公司は、中国最長(新疆~安徽省、延長3,300km)の超々高圧送電線(直流±1,100kV)における安徽省・古泉変換所内で5G(第5世代移動通信システム)通信の運用を始めた。通信速度は下り約800Mbps、上り160Mbpsで、遠隔地にある制御センターから変換所内の様々な機器の状態監視および制御が可能となる。報道では、5G通信技術を用いた4K高解像度による検査ロボットの遠隔リアルタイム監視などの機能により、通常の巡視のほか、簡単な保修も可能とされている。 印刷用PDF
2020.01.07
英国:配電事業者、混雑解消のための新たな調整力市場の運用開始を公表
英国の配電事業者Western Power Distribution社は2020年1月7日、配電網混雑解消のための調整力33万4,000kWを調達するための新たな調整力市場を運用することを公表した。対象期間は当面2020~2021年で、対象地域はイングランドおよびウェールズにある同社所有の配電網のうち混雑が予想される42地域(175カ所の1次変電所の管轄地域)である。募集される調整力の主な要件は、所定出力到達時間が15分で、所定出力持続時間が2時間であり、1MW単位で入札を受け付ける。募集する調整力は応答する条件によって、Secure(平日夕方のピーク)、Dynamic(夏季工事点検)、Restore(故障)の3種類ある。そして、それぞれの対価は、175ポンド(約2万5,000円)/MWh、300ポンド(約4万2,000円)/MWh、600ポンド(約8万5,000円)/MWhとなっている。入札の募集期間は、2020年2月3日より2020年3月13日までで、入札結果は2020年4月3日に公表される。 印刷用PDF
2020.01.03
英国:OFGEM、8月9日大停電のエネルギー事業者の補償費を発表
英国のガス・電力市場局(OFGEM)は2020年1月3日、2019年8月9日の大停電の補償費としてエネルギー事業者3社が計1,050万ポンド(約14億7,000万円)を支払うことを発表した。本停電は、400kV送電線への落雷を起因として洋上風力やガス火力発電所の電源が大量脱落し、周波数低下リレー動作により約100万kW(顧客約115万件)の負荷遮断が行われたもので、鉄道網の停止など多くの経済損失と混乱を招いた。保護装置等の動作により落雷事故除去は適正に行われたものの、制御面での不具合により出力維持できなかったHornsea1洋上風力発電所を運営するOrsted社およびLittle Barfordガス火力発電所を運営するRWE社は、それぞれOfgemの任意救済基金に450万ポンド(約6億3,000万円)の補償費を自発的に支払う。また、英国の配電事業者UK Power Networks社は、英国系統運用者ナショナル・グリッドESOからの指令を受ける前から一部の顧客への再送電を開始するという技術違反を犯していたため、同基金に150万ポンド(約2億1,000万円)を自発的に支払う。同基金に集まった補償費は、最も経済損失額が大きかった鉄道網の遅延補償を中心に、消費者補償に充てられるとのこと。 印刷用PDF
2020.01.03
欧州:再エネを対象にしたPPAが10倍に拡大
エネルギー情報誌は2020年1月3日、欧州で再エネを対象としたPPA締結が増加しており、政府の支援策で拡大してきた再エネ事業で、民間資金の役割が重要となってきていると伝えた。これまで再エネを対象としたPPAでは、AppleなどのIT企業が米国を中心に締結しているが、欧州でも再エネPPAの数が増加している。2013年に締結されたPPAは4件にとどまるが、2019年は7月までに45件が確認されている。2013年以降に確認された補助金なしの再エネ事業の規模は合計1,800万kWに達しており、これらはPPAを通じて電気事業者あるいは再エネ電力を購入する企業に売電されている。この背景には太陽光や風力発電のコストが低下したため、一部の政府が固定価格買取制度を取りやめたことに加え、投資家や消費者からの圧力が高まり再エネの活用に積極的になった企業の取り組みがある。国別ではスウェーデン、ノルウェー、英国でPPAへの移行が進んでおり、スペインとイタリアがこれに続く。初期投資費用が低下する太陽光や陸上風力発電を対象にしたPPAが多いが、英国では洋上風力発電を対象としたPPAも締結されている。再エネに対して補助金を提供する政府支援策は姿を消しつつあるが、再エネ事業の許認可の簡素化や市場設計、優遇税制などで、政府の役割は依然として大きいと記事では指摘している。 印刷用PDF
2019.12.26
中国:生態環境部、景気減速でも環境目標は維持する方針
2019年12月26日付の全国紙によると、生態環境部(日本の環境省に相当)幹部はこのほど、「中国は経済が減速しても、環境保護目標を維持し、目標達成への取り組みを緩めない」と明言した。中国のGDP成長率は鈍化しており、一部業種では環境保護強化による費用増が経営に与える影響が重みを増している。これに対して同幹部は「これまでの実績から見ても環境と経済は相反するものでない」と説明した。 印刷用PDF
2019.12.23
韓国:政府、第4次エネルギー技術開発計画を発表
産業通商資源部(MOTIE)は2019年12月23日、2028年までの今後9年間のエネルギー技術開発に関する目標を示す「第4次エネルギー技術開発計画」を発表した。同計画では、クリーンかつ安全なエネルギー転換の加速を目標に、エネルギー産業における新ビジネスの参入を積極的に支援する内容が盛り込まれている。中でも、エネルギー新産業分野の人材育成に向けたエネルギー融合大学院を設立するために2020~2024年に50億ウォン(約4億5,000万円)を投じる計画であり、海外の優秀な研究機関との共同研究を進めることが計画されている。 印刷用PDF
2019.12.20
フランス:政府、12月に11自治体とエネルギー移行契約を締結
環境移行・連帯省は2019年12月20日、同月に11の自治体とエネルギー移行契約(CTE)を締結したことを発表した。各自治体に対する拠出金の合計は1億500万ユーロ(約180億円)となる見込み。CTEとは、エネルギー移行のための各自治体の取り組みを政府が支援し、雇用創出や経済活性化などの地域振興を図る試みである。2018年11月に最初のCTEが締結され、これまでに32の自治体と政府の間でCTEが締結されている。 印刷用PDF
2019.12.20
デンマーク:デンマーク政府、Orsted社のグリーン水素製造事業に出資
エネルギー情報誌は2019年12月20日、デンマーク政府とOrsted社が再生可能エネルギーから水素製造する事業を開始することをそれぞれ発表したと伝えた。デンマーク政府は2件の事業に合計1億2,800万クローネ(約20億円)を拠出し、製造した水素は水素自動車(バス)、航空機、船舶の燃料として使用する予定である。また、再生可能エネルギー支援のため補助金を支給してきたが、最近の入札結果では補助金なしでも事業化できる水準になってきたことから、水素製造に補助金を活用する方針としたもの。これとは別にOrsted社は洋上風力発電(2基×3,600kW)で、電気分解装置(2,000kW)を設置する事業を実施するため、政府から補助金3,460万クローネ(約5億6,000万円)が支給されることになったと発表した。この事業にはOrsted社の他に6社が参加し、日量600kgの水素を製造する予定で、20~30台のバスの燃料として使用される予定である。 印刷用PDF
2019.12.19
ノルウェー:国営電力Statkraft、EV充電オペレーターを買収
国営電力Statkraftは2019年12月19日、ノルウェーのエネルギー事業者Agder Energiから、同国のEV充電オペレーターであるGronn Kontaktの株式47.5%を取得したと発表した。これにより、Statkraftは従前より保有していた分と合わせて約96%を所有することとなる。同社は今後、残りの株式も取得し、完全子会社化を目指すとしている。Statkraftは近年、ドイツのEV充電オペレーターであるE-WALDやeeMobilityを買収するなど、e-モビリティ事業に注力している。 印刷用PDF
2019.12.19
米国:FERC、州政府から支援を受けている電源のPJM容量市場の扱いを決定
連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2019年12月19日、州政府から補助金を得ている電源(原子力や再エネ)が、PJM容量市場に入札する際の扱いを決定した。補助金を得ている電源が容量市場に安値で入札した場合、市場価格が下落し、結果として、供給信頼度を確保するうえで必要な電源が、市場から締め出される状況になり得る。PJMは、(1)容量オークションを2段構えにすることにより、市場の競争環境をゆがめることなくこれら電源を容量市場に参加させる仕組み(Capacity Pricing)と、(2)これら電源が容量市場で入札する際に州の補助金などの影響を排除するための入札下限ルール(MOPR)の拡大、の2つを提案し、2018年4月に判断をFERCに委ねていた。今回の決定で、FERCはMOPRを採用している。これにより今後の容量市場の価格が上昇し、総コストは年間で少なくとも28億ドル増加するとの試算がある。「ゼロ排出証書(ZEC)」で州政府の財政的支援を受けている米国最大の原子力発電事業者エクセロン社や原子力エネルギー協会(NEI)は、州のクリーンエネルギー政策を損なう可能性があるとして、同決定に対し遺憾の意を表明した。 印刷用PDF
2019.12.19
米国:米国連邦議会、風力の税額控除を延長する法案が成立
米国連邦議会は2019年12月19日、陸上風力発電の発電税額控除(PTC)の1年間の延長措置などが盛り込まれている2020会計年度の歳出法案を可決した。法案は可決後、トランプ大統領の署名により成立した。PTCの延長措置により、陸上風力発電は2020年も1.5セント/kWhの税額控除が引き続き適用される。なお成立した法案では、民主党や再エネ業界などが要望していた太陽エネルギー、洋上風力、電気自動車、大型蓄電池の税額控除は含まれていない。このため、再エネ業界などからは法案への失望の声が挙がっている。 印刷用PDF
2019.12.12
米国:2019年第3四半期における住宅用太陽光が過去最高の導入量を記録
マーケットリサーチ・シンクタンクと太陽エネルギー産業協会(SEIA)は2019年12月12日、米国の太陽光発電市場のレポートを発表し、2019年第3四半期における住宅用太陽光発電設備の導入量が、過去最高の71万2,000kW(前年同期比8%増)を記録したことを明らかにした。なお同期における太陽光発電全体(住宅用以外を含む)では、260万kW(前年同期比45%増)が導入され、太陽光発電の総設備容量は7,130万kWになった。今期の特徴としては、15州が住宅用太陽光で四半期としては過去最高を記録したことを挙げ、具体的にはアイダホ、ワイオミング、ニューメキシコ、アイオワ州などで、価格競争力の改善等により増加が見られるとしている。また、住宅用太陽光の最大の市場は引き続きカリフォルニア州で、今期に約30万kWが導入され、四半期記録を更新した。同シンクタンクによれば、これは主に新築のソーラー需要と、山火事防止のための計画停電(fire-prevention power outages)により、ソーラーと蓄電池を組み合わせたソリューションに対する消費者のニーズが高まっており、この傾向は2020年も続くとしている。 印刷用PDF
2019.12.12
米国:ロサンゼルス市水道電力局、2045年までに100%水素へ
2019年12月12日付の業界紙によると、カリフォルニア州のロサンゼルス市水道電力局(LADWP:Los Angeles Department of Water and Power)は12月10日、LADWPが運営するユタ州のIntermountain石炭火力発電所(出力180万kW:LADWPが同発電所電力の49%を購入)を2025年までにガス火力(出力84万kW)にリプレースし、転換後、当初は水素を30%混焼できるようにする計画を発表した。さらに2045年までには世界初の、電気分解で生成した水素を100%燃料とした発電を行う。カリフォルニア州の2045年までに100%クリーンエネルギーとする目標を達成するために必要な計画であるとしている。 印刷用PDF
2019.12.11
韓国:「第5次国家環境総合計画」(2020~2040)が閣議決定
2019年12月11日付の現地報道によると、韓国政府の環境部は12月10日、環境分野では最上位の法的計画である「第5次国家環境総合計画」(2020~2040)が閣議決定されたことを明らかにした。報道によると、今次計画では「国民と拓く持続可能な生態国家」をビジョンに掲げ、7つの重点戦略が提示されており、政府は石炭火力発電所の新設を見合わせるほか、既設分も大幅に削減して脱石炭社会への転換を検討すると予想される。また、2040年までにPM2.5の濃度をWHO環境基準値(10μg/m2)まで低減するほか、電気自動車(EV)・燃料電池車(FCV)の販売比率を80%にまで引き上げる目標が示された。 印刷用PDF
2019.12.11
EU:欧州委員会が2050年排出削減目標など「欧州グリーンディール」を公表
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は2019年12月11日、2050年の温室効果ガス排出削減目標を含む環境を中心とした産業政策である「欧州グリーンディール」(EGD:European Green Deal)を発表した。EGDは2019年7月にフォンデアライエン氏が委員長に選出された際に、優先政策として骨格が示されていたが、今回その具体的な内容が明らかになったもの。最も注目されるのは、2050年の温室効果ガス(GHG)排出削減目標として「ネットゼロ」を掲げあらゆる産業政策を見直すとしており、2020年3月までに「Climate Law」を提示することになる。また2030年のGHG削減目標も現行の40%から少なくとも50%、可能であれば55%まで引き上げるとして、2020年夏までに包括的な削減計画を提案する。GHG削減目標引き上げにあわせて、域内の産業を保護する目的で炭素税の国境調整を行う方針で、2021年に具体策を提案することになる。さらに2020年1月に排出削減が困難な加盟国や産業に対する支援(1,000億ユーロ:約12兆円)の活用について具体化させる予定である。 印刷用PDF
2019.12.10
台湾:第4原子力発電所の建設再開を求める国民投票、実施の方向へ
中央選挙委員会は2019年12月10日、建設中止が決定している第4原子力発電所(135万kW×2)の建設再開を求める国民投票の実施に必要な請願書が、実施条件(直近の総統選挙への有権者の1.5%に相当:2016年の投票結果に基づいて約28万2,000人の署名)に達したことを明らかにした。同委員会によると、原子力推進派の黄士修(Huang Shih-hsiu)氏が提出した署名のうち、委員会が有効と認めた署名数は30万790人に達し、上記の条件をクリアした。次回の国民投票は2021年8月28日に実施される予定であり、委員会は今後、国民投票の実施に関して正式に発表をするとしている。一方で総統府の経済部エネルギー局は、請願の結果は尊重したいが、同原子力発電所の再始動には多くの技術的障壁があるとしている。 印刷用PDF
2019.12.09
中国:政府、石油・天然ガスパイプラインを1社に統合
中国の国有企業を管理する国有資産監督管理委員会(SASAC)は2019年12月9日、石油、天然ガスのパイプラインを管理・運営する新会社(国家石油天然気管網集団公司:CHINA OIL & GAS PIPING NETWORK CORPORATION)の設立を公告した。これにより、これまで中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)、中国海洋石油(CNOOC)により所有されていたパイプラインが集約化されることとなる。これは、2017年5月に政府が定めた「石油・天然ガスシステムに関する改革実施意見」における方針を踏まえて実施されたもので、石油・天然ガスパイプラインへの第三者アクセスや上流・下流分野における競争の促進を目的としたものである。 印刷用PDF
2019.12.06
デンマーク:Orsted、「グリーン水素」の製造を検討
エネルギー情報誌は2019年12月6日、洋上風力発電で欧州最大のデベロッパーであるOrstedが、再生可能エネルギーによる水素製造を検討するための調査を行っており、実証事業を検討していると報じた。Poulsen CEOが新聞のインタビューに答えたもので、「グリーン水素は、電力貯蔵や運輸部門のエネルギー転換で大きな役割を果たす可能性がある」との考えを明らかにした。現在、Orstedではパイロット事業への投資を準備している段階である。Orstedは2025年までに300億ユーロ(約3兆6,000億円)を投資して再生可能エネルギー事業における有力企業となることを目指しており、グリーン水素製造を戦略的な事業と位置付けている。 印刷用PDF
2019.12.06
米国:PG&E社、山火事の被害者らに対し135億ドルの損害賠償で和解
経営再建を進めるカリフォルニア州の電力・ガス大手パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社は2019年12月6日、同社の設備が火元となって発生したとされる数件の山火事の被害者らに対し、総額135億ドル(約1兆4,600億円)の損害賠償で和解したことを発表した。同社は既に地元自治体や保険会社との交渉を終えており、山火事被害の請求権を持つすべての主要グループとの和解に達したとしている。また、カリフォルニア州公益事業委員会の安全執行部(SED)は2019年11月、2018年の山火事「Camp Fire」に関する調査レポートを発表している。レポートによれば、SEDは、PG&Eの設備点検・修理の頻度が同社の規定を満たしていなかったことを指摘している。この火災はPG&E社の送電線設備破損に起因するものであり、適切な点検・修理を行っていれば回避の可能性があったとしている。 印刷用PDF
2019.12.05
米国:NRC、米国初となる原子炉80年運転ライセンスを発給
米国原子力規制委員会(NRC)は2019年12月5日、フロリダ・パワー&ライト社が申請中であったターキーポイント原子力発電所3、4号機(PWR、76万kW×2基、フロリダ州)の2回目の運転ライセンス(20年延長)を発給したと発表した。NRCが80年運転を認めたのは本件が初である。これにより、3号機は2052年まで、4号機は2053年まで運転可能となる。現在、2回目の運転ライセンス更新は、ターキーポイント3、4号機の他に、エクセロン社のピーチボトム2、3号機(BWR、118万kW×2基、ペンシルバニア州)、およびドミニオン社のサリー1、2号機(PWR、88万kW×2基、バージニア州)で審査中である。 印刷用PDF
2019.12.04
中国:パキスタンにおける中国設計の「華龍一号」初号機、圧力試験成功
中国核工業集団(CNNC)は2019年12月4日、パキスタンで建設中のカラチ原子力発電所2、3号機(中国製第3世代PWR「華龍一号」を採用)の最新状況を発表した。それによると、既に2号機の原子炉格納容器など主要設備の設置は終了しており、耐圧試験が実施された。この試験では一次系統に水を注入し、22.3MPa.gの圧力を10分間維持しながら、試験区画の7,200カ所の溶接部、800余りの設備をつなぐポイントの耐圧に異常がないかを確認した。同試験は、パキスタンの原子力規制部門であるパキスタン原子力委員会(PAEC)とパキスタン原子力規制庁(PNRA)の立ち合いのもとで行われた。CNNCは2021年の運開に向けての次のステップである温態機能試験に向けて準備を進めるとしている。 印刷用PDF
2019.12.02
中国:国家電網、設備投資の方針を転換へ
現地専門紙は2019年12月2日、送配電事業最大手の国家電網有限公司が、投資方針を転換する内容の社内通達(826号文書)を発行したことを報じた。国家電網はこれまでUHVなど基幹送電設備をメインとした投資を積極的に行ってきたが、今回の通達では、政府が推進する電力体制改革による電気料金の値下げや小売自由化などによる経営環境の変化に対応するため、費用対効果を検証して、生産性を重視していく方針が強調されている。同文書では、特に電力系統への投資予算編成について、赤字部門への投資を禁止するほか、設備投資の必要性などを厳格に審査するように要求するとともに、揚水発電を含むエネルギー貯蔵案件には基本的に新規予算を割当てない方針も示されている。なお、同社は2014~2018年の4年間において2兆3,000億元(約38兆円)という巨額の設備投資を行っている。 印刷用PDF
2019.12.02
ロシア・中国:ロシア産天然ガスを中国に輸送するガスパイプラインが運開
ロシア産天然ガスを中国に輸送するガスパイプライン「シベリアの力」が2019年12月2日、運転を開始した。「シベリアの力」は、バイカル湖周辺のコビクタ・チャヤンダ両ガス田から、アムール州・ブラゴベシェンスクを経由して中国国境に至る約3,000km(ロシア領内)のパイプライン。2014年に、ロシア国有ガスプロム社と中国石油天然ガス集団(CNPC)との間で、30年間にわたって380億m3/年、総額4,000億ドル超のガス供給契約が合意され、以来、これを実現するためのパイプライン建設プロジェクトが進められてきた。ガスプロム社によると、パイプラインによる輸出能力は段階的に引き上げられ(2020年における輸出量は年間50億m3)、2025年には年間380億m3の輸出が可能になるとされている。 印刷用PDF
2019.12.1
中国:国務院、「長江デルタ一体化発展計画綱要」を公表
2019年12月1日付の報道によると、国務院は「長江デルタ一体化発展改革綱要」を発表した。同計画は、上海市、江蘇省、浙江省、安徽省を対象とする2025年までの開発計画であり、「一帯一路」戦略、および京津冀(北京市・天津市・河北省)、粤港澳大湾区(香港・澳門・広東省)の開発計画と並び、かつ相互に協力し合う位置付けとなっている。同計画では、エネルギー分野に関しては、地域間連系エネルギーインフラの建設を推進することが明記されているほか、LNG基地、流通設備、再エネ設備の拡充や、エネルギーIoTやエネルギーのグリーン化の推進も盛り込まれている。 印刷用PDF
2019.11.27
欧州:ENTSO-E、冬季の欧州需給見通しを発表
欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)は2019年11月27日、2019/2020年冬期の欧州需給見通しWinter Outlook 2019/2020を発表した。同見通しによると、基本的には電力の安定供給は確保可能だが、厳冬、再エネ発電電力の低下、そして想定外事故が重なった場合、ベルギーとフランスが供給力不足に陥る可能性があるとしている。同見通しのシミュレーションでは、欧州各地の例年1月の平均気温より約10℃低い気温(ベルギーとフランスにおいては気温-5℃)に相当する電力需要95パーセンタイル値、また再エネ発電電力5パーセンタイル値による過酷想定を行っている。万が一、両国が供給力不足に陥った場合は他国からの電力輸入に大きく依存する必要があり、最悪の場合は、負荷遮断を回避するため、市場外取引による電力融通や地域協力による負荷低減を発動する可能性があるとのこと。 印刷用PDF
2019.11.26
米国:エネルギー関連CO2排出量は、2018年に2014年以来初めて増加
米国エネルギー情報局(EIA)は2019年11月26日、2018年の米国のエネルギー起源二酸化炭素(CO2)の総排出量は52億7,000万tで、2017年より2.7%増加したと発表した。同数値が前年比で増加に転じるのは2014年以来となる。主な増加の理由は、夏と冬の極端な天候と、堅調な景気による輸送関連の石油消費増に伴うものである。また、米国の総発電量は2018年に3.6%増加したが、電力部門のCO2排出量の増加は1.1%に留まった。近年、米国の発電構成は石炭から天然ガスや再エネにシフトしており、CO2排出原単位が低下している。 印刷用PDF
2019.11.25
ドイツ・デンマーク:Orsted、バルト海で洋上風力ハブ構想を提案
エネルギー情報誌は2019年11月25日、洋上風力事業を積極的に進めるOrstedが、バルト海で複数の洋上風力発電所と沿岸諸国を結ぶハブ構想を提案したことを報じた。この構想は、バルト海南部のBornholm島(デンマーク領)を拠点として、全体で500万kWの洋上風力発電所とデンマーク、ポーランド、スウェーデン、ドイツを送電線で結ぶものである。Bornholm島の南西部は、デンマーク政府が洋上風力海域として既に調査を行っており、Orstedでは入札手続きを急ぐよう政府に働きかけている。このような洋上風力発電所を具体化し、これと並行して送電線設置や水素製造を検討することで、エネルギーを中心とした大規模な事業を推進することが可能となる。なお、このような洋上風力を複数の沿岸諸国と結ぶ事業としては、北海で人工島を建設する計画があるが、Orstedでは、人工島を建設するのではなく、既存の島を使ったハブ建設を提案すると話している。 印刷用PDF
2019.11.22
べトナム:太陽光FIT法案を取り下げ、競争入札制へ
ベトナムのフック首相は2019年11月22日、太陽光の固定価格買取(FIT)制度に関して、一部契約済のものとルーフトップ型太陽光を除き、陸上設置型をすべて競争入札とする方針を通達した。これまで政府内では、太陽光のFIT適用期限を2019年6月末に迎えてから、地域別や種別といった適用案が検討されていたが、最終的に次期FITについては、2019年12月15日までに商工省(MOIT)により決定が発表される予定である。 印刷用PDF
2019.11.22
スウェーデン:世論調査で約8割の国民が原子力発電を支持
スウェーデンの原子力調査機関Analysgruppen(スウェーデン電気事業連合会Svensk Energiが運営)は2019年11月22日、世論調査会社Novus社が10月24~30日にかけて1,027名を対象に実施した原子力発電に対する世論調査結果を発表した。これによると、回答者の43%が新設を支持、35%が新設は不要だが既設炉を可能な限り運転継続すべきと回答しており、約8割の国民が原子力発電を支持している結果となった。2017年における同様の調査と比較し、同割合は約1割上昇している。一方、原子力発電に反対であると回答したのは全体の11%にとどまった。 印刷用PDF
2019.11.19
中国:国家電網公司、12案件について外部資本参加を呼び込む
国家電網有限公司は2019年11月19~20日にかけて、北京と上海の財産権取引所で、UHV送電プロジェクトなど12件に対して外部資本参加に関する説明会を開催した。国家電網は中央政府が直接管理する企業であり、政府の国有企業資本改革の方針に従い、外部資本の参画を模索している。今回提示された12案件の内訳は、±800kV直流送電プロジェクト、揚水発電、総合エネルギーサービス事業、電力設備メーカー、EV充電サービスなど電力関連事業のほか、航空サービス、保険、健康分野において国家電網が出資している事業体の資本増強、再編なども含まれている。北京で実施された説明会には120の関連会社・組織から170人余りの代表者が参加した。 印刷用PDF
2019.11.19
オーストリア:世界最大のグリーン水素プラントが運転開始
2019年11月19日付の報道によると、オーストリア第3の都市であるリンツ市において、鉄鋼大手フェストアルピーネ(Voestalpine)社などが所有する大規模水素製造プラントが運転を開始した。同プラントは製鉄所に併設され、鉄鋼生産の際に使用する化石燃料のグリーン水素への置き換えが目標となる。同事業ではSiemens製の最新鋭の水電解装置Silyzer 300が使用されており、その出力は6,000kWで世界最大となっている。同プロジェクトは、欧州連合から1,800万ユーロ(約20億円)の支援を受けて実施されるもので、H2FUTUREプロジェクトの一環として実施されている。H2FUTUREプロジェクトはカーボンニュートラルの実現を目指し、水素を産業規模で使用するうえでの有用性の検証が目的となっている。 印刷用PDF
2019.11.19
米国:ニュージャージー州知事、洋上風力導入目標を750万kWに引き上げ
ニュージャージー州のフィル・マーフィー州知事(民主党)は2019年11月19日、同州の洋上風力の導入目標を、2035年までに750万kWへ引き上げる州知事命令(Executive Order No. 92)に署名した。従来は、2030年までに350万kWとしていた(2018年のExecutive Order No.8)。知事の発表によると、引き上げた目標が達成されれば、洋上風力発電で一般家庭約320万軒、州の電力需要の半分を賄うことが可能としている。これまで同知事は、2050年までの100%クリーン電力を目標に掲げ、再エネでは洋上風力の開発に注力する取り組みを行っている。なお同知事の会見には、気候変動対策に熱心なアル・ゴア元副大統領が同席した。 印刷用PDF
2019.11.19
米国:連邦下院民主党、再エネの税額控除を延長する法案を発表
連邦下院歳入委員会の小委員長を務めるマイク・トンプソン下院議員(民主党、カリフォルニア州)は2019年11月19日、気候変動対策に取り組むことを目的とした優遇税制法案(Growing Renewable Energy and Efficiency Now(GREEN)Act)の草案を発表した。本草案は包括的な内容であり、2019年で期限が切れる風力への発電税額控除(PTC、2016年の水準の60%である1.38セント/kWh)と、太陽光および洋上風力への投資税額控除(ITC、投資額の30%)を5年間延長すること、エネルギー貯蔵技術などにもITCの適用対象を拡大すること、また電気自動車購入に優遇税制を設けること等を含む。開会中(2019年11月22日時点)の連邦議会には、再エネ等への優遇税制を求める法案は複数提出されているが、委員会に付託されて以降、審議は進んでいない。このため2019年11月19日には、28人の下院議員が、ペロシ下院議長に優遇税制法案の優先審議を求める書簡を送っている。 印刷用PDF
2019.11.15
中国:原子力発電所の熱源を利用した、熱供給サービスを商業化へ
山東核電有限公司は2019年11月15日、稼働中2基の原子炉(PWR型、AP1000)の2次系熱源を利用した熱供給事業を開始した。運転中の原子力発電所の2次系熱源である高圧水蒸気を利用して熱水(蒸気)を製造し、熱供給事業者に供給する。供給対象は宿泊施設や住宅街で、供給面積は約70万m2となっている。山東核電有限公司は今回の事例をベースとして、さらに3,000万m2へと供給面積の拡大を計画している。 印刷用PDF
2019.11.15
米国:アリゾナ州の電力協同組合、州最大の蓄電池計画を発表
2019年11月15日付の業界紙によると、アリゾナ州のSalt River Project(SRP)協同組合は2019年11月14日、アリゾナ州で過去最大の蓄電池を設置する二つの計画を発表した。いずれも太陽光と蓄電池を組み合わせる構成であり、一つ目は太陽光(25万kW)と蓄電池(25万kW/100万kWh)の組み合わせ、二つ目は太陽光(8万8,000kW)と蓄電池の組み合わせである。いずれも2023年6月に運転開始予定であり、NextEra Energy Resources社の子会社が所有、運用する計画である。SRPは2025年までに再エネを大量導入する目標(100万kW)を掲げており、今回の計画でその6割以上が達成される。SRPはアリゾナ州のNavajo石炭火力発電所(225万kW)の主な所有者であるが、この発表の2日前の11月12日にNavajo火力の廃止を発表していた。 印刷用PDF
2019.11.13
中国:天然ガス、生産増分が需要増分を上回る勢い
2019年11月13日付の現地紙によると、2019年における中国の天然ガス消費は増加率が減退、一方で国内生産量は順調な増加を見せており、第3四半期までの統計では、国内生産が国内需要を前年同期比の増加率で上回っている。中国における天然ガス消費は産業用を中心に伸びが鈍化してきており、第3四半期までの累計では2,166億m3と前年同期比10.1%の増加にとどまっている。一方で、国内生産は国有企業の旺盛な投資により順調に増加、1,276億m3と前年比10.4%の伸びを示している。これに加えて、LNG輸入も順調であり、12月にはロシアからのガスパイプラインも完成するため、業界関係者の間では、この冬はガスの需給ひっ迫が発生する可能性は低いという見方が大勢となっている。 印刷用PDF
2019.11.13
チェコ:バビシュ首相、新規原子炉を2036年までに完成させると発言
チェコのバビシュ首相は2019年11月13日、同国のドコバニ原子力発電所に新たに原子炉を建設し、2036年の完成を目指すと述べた。2022年までに事業者の選定を終え、2029年までに建設を開始するとしている。同首相は、原子力発電は同国におけるエネルギー安全保障のみならず、地球温暖化対策としても非常に重要な役割を担うとしており、同国の発電電力量の原子力発電シェアを、現在の約30%から2040年までに40%まで引き上げると述べた。現地メディアは、これまでに6事業者(ロスアトム、KHNP(韓国水力原子力発電 )、CGN(中国広核集団)、EDF、ウエスチングハウス、アトメア)が同事業に関心を示していると伝えている。 印刷用PDF
2019.11.12
中国:南方電網、電力市場商品としてアンシラリーサービスを試験導入へ
2019年11月12日付の現地エネルギー専門紙によると、大手送電事業者である南方電網は、区域電力取引所(雲南省、広西チワン族自治区、広東省、海南省、貴州省)におけるスポット取引の新商品として、区域アンシラリーサービスの試験運用を開始したことを明らかにした。この試験運用の参加者は広西チワン族自治区と広東省に限定し、入札、応札および決済などに関する取引システムを様々な角度で検証し、問題点を洗い出す予定である。南方電網では、この試験運用が上手く進めば、これを南方電網全区域に拡大する方針である。 印刷用PDF
2019.11.08
ポーランド:政府、長期エネルギー戦略(PEP2040)草案改訂版発表
エネルギー省は2019年11月8日、関係各所との協議やパブリックコメントを経て、2040年までの「長期エネルギー戦略」(PEP2040:Poland Energy Policy 2040)草案の改訂版を発表した。2018年11月に発表した草案からの変更点は、陸上風力の導入量を2040年時点で976万kW(2018年草案:80万kW)と大幅に引き上げたことである。また、新規導入を目指す原子力は、2019年現在の進捗状況を反映し、2040年時点の設備容量を390万kW(同560万kW)と目標値を引き下げた。一方で、2040年時点の褐炭火力電設備を340万kW(同150万kW)、石炭火力発電設備を763万kW(同650万kW)とする等、石炭低減を進めるものの、前回草案よりは低減幅を縮小する方向となっている。その他、太陽光は2040年時点で1,600万kW(同2,000万kW)、洋上風力は800万kW(同1,000万kW)と想定されている。 印刷用PDF
2019.11.07
ドイツ・オランダ:TenneT、BMWと提携し系統安定化プロジェクトを実施
ドイツおよびオランダの系統運用者であるTenneTは2019年11月7日、ドイツの自動車大手BMWと提携し、EVの充放電により系統安定化を図るための実証プロジェクトを進めていると発表した。同プロジェクトでは、BMWのEVである「i3」が用いられ、同EVがTenneTの系統情報に関する信号を受信し、系統混雑時に同EVの充放電制御により従来型電源による再給電を回避しつつ、系統混雑を緩和するシステムについて実証が進められている。具体的なプロジェクトの規模や今後の商用化に関する見通し等については明らかにされていない。なお、2018年におけるドイツでの再給電および再エネの出力抑制の費用は約14億ユーロ(約1,700億円)に上り、このうち約5億ユーロ(約600億円)は従来型電源による再給電費用であった。 印刷用PDF
2019.11.07
米国:ギネイ原子力発電所、1969年の初臨界から50年を経過
ギネイ原子力発電所(ニューヨーク州、PWR)を所有するExelonは2019年11月7日、同発電所が1969年11月9日の初臨界から50年を迎えることを発表した。最新技術を用いた高経年化対策の実施や、立地地域との良好な関係を維持する努力等により、同発電所の設備利用率は通算で95%以上、2016年には最高の年間99.6%を達成した。また同機は、毎年200万t以上のCO2排出を抑制しながら、約50万の家庭や企業に電気を安定供給してきた。現時点で同発電所の運転期限は2029年9月18日である。このまま運転を継続した場合、同社が別に所有するナインマイルポイント1号(ニューヨーク州、BWR)の運転期限(2029年8月22日)と同時期に、米国初の事例となる1回目の運転更新期限である60年を迎える。 印刷用PDF
2019.11.07
ドイツ:洋上風力の電力によるカーボンニュートラルな航空燃料の製造計画
2019年11月7日付の報道によると、ドイツにおいて2030年までに洋上風力の電力によって製造される水素を活用した、カーボンニュートラルな航空燃料を生成する計画が進められている。西海岸100プロジェクト(Westkuste 100 project)と呼ばれるこのプロジェクトは、政府から1億ユーロ(約120億円)が提供され、OrstedやEDF Energyなど9つのプロジェクトパートナーによって進められる。実証はハイデ製油所で行われ、アルカリ電解槽に洋上風力の余剰電力(2018年は40%が送電系統上の制約に伴って余剰化)を利用することで水素を製造する。さらに、近隣のセメント工場から発生するCO2と混合することで生成した合成メタノールを元に航空燃料を製造し、ハンブルク空港に供給する。さらに、製造工程において発生した酸素と廃熱をそれぞれ近隣のセメント工場の操業や地域暖房に利用することも予定されている。 印刷用PDF
2019.11.06
中国・フランス:訪中のマクロン大統領、中国側と多数の案件合意
現地紙によると、中国政府当局者は2019年11月6日、訪中したフランスのマクロン大統領一行との間で多数の案件が合意に至ったことを明らかにした。エネルギー関連では、(1)原子力の使用済燃料再処理施設の地点・費用に関して2020年1月末までに合意すること(フランス側は原子燃料会社Oranoが担務)、(2)長江デルタにおけるLNG輸送に関するTotal(フランス)・Shenergy(上海の申能集団公司)によるJV設立、(3)天津市におけるLNG基地建設に関するEngie(フランス)・Beijing Gas(北京燃気集団公司)によるJV設立などが挙げられる。 印刷用PDF
2019.11.06
米国:米国AES、Googleとクリーンエネルギー推進の戦略的提携を発表
米国IPP大手AES社は2019年11月6日、Google Cloudテクノロジーを活用してクリーンエネルギーの拡大を推進するために、Googleと10年間の戦略的提携を締結すると発表した。今後両社は、米国および南米の企業を対象とした、クリーンエネルギーの利用を可能とするエネルギーソリューションの開発と展開で協力する。両社の知見や技術、経験を共有しながら、データ分析論、マシン学習(Machine Learning)や人工知能(Artificial Intelligence)を活用して電力系統のイノベーションや顧客サービスの改善を検討することになる。至近で両社は、チリのGoogleデータセンターへの再エネによる電力供給で契約しており、今回の戦略的提携はその一環としている。 印刷用PDF
2019.11.05
フィリピン:ルソン系統、需給が逼迫しイエローアラート発令
2019年11月5日付の現地紙によると、フィリピンの送電事業者National Grid Corporation of Philippines(NGCP)は11月4日、電力需要が逼迫し、イエローアラートを発令したことがわかった。今回のイエローアラートは、2019年に入って46回目である。ルソン系統においては、電力供給予備力が基準である64万7,000kWを下回った場合に、イエローアラートが発令される。今回は、主要な発電所が点検等で稼働停止となったため、電力供給力が大幅に減少し、イエローアラートの発令に至った。なお、レッドアラートは、供給力が需要を満たさない状態に陥り、停電が予想される場合に発令されるもので、2019年に入って14回発令されている。 印刷用PDF
2019.11.04
中国:国網信息、雲南省の大学とブロックチェーンの共同研究所を設立
現地専門紙によると、送電事業者である国家電網公司の完全子会社である国網信息通信産業集団有限公司(国網信息)は2019年11月4日、雲南省の昆明工科大学と共同で先端技術分野に関する研究所を設立した。この施設では、エネルギー事業に関係したIoTやブロックチェーンについて、基礎的な理論研究から実用化に向けた取り組みまで広範な活動が想定されており、将来的には、この研究に政府の科学技術部などが参加することも視野に置かれている。国網信息は既に同大学の支援を受けて、ブロックチェーン技術を活用したマイクログリッド用の認証システムを開発した実績がある。 印刷用PDF
2019.11.04
米国:米国、「パリ協定」からの離脱を国連に正式通告
米国のマイク・ポンペオ国務長官は2019年11月4日、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を国連に正式通告したと発表した。同長官は声明で「国際的な議論においては、イノベーションと開かれた市場が、より大きな繁栄、より少ないCO2排出量、より安定したエネルギー源をもたらすことが裏付けており、米国は、現実的で実用的なモデルを示し提案し続ける」と述べた。また同日トランプ大統領は、ケンタッキー州の支持者を前に「私は、費用がかかり一方的な恐ろしいパリ協定からの離脱を発表した」と述べ、火力発電所のCO2排出規則クリーンパワープランの撤廃など、これまでのエネルギー分野での実績をアピールした。他方、気候変動対策を重要視する民主党の大統領選候補者からは、バイデン前副大統領がツイッターで「気候危機は、カリフォルニア州が山火事、アイオワ州は洪水に見舞われるなど日々増しているのに、トランプ大統領は科学の放棄と米国の国際的なリーダーシップを放棄している」と非難した。地元報道によると、大統領選候補者の中では、バーニー・サンダース上院議員がとりわけ気候変動対策への発言を行っており、グリーン・ニューディールの提案者で、サンダース上院議員への支持を表明しているアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員や環境団体のサンライズ・ムーブメントが11月9日にイベントを予定するなど、選挙戦での争点化を図っている。なお、パリ協定を離脱する国は米国が初となり、今後1年の待機期間を経た2020年11月4日に正式な離脱が可能となる。 印刷用PDF
2019.11.02
英国:政府、フラッキングによるシェールガス開発を一時禁止へ
英国政府は2019年11月2日、イングランドにおけるシェールガス開発のためのフラッキング(水圧破砕)を一時禁止する決定を行った。政府(保守党政権)は、これまで、エネルギーセキュリティの観点からフラッキングを支持してきたが、フラッキングによる地震発生の予見可能性を判断することは現状では不可能とする石油・ガス局(OGA)のレポートが発表されたことから、安全性を証明する新たな証拠が提示されるまで、これを一時的に禁止する判断を示した。また、シェールガスの大規模開発のためフラッキングを「国家的重点インフラプロジェクト(NSIP)」として位置付ける政策方針を示していたが、今回の決定により、これを見送った。 印刷用PDF
2019.11.01
中国:太陽光発電設備の建設コストが過去6カ月で11%下落
2019年11月1日付の報道によると、大手エネルギーシンクタンクのBloomberg New Energy Fund (BNEF)は、中国における太陽光発電設備の建設コストは、過去6カ月で11%下落し、1kW当たり570ドルになったとの調査結果を明らかにした。これにより、新たに建設される太陽光発電設備の発電コスト(均等化発電原価:LCOE)は石炭火力を下回ったとされている。 印刷用PDF
2019.11.01
ロシア:ノボボロネジ第二発電所2号機(VVER-1200)が商業運転開始
ロシア国営原子力企業ロスアトムは2019年11月1日、ノボボロネジ第二原子力発電所2号機(VVER-1200、120万kW)が商業運転を開始したと発表した。同号機は予定より30日早く運開し、VVER-1200としては同発電所1号機、レニングラード第二原子力発電所1号機に次いで国内3基目となる。なお、ロシア国外ではフィンランド、ハンガリー、中国、バングラデシュ、ベラルーシなどがVVER-1200の導入を決めている。 印刷用PDF
2019.11.01
カナダ:ケベック州で最大約99万軒が停電
2019年11月1日ケベック州を強力な前線が通過、大雨、強風、雪をもたらした。ケベック州南部の強風は時速100kmを超えたと報道されている。ハイドロ・ケベック社は、11月1日午後3時時点で、最大約99万軒停電していた需要家が、11月3日午前11時には15万軒を下回り、停電件数の85%、84万軒が復旧したと報じた。11月5日の午後3時には、停電件数は1万1,000軒を下回り、98%が復旧、11月5日中にすべて復旧できると発表した。 印刷用PDF
2019.10.31
米国:米国の風力発電設備量が1億kWを突破
エネルギー情報サイトは2019年10月31日、米国風力発電協会(AWEA:American Wind Energy Association)がまとめた風力発電開発状況を伝えた。これによると、連邦政府が実施している発電税額控除(PTC:Production Tax Credit)の適用が終了する2019年末を見据え、開発を進めるプロジェクトが増えている。2019年9月末までに設置された設備は累計1億kW超だが、うち2019年内に設置された設備量は367万kWで、これは前年同期比で約123%の増加に相当する。PTC認定をめざした年内の風力発電開発は引き続き活発に行われており、2019年第3四半期に建設中の事業は2,265万kW、開発中の案件は2,384万kW(579万kWの洋上風力含む)に達しており、当面、米国の風力発電設備量は拡大することになる。 印刷用PDF
2019.10.29
デンマーク:発電電力量予測手法の見直しでOrstedの株価が7%下落
エネルギー情報誌は2019年10月29日、世界最大の洋上風力事業デベロッパーのOrstedが洋上風力における発電電力量予測について見直しを必要としたことで、同社の株価が7%下落したと報じた。同社は、タービン近くで風速が減速する事象や、数多くのタービンを設置した際のタービン相互の影響を考慮すると、発電電力量はこれまでの想定より減少すると説明した。これにより、同社が建設中の洋上風力発電所に関する内部収益率(Internal Rate of Return)が8%から7.5%に低下することになる。洋上風力発電は政府の補助政策による事業が拡大してきており、近年は競争が激化している。 印刷用PDF
2019.10.23
インドネシア:PLN、2028年以降の石炭火力への新規投資停止へ
2019年10月23日付の現地紙によると、国有電力会社PLN戦略ディレクターのAbumanan氏は、世界的に石炭火力への投資が低減していることを認識し、インドネシア国内では2028年以降石炭火力への新たな投資は行わないとコメントした。なお、同国の2019~2028年の電力供給事業計画によれば、2028年の発電容量に占める石炭火力の割合は2019年と比較し減少しているものの、50%以上を維持している。 印刷用PDF
2019.10.23
米国:PG&E社、山火事の未然防止を目的とした大規模計画停電を実施
カリフォルニア州電力最大手のパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社(PG&E社、本社:同州サンフランシスコ)は2019年10月23日、電力設備に起因する山火事の未然防止を目的とした大規模計画停電(PSPS:Public Safety Power Shutoff)を開始したと発表した。今回のPSPSは約17万8,000世帯に影響が及ぶ見通しである。PSPSは、山火事を引き起こす危険性が高い場合の最終手段として州規制当局からの承認を得ているものであり、2019年10月9~12日にも実施された(約80万世帯に影響)。 印刷用PDF
2019.10.22
韓国:政府、「第2次気候変動対応基本計画」を閣議決定
現地紙によると、政府は2019年10月22日、「第2次気候変動対応基本計画」を閣議決定した。韓国は2015年6月、2030年の温室効果ガス排出量についてBAU(追加的な削減を行わないケース)比で37%の削減を国別削減目標(NDC)として設定、2016年12月にはその達成へ向けて「第1次気候変動対応基本計画」を策定していた。今回の計画では、電力については、老朽石炭火力の廃止と新設見あわせ、再エネ電源シェアの拡大が求められているが、具体的な実施事項に関する言及はなく、2019年12月に策定予定の「第9次電力需給基本計画」に委ねられる内容となっている。 印刷用PDF
2019.10.21
英国:英国初となる極低温電力貯蔵プロジェクトが始動
電力貯蔵ソリューションのHighview Power社は2019年10月21日、英国の系統運用会社National Grid ESO社と契約を締結し、英国初となる容量5万kW/25万kWhの極低温電力貯蔵設備の建設計画を発表した。極低温電力貯蔵設備とは、電力エネルギーを用いて空気をマイナス196度まで冷却のうえ液化貯蔵し、必要時に常温気化させてタービン動力とするものである。同設備は、電圧調整能力、慣性力、ブラックスタート機能などを具備しており、系統安定化に大きく貢献することができるとしている。また、同社は米国でも同設備の建設プロジェクトに着手している。 印刷用PDF
2019.10.21
ポルトガル:再エネ事業者EDP Renewables、浮体式洋上風力の1基目を設置
エネルギー情報サイトは2019年10月21日、ポルトガルで実施される浮体式洋上風力発電の1基目のタービンが立地地点まで曳航されたと報じた。WindFloat Atlanticと呼ばれるこのプロジェクトは、ポルトガル沖合20kmで実施され、ポルトガル大手電力事業者傘下の再生可能エネルギー専門会社であるEDP Renewables(出資比率54.4%)、フランスのエネルギー事業者Engie(25%)、スペインの石油事業者Repsol(19.4%)、米国のPrinciple Power(1.2%)によるコンソーシアムが実施主体である。タービンはMHI Vestas製V164-8.4 MWを採用しており、今後2カ月以内に2基が加えられ合計3基となる。洋上風力発電はこれまで多くの着床式事業が実施され、急速にコストダウンが進んでいるが、水深が60m以上の地点では浮体式とする必要があり、電力事業者を含む多くの企業や団体が浮体式の実証事業を計画・検討している。浮体式洋上風力発電の現在のコストは0.18~0.20ユーロ(約22~24円)/kWhであるが、2030年には0.04~0.06ユーロ(約4.8~7.2円)/kWhまで低下すると予想されている。 印刷用PDF
2019.10.17
米国:ニューヨーク州、同州で過去最大規模の蓄電池導入プロジェクトを承認
ニューヨーク州公益事業委員会(NYPSC)は2019年10月17日、同州で最大規模の蓄電池導入プロジェクト(31万6,000kW、持続時間最大8時間、リチウムイオン電池)を承認したと発表した。デベロッパーはRavenswood Development, LLC社で、約50年前に建設されたレイベンズウッド発電所の火力電源16基を代替することを目的としており、稼働開始予定は2021年3月。同設備はニューヨークISO(NYISO)とニューヨーク市の電力会社コンソリデーティッド・エジソン社(Con Edison社)の給電指令を受ける。 印刷用PDF
2019.10.17
米国:DOEのペリー長官が年内に退任、後任はブルイエット副長官
トランプ大統領は2019年10月17日、エネルギー省(DOE)のリック・ペリー長官が年内に退任すると発表した。また、DOEが同日に公表したリック・ペリー長官からトランプ大統領に宛てた辞任を伝える書簡では、ペリー長官がトランプ政権で奉仕することは「極めて名誉」であること、米国がエネルギー輸出国に転換したこと、電力部門からの温室効果ガス排出量が減少し1987年以来最低のレベルになったことなど、政権のエネルギー分野での実績を振り返り、後任がこの任務を継続するための準備が整っているとし、「年末に辞任する」と述べた。退任の公表を受け、トランプ大統領は翌18日に自身のツイッターで、DOE長官の後任に現DOE副長官のダン・ブルイエット氏を指名することを明らかにした。ブルイエット氏は、フォード自動車の副社長やルイジアナ州のエネルギー規制当局での委員(2013~2016年)などの経験があり、上院での超党派の承認(賛成79、反対17)を経て2017年8月からDOE副長官に就いている。なおペリー長官の正式な退任日は発表されていないが、10月21日時点の地元報道によると、長官は2019年12月1日に辞任するとしている。 印刷用PDF
2019.10.16
EU:独仏首脳、2050年のカーボンニュートラルなど環境政策の支持を表明
ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領は2019年10月16日、EUの政策課題について意見交換を行い、合意内容を発表した。この中で気候変動政策を最重要課題と位置付け、2019年11月に就任予定のウルズラ・フォン・デア・ライエン新欧州委員長が発表している「欧州グリーンディール(European Green Deal)」を支持することを明らかにしている。具体的にはEUとして議論している2050年の長期排出削減目標についてはカーボンニュートラルに賛成で、その実現に向けて排出量取引制度(EU-ETS)への下限価格の導入、気候変動対策を十分に実施していない国に対するWTOルールに準拠した国境調整税の導入、欧州投資銀行(EIB)を通じた「グリーン金融」の強化などの可能性をあげている。 印刷用PDF
2019.10.16
米国:バージニア州の洋上風力、初めて連邦当局の許可を取得
エネルギー情報サイトは2019年10月16日、バージニア州で電力大手Dominionが進める洋上風力事業のパイロットプロジェクトが初めて連邦政府の許可を取得したと報じた。米国の北東部各州は洋上風力事業を積極的に進めており、欧州の事業者を中心に事業開発が行われている。このような中、バージニア州でDominionが発注し、Orstedが建設している事業は出力が1万2,000kW(6,000kWを2基設置)と小さいこともあり、他の事業に先行して、連邦政府が管理する海域で行う事業としては初めて許可を取得した。建設を担当するOrstedは、このパイロット事業以外に米国北東部で多数のプロジェクトを開発しているため、今回の諸手続きは自社の事業でも参考になると話している。Dominionはパイロット事業に続いて、総出力260万kWの洋上風力発電を建設する計画である。 印刷用PDF
2019.10.14
中国:政府、燃料電池車向け補助金を廃止へ
2019年10月14日付の専門紙によると、中国政府は燃料電池車向けの補助金を打ち切る方針を明らかにした。これは10月に入り、政府が大手自動車メーカーである上海汽車集団の陳虹董事長宛の公開レターで明らかにしたもの。同董事長は、2019年3月の全国人民代表大会で政府に対して燃料電池車への補助継続を求めていた。政府はこのレターで、燃料電池車向け補助金については2021年末をめどに段階的に縮小・廃止する方針を示している。なお、政府は現在、燃料電池車向けに乗用車20万元(約300万円)、バン・軽トラック30万元(約450万円)、バス・大型トラック50万元(約750万円)の補助を行っている。 印刷用PDF
2019.10.14
中国:中核集団、福建省?州原子力発電所(華龍一号)を着工
中国の原子力安全規制当局である国家核安全局(日本の環境省に相当する生態環境部の傘下)は2019年10月14日、福建省の?州原子力発電所1、2号機の建設許可を2019年10月9日付で発行したことを公表した。これに基づき、事業主である中国核工業集団有限公司(CNNC)は10月16日付で原子炉建屋基礎コンクリートの打設作業を開始する写真をHPに掲載し、同発電所建設工事が正式に着工されたことを明らかにした。中国内における原子力新規サイトの建設許可は福島第一原子力発電所事故以来初めてとなる。?州原子力発電所1、2号機には、中国が自主開発を手掛ける「華龍一号」(第3世代PWR)が採用されている。 印刷用PDF
2019.10.10
韓国:政府、水素試験都市推進戦略を発表
国土交通部(Ministry of Land, Infrastructure and Transport)は2019年10月10日、水素を主たるエネルギー源とする水素都市づくりに向けた「水素試験都市推進戦略」を発表した。この戦略では、一つの都市で水素の製造・貯蔵・輸送・利用を完結させて市民が健康的でクリーンな生活ができるような「水素都市」の構築が目指されている。国土交通部では、まずトライアルとして国内3カ所で2022年をめどとして「水素試験都市」の形成を目指す方針であり、今後自治体からの実施計画書をもとに、2019年末までには選定作業を終える予定である。なお、「水素試験都市」の選定を受けた自治体は、燃料電池を利用した住宅や商業施設、水素配管等の建設費用のうち半額が支援対象となる。 印刷用PDF
2019.10.09
中国:国家電網有限公司、上半期純利益は大幅減
2019年10月9日付の電力専門紙によると、世界最大の電気事業者である国家電網有限公司の上半期における純利益が昨年同期比で大幅な減少となり、経営が厳しくなっていると報じた。国家電網有限公司の社内会議で、2019年上半期の売上金額は1兆2,400万元(約18兆6,000億円)、昨年同期比3.3%増加であるものの、純利益は同15.26%減少の304億元(約4,560億円)にとどまっていることが報告された。同社会長である寇偉(Kou Wei)氏は電力体制改革の進化、社内改革を通じて、コスト削減、売上増、新規需要の開拓、金融事業のテコ入れなどの施策により下半期の経営指標の挽回を訴えた。なお、国家電網有限公司を含む送配電会社は政府の電力料金の値下げ政策に対応し、2018年に続き、2019年にも、業務用電力の一部料金を1割ほど値下げしている。 印刷用PDF
2019.10.09
米国:PG&E社、山火事の未然防止を目的とした大規模計画停電を実施
カリフォルニア州電力最大手のパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社(PG&E、本社:同州サンフランシスコ)は2019年10月9日、送電線の樹木接触による発火など電力設備に起因する山火事の未然防止を目的とした大規模計画停電(PSPS:Public Safety Power Shutoff)を開始したと発表した。今回のPSPSは3段階で計画されており、最終的には約80万世帯に影響が及ぶ見通しである。PSPSは、山火事を引き起こす危険性が高い場合の最終手段として送電を止めることが、州規制当局から承認を得ているものであり、2019年6月にも2度実施された。2019年5月に同州政府は、2018年11月に発生した大規模山火事(死者85名)の原因は、同社の送電設備であると結論付けた。同社は2017年と2018年の山火事に伴う訴訟を数多く抱え、損害賠償額が300億ドル(約3兆円)以上となる見通しであることから、2019年1月に連邦破産法第11章(日本でいう「民事再生法」に相当)の適用申請を行った。 印刷用PDF
2019.10.08
フィンランド・ドイツ:FortumがUniper株の過半数を取得へ
フィンランドのエネルギー大手Fortumは2019年10月8日、ドイツのエネルギー大手Uniper株式の20.5%を投資ファンドのElliott ManagementおよびKnight Vinkeから約23億ユーロ(約2,800億円)で買い取り、出資比率を70.5%超に引き上げると発表した。ドイツのエネルギー大手E.ONが従来型電源等をスピンオフして設立したUniperについて、Fortumは、2018年1月にE.ONから約47%の株式を取得し、更なる買い増しを進めていた。FortumはUniper買収について既に欧州委員会から承認を得ているが、今後は関係国の審査を経て、2020年3月までの買収完了を目指す。2018年末時点でFortumはフィンランド、スウェーデン、ロシア等でCHPや原子力、水力発電所等を1,372万kW運用し、Uniperはドイツ、スウェーデン、英国等でガス火力、石炭火力発電所等を計3,400万kW運用しており、Fortumは今回の買収目的をスウェーデン等における事業運営上のシナジー効果の発揮、およびFortumのドイツ等への事業展開であるとしている。 印刷用PDF
2019.10.07
欧州:系統運用者、入札ゾーン見直しの考え方に関する提案を提出
2019年10月7日付の欧州電力系統運用者協調機関(ENTSO-E)のプレスリリースによると、欧州の系統運用者らは、卸市場の入札ゾーン見直しに当たっての考え方、方法論の提案を、欧州各国のエネルギー独立規制機関に対し提出した。これは、2019年6月に成立したEU域内電力市場規則の第14条における規定に従った措置と位置づけられる。今後、規制機関は3カ月以内に、今回のENTSO-Eの提案に関する決定を全会一致で行う(ここで決定に至らなかった場合は欧州エネルギー規制者協調機関(ACER)がさらに3カ月の間に決定)。こうしたプロセスを経て、入札ゾーン見直しの方法論が承認されれば、系統運用者らは加盟国および規制機関に対し、12カ月以内に具体的な入札ゾーンの維持ないし変更に関する共同提案を行うとしている。 印刷用PDF
2019.10.07
米国:風力のPPAによる購入価格はkWh当たり2セントを下回る
金融関係情報サイトは2019年10月7日、米国政府が発表した風力発電に関する資料の情報として、電力購入契約(PPA)に基づく卸電力価格は1kWh当たり2セントを下回ったと報じた。エネルギー省では毎年、風力発電導入に関する資料を公表しており、導入量やコストなど最新状況を明らかにしている。2018年を対象とした今回の資料では、2018年も風力発電の導入量が拡大しており、特にPPAで調達する卸電力価格が低いことが注目を集め、内陸部の案件(22件)では0.93~1.97セント/kWhであった。このように内陸部では風力発電電力は安価な価格で契約されている一方、同地域では太陽光が風力発電をさらに上回る勢いで価格低下が進んでおり競争は激化、その結果、両者の価格はガスコンバインド発電の燃料価格を下回る水準となっている。 印刷用PDF
2019.10.04
フィリピン・ロシア:フィリピンとロシア、SMR建設に向けた覚書締結
ロシア国営原子力企業ロスアトム社傘下で原子炉輸出を担うロスアトム・オーバーシーズ社とフィリピンのエネルギー省は2019年10月4日、小型モジュール炉(SMR)の分野で協力するための覚書(MOI)を締結した。同覚書には、フィリピンでSMR技術に基づく原子力発電所建設に向けた事前の実現可能性調査を実施することが含まれる。また、一部報道では、ロシアがフィリピンに対して、海上浮揚式原子力発電所の建設プロジェクトを提案したと伝えている。 印刷用PDF
2019.10.03
スペイン:イベルドローラ、メルセデスベンツとEV充電サービスで提携
エネルギー大手イベルドローラは2019年10月3日、スペイン国内で自動車大手メルセデスベンツと今後3年間にわたりメルセデスベンツ車オーナー向けのサービスで提携すると発表した。具体的には、メルセデスベンツのEVブランド「EQ」の新車購入者向けに、イベルドローラが家庭へのEV充電器の設置や発電源証明で保証された再エネ100%由来の電力供給等を行う。さらに、公共充電網の利用促進策の一環として、同サービスの対象者に対して同社が設置した公共充電器を6カ月間無料で利用できるサービスも提供する。なお、同社は2021年までにスペイン国内に2万5,000台のEV充電器を設置することを目標に掲げており、2019年9月にはスペインの企業としては初めてとなる「EV100」(EVの普及を推進する国際イニシアティブ)への加盟を発表し、スペインおよび英国で保有する社有車約3,500台をEV化するとの目標を掲げるなど、EV普及に向けた取り組みを進めている。印刷用PDF
2019.10.03
米国:ペンシルベニア州、炭素排出量取引(RGGI)に参加へ
ペンシルベニア州のトム・ウォルフ知事(民主党)は2019年10月3日、米国北東部の10州が実施している炭素排出量取引制度(RGGI)への参加を正式に決定した。同州は州内で発電した電力の3分の1を州外に輸出しており、「RGGIに参加することで、気候変動問題に対応し、排出量を削減するための重要な機会が得られる」と州の幹部はコメントしている。ペンシルベニア州では50%程度を石炭とガス、43%を原子力で発電している。今回の決定では2020年7月31日までにRGGIに参加するための具体的な規則を提案することが求められている。RGGIはコネチカット、デラウェア、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモント、ニュージャージー州が加盟しており、ペンシルベニア州の参加は11番目となる。印刷用PDF
2019.10.03
米国:PacifiCorp社、石炭火力20基を廃止し700万kWの再エネを導入
2019年10月3日付のエネルギー専門誌によると、米国西部を中心として事業展開する電力会社PacifiCorp社は10月3日、2025年までに700万kWの再生可能エネルギーと蓄電池を導入し、所有する24基の石炭火力電源の内、2038年までに20基を廃止すると発表した。これは、同社の今後20年間にわたる統合資源計画(IRP:Integrated Resource Plan)のドラフト版で示されており、石炭火力については、7基の早期廃止、および2030年までに約280万kW、2038年までに約450万kWを廃止する計画である。10月18日には、同社が事業を営んでいる6つの州で長期戦略を発表するとし、その中に、風力、太陽光+蓄電池、400マイル(約640km)の送電線建設計画が含まれる。印刷用PDF
2019.10.02
ブルガリア:コズロドイ原子力発電所6号機、10年の運転期間延長が決定
ブルガリアの原子力規制庁(Nuclear Regulatory Agency)は2019年10月2日、コズロドイ原子力発電所6号機(VVER、100万kW、1993年運開)の運転期間を10年間延長したと発表した。同機はこれにより、2029年までの運転が可能となる。同発電所の最高責任者であるNasko Mihov氏によると、試験の結果同機は、今後30年間は運転可能であるとしており、2029年以降も運転を継続していく構え。なお、ブルガリアの原子力発電所は現在、同発電所5、6号機の2基のみが運転しており、同国における発電電力量の34%を占めている。印刷用PDF
2019.09.30
英国:Centrica社、家庭用給湯器を利用したDR計画を発表
エネルギーサービス会社Centrica社は2019年9月30日、同社が提案する一般家庭用給湯器を利用したデマンドレスポンス計画が、同国の系統運用会社National Gridに承認されたことを発表した。同社は、オックスフォード大学のスタートアップ企業Mixergyと共同で開発したスマート給湯器制御システムにより、家庭への給湯を最適化したうえで周波数安定化にも寄与できるとしている。同社は2019年6月以降、約100台のスマート給湯器を発売したが、既設の蓄電池等を含めた安定した高速周波数応答デバイスを今後6年以内に100万kW規模に成長させるとしている。印刷用PDF
2019.09.29
中国:中国石油、大規模油田およびシェールガス田を発見
国営新華社の報道によると、中国石油天然ガス集団(CNPC)は2019年9月29日、中国北西部のオルドス盆地における石油探査で、新たに確認埋蔵量が3億6,000万t、推定埋蔵量が6億9,000万tに達する10億t級の油田(慶城大油田)を発見した。関係者によると油田付近には100万t級の石油採掘設備が新設され、またこの設備は将来、年間300万t規模まで拡張される予定である。さらに同社は四川盆地(四川省)でも新たに埋蔵量7,410億m3のシェールガス田を発見しており、これで同社のシェールガス生産能力は年間100億m3に達する見通しである。 印刷用PDF
2019.09.29
中国:国家能源局、2019年の石炭火力廃止目標を発表
国家能源局は2019年9月29日、「2019年の石炭火力廃止目標に関する通知」を公表した。これによると、国内18省で合計886万4,000kW分の石炭火力を2019年中に閉鎖するとされている。対象となる石炭火力は、5万kW以下のすべての設備に加え、20万kW以下の熱併給を行わない発電設備、および30万kW以下の設計寿命を迎えかつ設備改善がなされない発電設備となっている。なお、「第十三次5カ年計画」(2016~2020年)で掲げられた、同期間内に合計2,000万kW分の石炭火力発電設備の廃止目標は、既に達成されている。印刷用PDF
2019.09.26
中国:国務院、電気料金の石炭価格連動制を見直し
国務院は2019年9月26日に開催した定例会議で、石炭価格に連動している電気料金制度の見直しを決定した。中国の電気料金は2005年末以降、石炭価格に連動しているが、これを中国各地における石炭火力からの系統売電料金をベースとする基本料金に需給市場を反映させた調整を加える方式とすることに変更した。この調整幅については、取り敢えず上方10%、下方15%という変動限度幅が示されているが、具体的には別途規定することとなっている。なお、本変更は2020年1月から1年間の試行期間を経て本格実施される予定である。印刷用PDF
2019.09.25
フランス:政府、2021年度から「グリーン・バジェット」を導入
ダルマナン行動・公会計大臣は2019年9月25日、2021年度予算から、国の全歳入・全歳出が環境へ及ぼす影響を評価する「グリーン・バジェット」を導入することを発表した。「グリーン・バジェット」は、2017年12月に政府が主催したOne Planet Summitにおいて、マクロン大統領が導入を示唆していた。評価方法は、国の全歳入・全歳出が「生物多様性」、「気候変動対策」、「水・廃棄物処理」、「汚染対策」という分野に及ぼす影響を、-1から+3の4段階で評価するというもの。財務監督局(IGF)が、同方法を用いて2019年度予算案の一部を評価したところ、上述の分野の一つ以上に対して悪影響と判断された歳出は250億ユーロ(約3兆円)で、特に燃料やエネルギーの税制優遇措置が多くを占めるとされた。また、好影響と判断された歳出は350億ユーロ(約4兆2,000億円)となった。なお、9月27日の環境移行・連帯省発表によると、2020年度のエネルギー関連の予算案は、前年度から8億ユーロ(約960億円)増の322億ユーロ(約3兆8,640億円)となった。炭素税については、2018年11月から実施されている「黄色いベスト運動」(燃料税引き上げに対する抗議運動)を受けて、2019年度の引き上げが凍結されていたが、2020年度予算案においても引き上げに関する言及はなかった。印刷用PDF
2019.09.23
中国:華龍一号用燃料、CNNC製造工場で量産を開始
中国核工業集団有限公司(CNNC)は2019年9月23日、国産の第3世代炉である華龍一号(HPR1000)用の燃料(CF3:China Fuel 3)の量産を開始したと発表した。同社は、2014年7月より開始した秦山II-2号機のCF3燃料集合体4体の照射試験が2019年3月に終了し、商業的量産体制が整ったことを同年5月に明らかにしていた。CF3は長期サイクル運転にも適用でき、華龍一号以外のプール型低温熱供給炉(燕龍:Yanlong)や多目的小型モジュール炉(玲龍一号:ACP100)にも使用されるという。同集合体は17×17の264本の燃料棒で構成されており、HPR1000には177体が装荷される。CF3は、四川省宜賓(Yibin)にあるCNNCのPWR燃料工場において製造される。印刷用PDF
2019.09.22
ドイツ・スロバキア:ドイツとスロバキアが脱石炭連合に加盟
2030年までの石炭火力停止を訴えるPPCA(Powering Past Coal Alliance)は2019年9月22日、ドイツとスロバキアが加盟したことを明らかにした。9月23日に開催された国連気候行動サミットにあわせて両国がPPCAへの加盟を発表したことから、PPCAが新たなメンバーに関する情報更新を行ったもの。PPCAは2017年のCOP23で英国とカナダの呼びかけで結成され、先進国に対しては2030年までに石炭火力発電を停止することを求めている。各国政府以外にも米国の州政府を含む自治体や民間企業が参加している。ドイツは2019年1月に2038年(早ければ2035年)までに石炭火力を停止することを決定しており、気候行動サミットの開催を機に参加を決定した。一方、スロバキアのPPCA加盟は中東欧諸国としては初めてである。今回のPPCAの発表によると新たな加入によりメンバー数は、32政府、25自治体(新たにニュージャージー州、プエルトリコ自治連邦区が加入)、34企業(2つの金融機関が加入)となる。印刷用PDF
2019.09.20
米国:スリーマイル島1号機が恒久停止し稼働原発96基に
スリーマイル島原子力発電所1号機(PWR、ペンシルベニア州)は2019年9月20日恒久停止し、約45年に及ぶ運転に幕を下ろした。これにより米国内で稼働中の原発は96基となった。同発電所は経済的な理由から2017年5月に、2019年9月で恒久停止することが所有するエクセロン社により発表されていた。その後、立地するペンシルベニア州の原子力支援策の成否により運転を継続することも検討されていたが、現時点でも同支援策は成立しておらず、今回の恒久停止に至った。同州には8基の稼働中原発があるが、そのうちのビーバーバレー発電所1号機、2号機も同支援策が成立しない場合、2021年で恒久停止することを所有するファーストエナジー社が既に発表している。スリーマイル島1号機の恒久停止にあわせ、州議会下院議員3名やコミュニティ、関連会社の代表を含む数百名が、気候変動・雇用確保対策の観点から同支援策の成立とビーバーバレー1、2号機の恒久停止回避を求め、ビーバー郡の裁判所において集会を行った。印刷用PDF
2019.09.19
米国:Amazon、10万台のEVトラック導入を決定
ネット販売事業者AmazonのCEOジェフ・ベゾフ氏は2019年9月19日、同社で配送に使用する車両の電化を推進する目的で、10万台のEVトラックを発注すると発表した。同社は今回のEVトラックの導入により、2040年までにカーボンニュートラルを目指すとしている。導入される予定のEVトラックは、ミシガン州のEVメーカーであるRivianが製造するもので、2021年までに最初の車両が導入され、2022年末までに1万台の導入が進む予定となっている。同EVトラックには180kWhのバッテリーが搭載され、満充電時には700kmを超える距離を走行できるとしている。同EVトラックは右ハンドル仕様とすることも可能で、日本にも展開される可能性があるとの報道もある。印刷用PDF
2019.09.19
米国:FERC、PURPA規制の見直しを提案
連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2019年9月19日、数十年間のエネルギー市場の変化とエネルギー環境における消費者の懸念とに対処するため、1978年の公益事業規制政策法(PURPA)に基づく、小規模再エネ発電事業者とコジェネ事業者を管理する規制の見直しを提案した。1978年に連邦議会は、適格施設(QF)と呼ばれる小規模再エネ発電事業者とコジェネ事業者を優遇することにより、石油危機などに対処するとしてPURPAを制定、FERCは1980年に実施規則を制定した。その後39年間に様々な変更が加えられたが、今回の提案は、PURPAに関するFERCの最初の包括的な見直しである。変更案は、今日の競争の激しい卸売電力市場で現在の規制がどのように機能するかについての懸念に対処しながら、QFの開発を奨励し続けることを意図している。今回の提案では、(1)QFに対する買取価格を設定する際に、州がより柔軟に競争を取り入れることを可能にする、(2)買取の際の需給地点を定めた「1マイルルール」を変更するなど、全6項目の改定が謳われている。提案に対するコメントは、連邦官報に掲載されてから60日間受付けられる。印刷用PDF
2019.09.19
米国:Dominion社、2026年までに260万kWの洋上風力を設置へ
バージニア州などで電気事業を行うDominion Energy社は2019年9月19日、米国最大規模となる約260万kWの洋上風力発電所を建設することを公表した。同社は電力系統運用を行うPJMに対し送電線への接続について既に申請を行っている。同社は現在、洋上風力事業最大手のOrsted社と共同の実証事業として1万2,000kWの洋上風力発電を建設しているが、今回、許認可取得や発電所の運用など、この実証事業の経験を活かして大規模な洋上風力事業を実施する。計画では2024年から2026年にかけて毎年約88万kWが運開する予定である。今回のPJMに対する申請に続き、2020年には当該海域の調査を開始し、2022年に発電所の建設・運用計画が提出される予定となっている。印刷用PDF
2019.09.17
サウジアラビア・韓国:サウジアラビア、韓国とSMRで協力覚書を締結
サウジアラビアの「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市(K.A.CARE)」と、韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は2019年9月17日、原子力研究開発に関する包括的協力覚書を締結した。この覚書に基づき韓国は、韓国製小型モジュール炉(SMR)であるSMART炉のサウジアラビアにおける許認可取得、建設、運転に協力し、さらに両国は中東および東南アジア諸国への同炉の展開を推進する。またK.A.CAREとMSITは、2019年12月末までにサウジアラビアに原子力共同研究センターを設立する協定も締結した。SMART炉は熱出力33万kW(電気出力10万kW)のPWRで、蒸気発生器が原子炉圧力容器に内包され、進化した安全性能を有する。60年の設計寿命、3年毎の燃料交換サイクルで、海水淡水化等への熱利用も可能である。印刷用PDF
2019.09.17
デンマーク:1日の風力発電電力量が初めて消費電力量を超過
デンマークの送電系統運用者であるEnerginetは2019年9月17日、同月15日におけるデンマークの風力発電電力量が同日の消費電力量を初めて超過したと発表した。同国の西海岸地域で強風が吹いたことにより風力発電電力量が押し上げられ、同日の風力発電電力量は消費電力量を30%上回り、超過分は国外へ輸出された。特に同日午前2時~3時の時間帯には60%超過し、これは2019年6月9日の52%超過という記録を上回った。なお、同国における2018年の総発電電力量に占める風力発電電力量のシェアは約48%であり、風力発電が最も大きなシェアを占めている。また、西海岸には、スウェーデンのエネルギー大手Vattenfallが所有するスカンジナビア最大規模の洋上風力発電所Horns Rev 3風力発電所(出力40万7,000kW)等がある。印刷用PDF
2019.09.11
台湾:初の大規模洋上風力が発電開始
2019年9月11日付の現地紙によると、台湾北西部の苗栗県の沖合2~6kmに建設中の大規模洋上風力Formosa 1発電所第2期(12万kW)が9月5日に発電を開始した。このプロジェクトは、トライアルである同発電所第1期(4,000kW×2、2017年4月公式運開済)に続くもので、台湾初の大規模洋上風力となる。すでにシーメンスGamesa製の6,000kW級発電機20基のうち10基の設置が完了しており、2019年中には全基の設置が完了する見込みである。印刷用PDF
2019.09.10
中国:政府、EV電池リサイクルでの違法処理急増でガイドライン発表
工業情報化省は2019年9月10日、廃棄バッテリーの二次利用やリサイクルについて、サービスネットワークの拡充や追跡監視の強化等を求めたガイドラインを発表した。中国では近年、電気自動車(EV)の急速な普及とともに、廃棄バッテリーに使用されるコバルト等の希少金属の回収を目的に、非正規業者の違法な解体処理も増加し、作業場での爆発事故の発生のほか、環境汚染に対する懸念も強まっている。なお、新エネ車の普及が本格的に始まった2016年の販売台数は約32万台に達しており、電池寿命を3~5年と仮定すると、2020年における廃棄バッテリー量は20万t、その市場規模は100億元(約1,500億円)を超えるものと予測されている。印刷用PDF
2019.09.10
英国:政府、EV充電などを含むグリーン技術に5億ポンド以上を拠出
運輸省(DfT)や他関係省庁は2019年9月10日、クリーンで健康的な未来を創造するためのグリーン技術に総額5億ポンド(約670億円)以上を拠出すると発表した。このうち4億ポンド(約537億円)は、英国国内における電気自動車(EV)用の充電設備の整備に充てられ、さらにこのうち7,000万ポンド(約94億円)はEV用高速充電設備を新たに3,000台設置するのに充てられる。総額5億ポンド以上の内、残りは温室効果ガスの回収技術、大気汚染の防止、リサイクル技術、食の安全技術などに関する研究・開発費用に充てられる。印刷用PDF
2019.09.10
米国:エネルギー省、先進的原子力技術開発に1,520万ドル支援
エネルギー省(DOE)は2019年9月10日、先進的原子力技術開発を行う3プロジェクトに、約1,520万ドルの支援をすることを発表した。先進型原子炉などの革新的原子力技術の開発につながるプロジェクトに対してDOEが2018年から延べ5年間資金援助を行うもので、今回を含めて累計1億9,500万ドルの援助がこれまでなされている。6回目となった今回の3プロジェクトの中で注目されるのは、2019年7月のオハイオ州原子力支援策により恒久停止を撤回し運転継続することとなったデービスベッセ1号機(PWR)を所有するFirst Energy Solutionが参加するプロジェクトである。同プロジェクトでは、電気分解設備を設置し、再エネの出力等の調整のため余剰となる原子力発電の電力を活用して水素製造を行う。同号機以外ではXcel Energyのモンティセロ1号機(BWR)と、プレイリーアイランド1号機(PWR)、およびアリゾナ・パブリック・サービス(APS)社のパロヴェルデ1~3号機にも同様に電気分解設備を設置予定である。このプロジェクトへの支援額は918万ドルであり、過去の同種のプロジェクトと比較しても高水準の支援額となっている。印刷用PDF
2019.09.09
中国:中国・ロシア間のLPG陸上輸送ルートが運用開始
2019年9月9日付の現地専門紙によると、ロシアのイルクーツク油田と中国内蒙古の満州里間で、鉄道によるLPG輸送が開始された。初回の輸送では、ロシアから鉄道で送られた約1,150tのLPGが、中国の満州里にあるLPGターミナルでトラックや列車に搭載され、2つのルートで引き取り先企業に輸送された。この満州里LPGターミナルの処理能力は年間最大100万tで、第一段階は年間約10万tが予定されている。輸入業者である崑崙能源有限公司は、ロシアからの輸送列車が国境地点から24km離れたLPGターミナルまで移動する間に、中国の規制に基づいた安全要員の配置、および中国とロシアの鉄道のゲージの違いなど様々な課題があったが、無事に解決したと述べている。印刷用PDF
2019.09.09
米国:PG&E、山火事被害に最大169億ドルの損害賠償金支払いを計画
カリフォルニア州大手電力パシフィック・ガス&エレクトリック社(PG&E社、本社:同州サンフランシスコ)は2019年9月9日、連邦破産法第11条(チャプター11)に基づく更生計画(Plan of Reorganization)を、破産裁判所に提出した。同社は本計画の中で、山火事被害への損害賠償金(最大169億ドル)の支払いと、同社と再エネ事業者等との間のすべての電力購入契約を維持すること等を提案。メディアによると、同社の債務は約300億ドルを超えるとされるが、更生計画ではそれを下回る支払い上限額が設定される内容になっている。またこれまで一部の業界アナリストからは、同社の破産申請に伴い、同社の電力購入契約が破棄される可能性が指摘されていた。印刷用PDF
2019.09.07
中国:2基目のEPR、台山2号機が商業運転開始へ
中国広核集団有限公司(CGN)、フランス電力(EDF)、EDF子会社フラマトムは2019年9月7日、台山発電所2号機が商業運転に入ったと発表した。台山1、2号機はフラマトムが設計した第3世代原子炉(EPR)で、2018年12月に台山1号機がEPRとして世界初の商業運転を達成したのに続き、今回2号機が世界で2番目の商業運転に入ったもの。2号機の建設は1号機の経験を活かし、燃料装荷から商業運転開始までの工期を3カ月短縮している。EPRは現在、フラマンビル3号機(フランス)、オルキルオト3号機(フィンランド)、ヒンクリーポイントC(英国)が建設中である。印刷用PDF
2019.09.06
中国・豪州:中国の車載電池大手、オーストラリア資源生産大手の筆頭株主に
2019年9月6日付の全国紙によると、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は、豪州の資源生産大手であるピルバラ・ミネラルズ(Pilbara Minerals Limited)に出資することを明らかにした。それによるとCATLは香港に設置した子会社を経由し、ピルバラ社の第三者割当増資を引き受ける形で、総額2億6,000万元(約41億6,000万円)を出資する計画である。CATLは本取引完了後にはピルバラ社株式の8.5%を保有する筆頭株主となる(ピルバラ社の現時点の筆頭株主は、株式8.24%を保有する中国の民営企業である江西?鋒リチウム)。印刷用PDF
2019.09.05
欧州:北海のCCSプロジェクト、新たに7社がパートナーシップ協定を締結
ノルウェーのエネルギー大手Equinor(旧Statoil)は2019年9月5日、北海で取り組んでいるCO2貯蔵プロジェクトのパートナー会社のShellおよびTotalを代表して、新たに7社とCCSのバリューチェーンの拡大を目指した協力覚書を締結したと発表した。7社は鉄鋼Arcelor Mittal、フランスの産業用ガス製造Air Liquide、アイルランドの公営エネルギー事業者Ervia、フィンランドのエネルギー事業者Fortum、ドイツのセメント大手HeidelbergCement、スウェーデンの石油会社Preem、スウェーデンのエネルギー事業者Stockholm Exergi。本プロジェクトNorthern Lights Projectは、CO2の輸送、受入れそして貯蔵を行うもので、ノルウェー政府からの資金援助を既に得ている。海底試掘を2019年内に実施する予定であり、2020年に投資判断を下すことを目指している。印刷用PDF
2019.09.05
ロシア:ロスアトム社とロシア連邦サハ共和国政府、SMR建設で協力合意
ロシア国営原子力企業ロスアトム社傘下で原子炉輸出を担うロスアトム・オーバーシーズ社は2019年9月5日、ロスアトム社とサハ共和国政府が、原子力砕氷船にも採用されているRITM-200という炉型をベースとした小型モジュール炉(SMR)を建設するために協力することで合意したと発表した。この合意により両者は、SMR建設に向けた実現可能性調査、サイト調査・選定、プロジェクトの資金調達モデルの開発等で協力するとしている。なお、ロスアトム社は連邦内でのSMR運開に向け、2019年末までに候補地の最終決定を行い、6年以内に生産体制を確立し、2027年までの運開を計画している。印刷用PDF
2019.09.05
米国:CA州で50を超える自治体が新設建物の電化を促進する規則を検討
エネルギー情報専門誌は2019年9月5日、カリフォルニア州内の自治体が新設建物の電化を促進するための検討を進めていると報じている。これによると、2019年7月にBerkeley市が新設建物でガスの使用を禁止する規則を制定したが、現在では50を超える自治体が建物の電化を求める、あるいは電化に向けてインセンティブを付与する規則を検討している。シリコンバレーの南に位置するMenlo Park市では先週、集合住宅の冷暖房や給湯には電気を使用し、ガスの使用は調理用など一部に限定する規則を定めた。また、San Luis Obispo市では新設建物でのガス使用を禁止しないが、エネルギー効率を大幅に向上させる必要があり、さらに既存建物を電化するための基金に拠出を求められることになる。自治体がこのような検討を行う背景には、州政府機関が温室効果ガス排出削減に向けてガス使用を低減するためのプログラムを実施していることがある。ガス業界では電化の推進はコストが大幅に高くつき、排出削減については、廃棄物を利用した再生可能ガスや余剰電力による水素製造で貢献できると反論している。印刷用PDF
2019.09.04
フランス:シーメンス社、フランス西部でガス火力発電所の建設を開始
シーメンス社は2019年9月4日、フランス西部のブルターニュ地域において、ランディビジオ・ガス火力(コンバインドサイクル)発電所の建設を開始したことを発表した。同発電所の建設は、冬季の需給ひっ迫が問題となっているブルターニュ地域の安定供給確保のために検討が進められていた。シーメンス社は、同発電所の事業者であるTotal Direct Energie社(石油大手・仏Totalの子会社)と、建設・運転・保守に係る20年間の契約を締結している。同発電所の設備容量は44万6,000kWで、運転開始は2021年の予定。なお、2019年1月にフランス政府より発表された「エネルギー多年度計画」(PPE)の草案では、ランディビジオの建設以降、ガス火力を含むあらゆる火力発電所の新設を許可しないとしている。印刷用PDF
2019.09.03
米国:10万kW以上の蓄電池計画、世界で8件(うち米国7件)
2019年9月3日付のエネルギー専門誌によると、10万kW以上のリチウムイオン蓄電池が世界で8件設置あるいは計画されており、うち1件が南オーストラリアで2017年に運転を開始した10万kW/12万9,000kWhの容量の蓄電池であり、その他は米国で計画中の7件となる。7件は容量が大きい順で、1.Florida Power & Light社(40万9,000kW/90万kWh、2021年運転開始予定)、2.PG&E社(30万kW/120万kWh、2020年運転開始予定)、3.NextEra社(20万kW/80万kWh、2023年運転開始予定)、4.PG&E社(18万2,500kW/73万kWh、2020年運転開始予定)、5.Arizona Public Service社(10万kW/40万kWh、2021年運転開始予定)、6. Southern California Edison社(10万kW/40万kWh、2021年運転開始予定)、7.Southern California Edison社(10万kW/40万kWh、2020年運転開始予定)である。印刷用PDF
2019.09.02
韓国:新古里4号機(APR1400)が商業運転を開始
韓国水力原子力(KHNP)は2019年9月2日、新古里4号機(APR1400:PWR型140万kW級)が8月29日に商業運転を開始したことを発表した。同発電所は、2019年2月9日の燃料装荷後に7カ月の試運転を経て商業運転に至った。同発電機の設計寿命は60年であり、今回の新古里4号機の運開により、国内における運転中の原子力発電ユニットは24基、その設備容量は2,325万kWに達した。印刷用PDF
2019.09.02
米国:大型ハリケーン「ドリアン」、北米南東部沿岸で猛威
カリブ海で発生した大型ハリケーン「ドリアン」は2019年9月2日、バハマを縦断し、家屋の倒壊や死傷者を出すなど多大な被害をもたらした。バハマの島嶼の多くで停電が発生しているが、「ドリアン」の進行速度が遅いため、復旧は難航している。バハマを通過した後「カテゴリー4」に格下げされたものの依然として勢力は強く、現地の政府や電力会社は警戒感を高めている。米国立ハリケーンセンター(NHC)は、「ドリアン」は北米の南東部沿岸を北上し、ジョージア、サウスカロライナ、ノースカロライナ州に到達する可能性が高いと発表しており、被害が予想される地域の電力会社は顧客へ対して、「ドリアン」襲来へ備えることをホームページ上で呼びかけている。印刷用PDF
2019.08.29
英国:政府、水素活用事業の実証に3億9,000万ポンド出資
ビジネス・エネルギー産業戦略省(BEIS)は2019年8月29日、水素を活用するパイロット事業に総額3億9,000万ポンド(約499億円)投じると発表した。このうち、4,000万ポンド(約51億円)は水素への燃料転換の研究、1億ポンド(約128億円)は水素の広域供給、2億5,000万ポンド(約320億円)は水素利用による鉄鋼産業の低炭素化に充てられる。BEISは、これらの実証事業は、2030年までに年間輸出額が1,700億ポンド(約22兆円)に上るポテンシャルがあるとしている。パイロット事業の例としてBEISは、再エネ由来の水素をジン(蒸留酒)の蒸留に活用する「HySpirits」を紹介している。印刷用PDF
2019.08.27
フランス:政府、気候変動対策に関する委員会の委員選出を開始
2019年8月27日付の現地報道によると、政府は8月26日、気候変動対策に関する市民委員会の委員の選出を開始した。この委員会は、2019年1月15日~3月15日にかけて開催された国民大討論会で設置が決定されたもので、「エネルギー移行」に関する民意をより良く反映するために、委員として150名の国民を選出することとなっている。選出の際には、年齢や性別、職種や居住県等の諸条件を均等に満たすことが考慮され、政府からの委託を受けた調査会社により、一部の国民に委員会参加の打診を図る電話連絡が開始された。同委員会は、いずれも週末に6回の開催が予定されており、委員には、政府による日当および交通費や宿泊費等の負担が補償される。議題としては、政府の温室効果ガス削減目標を達成するための具体的な方針等が議論される予定。同報道によると、委員の選出完了は9月末、最初の委員会開催は10月上旬、委員会の結論をまとめた報告書の発表は2020年1月頃の予定となっている。印刷用PDF
2019.08.27
米国:Rocky Mountain Power社、住宅用蓄電池による米国最大のDRを開始
2019年8月27日付のエネルギー専門誌によると、ユタ州の地元電力会社であるRocky Mountain Power(RMP)社は、蓄電池と太陽光発電を用いた集合住宅でのデマンドレスポンス(DR)を9月より運用する。このプロジェクトは、ドイツの蓄電池企業Sonnen社と提携し、新たに開発される22棟、600世帯の団地において、5,200kWの太陽光発電と1万2,600kWhの蓄電池を導入し、同社が蓄電池を仮想発電所(VPP)として運用するものである。蓄電池は、全世帯に設置され、太陽光パネルは各棟の屋根に設置される。プロジェクトの総コストは3,430万ドルで、このうち、1,200万ドルが蓄電池の設備費用である。RMP社は330万ドルを拠出し、残りの3,100万ドルはコミュニティのデベロッパーであるThe Wasatchグループが拠出する。RMP社は、「自社だけではこのプロジェクトは実現できなかった」とコメントしている。また、「このプロジェクトを通じて、需要家側(BTM)蓄電池のアグリゲートやVPP運用手法などを習得することができ、将来自社エリア全体に適用していくことができるようになる」ともコメントしている。印刷用PDF
2019.08.26
中国:昆明市場をベースとする東南・南アジアを含む地域電力市場を創設へ
中国国務院は2019年8月26日、山東省、江蘇省、広西自治区、河北省、雲南省、黒龍江省6地域に自由貿易試験区(FTZ:Pilot Free Trade Zone)を設立する開放政策を発表した。その中で、雲南省では国境を越えた経済協力モデルとして、革新的科学技術分野における国際協力を特徴とする方針が提案された。特に電力分野では、昆明電力市場におけるスポット商品を充実させ、東南アジア、南アジア諸国を含めた国境を跨ぐ地域電力市場の創設へ向けたプラットフォームの構築を推進するとしている。なお、ベトナム、ラオス、ミャンマーとは既に国際連系されており、電力輸出入が行われている。印刷用PDF
2019.08.22
中国:太陽光パネル生産企業、増産に向け浙江省に100億円超を新規投資
太陽光パネル生産中堅会社の横店東磁は2019年8月22日、地元の浙江省東陽市に大規模な工場を新たに建設する方針を発表した。総投資額は7億2,000万元(約108億円)にのぼり、年内にも着工する予定である。新工場では、高性能単結晶シリコン型ソーラーパネルを生産する予定で、生産規模は年間160万kWと見られる。同社は磁性材料やソーラーモジュールを中心に研究開発・生産・販売を行っているが、最近では新エネルギー車向けの製品開発も実施している。印刷用PDF
2019.08.22
スロベニア:シャレツ首相、原子力発電所増設の必要性について言及
スロベニアのマリアン・シャレツ首相は2019年8月22日、同国唯一の原子力発電所であるクルスコ原子力発電所(PWR、69万kW)を訪問した際に、「スロベニアを今以上に発展させたければより多くのエネルギーが必要となるため、2基目の原子炉の建設に対しあらゆる努力を注ぐ」と述べ、原子炉増設の必要性を強調した。政府は2006年にクルスコ原子力発電所2号機(100万kW)の建設を計画していることを発表したが、いまだ正式決定には至っていない。なお、同発電所1号機は1983年に運開され、当初2023年に閉鎖予定だったが、2013年に20年間の運転期間延長が認可され、現在のところ2043年まで運転を継続する予定となっている。印刷用PDF
2019.08.22
ドイツ:大手電気事業者E.ON、15億ユーロのグリーンボンドを発行
エネルギー・環境情報サイトは2019年8月22日、大手電気事業者のE.ONが15億ユーロ(約1,800億円)のグリーンボンドを発行したことを報じた。これらの資金はインフラ構築やエネルギー効率化に使われる予定で、具体的には送配電システムの近代化やスマートメータ設置などカスタマーソリューション関連に充てられる。ドイツの電気事業者としてはEnBWが2018年後半に5億ユーロ(約600億円)、また2019年7月には10億ユーロ(約1,200億円)を起債し、再生可能エネルギーやEV充電器の設置に活用することを発表している。このようにグリーンボンドを通じて資金調達を行う動きは世界で拡大している。また金融機関も持続可能な投資に関心が向いており、気候変動対策を進める上で、資金調達の在り方はますます重要になっている。印刷用PDF
2019.08.21
世界:洋上風力、世界的な投資加速で2024年には8,500万kWとの予想
エネルギー・環境専門サイトは2019年8月21日、コンサルが公表した洋上風力の将来見通しについて、世界各国で投資が加速しており、2024年には設備容量が8,500万kWに達すると伝えた。同報告書は毎年公表されているもので、設置容量の伸び率は毎年拡大し、2017年、2018年にはそれぞれ16%、20%、本年の報告書では24%となっている。この背景にはコスト低下が著しいことがある。欧州では競争入札の実施などで当面の目標とされてきた100ユーロ(約1万2,000円)/MWhを下回り、2020年代中頃に稼働開始する事業のコストは卸電力価格と同程度となることが新たな目標となっている。またアジアでは中国での伸びが著しく、2019年には700万kWであったものが2024年には3,600万kWとなると予想される。また米国では2024年には500万kWに達するとされている。印刷用PDF
2019.08.20
米国:大統領、原子力宇宙船打ち上げの新ガイドラインに署名
トランプ大統領は2019年8月20日、将来において安全で持続可能な原子力宇宙船を打ち上げるための、新しいガイドラインを概説した覚書に署名した。同ガイドラインには、政府と民間による宇宙への打ち上げにおける安全分析とその開発手順が定められており、宇宙の原子力システムとして、現在、広く使用されて放射性同位元素発電システム(原子力電池)だけでなく、将来有望と目される核熱推進システムも対象となっている。核熱推進システムは、核分裂反応で発生する熱を利用して、宇宙船を非常に高速に推進させる技術で、NASAは、乗組員の火星への移動時間を大幅に短縮でき、宇宙における多くの活動に役立つとして本システムに期待している。印刷用PDF
2019.08.20
米国:米国、石油および天然ガスの生産で世界一に
米国エネルギー情報局(EIA)は2019年8月20日、米国の石油および天然ガスの生産量が2018年にそれぞれ16%、12%増加したことを発表した。EIAによると、これらの生産量の合計値が2014年以降はロシアを上回っており、天然ガス生産でも2011年にロシアを抜いて世界最大、また石油生産でも2018年にサウジアラビアを上回り世界最大となった。具体的には、米国の原油生産量は2018年に1日当り約1,100万バレル/日(b/d)の新記録を樹立する一方、乾性ガス(dry natural gas)生産量は、2018年に1日当り285億立方フィート/日(cf/d)と2年連続で最高記録を更新したとしている。印刷用PDF
2019.08.16
米国:カリフォルニア州沖の浮体式洋上風力事業、覚書を締結
エネルギー専門情報サイトは2019年8月16日、カリフォルニア州沖合で進められる浮体式洋上風力発電事業に関連して覚書が締結されたことを報じた。締結したのは事業主体のCastle Windと地元コミュニティの電力需要集約事業者であるMonterey Bay Community Power(MBCP)。これによりCastle Windは廃止される火力発電所の送電線を利用できることになり、MBCPは洋上風力事業から電力供給を受けることになる。Castle Windは浮体構造の開発を進める米国の事業者であるTrident Windsと、ドイツの電気事業者であるEnBWの共同事業体で、2025年に100万kW程度の浮体式洋上風力発電を開始する計画である。発電所の設置場所は沖合53kmで水深は800~1,000mのため浮体式とならざるを得ないが、調査によると平均風速は8.5m/sを越え、稼働率は50%以上となることが期待されている。印刷用PDF
2019.08.15
韓国:電力公社、2019年上半期も巨額赤字
2019年8月15日付の現地専門紙によると、韓国電力公社(KEPCO)は2019年度上半期の収支を発表し、連結ベースで9,285億ウォン(約820億円)の営業赤字を記録したことを明らかにした。KEPCOの営業赤字は業績不振であった昨年に比べてさらに1,138億ウォン(約100億円)悪化しており、上半期ベースでは2012年以来、最悪の実績となった。この収支悪化について、現地専門紙は、政府の脱原子力方針や大気汚染対策の下で安価な原子力や石炭火力の稼働率が低かったことに加えて、環境対策費用が膨らんだためと指摘している。KEPCOは政府からの指導もあり、夏季の電気料金引き下げを実施していることから、現地では2019年通年の収支に関しても悲観的な見方が強くなってきている。印刷用PDF
2019.08.13
オランダ:Vattenfallが初めての大型ハイブリッド発電所を建設へ
エネルギー・環境情報サイトは2019年8月13日、大手電力事業者のVattenfallが初めての太陽光・風力・蓄電池を組み合わせたハイブリッド発電事業をオランダ南部で実施すると報じた。具体的な規模は太陽光発電が3万8,000kW、風力発電が2万2,000kW、蓄電池は1万2,000kWhで、風力発電設備の建設は既に開始され、今後、太陽光発電、蓄電池の設置が行われ、2020年後半にはすべての設備が完成する予定である。Vattenfallの関係者は「個別に発電設備を設置するよりも、太陽光と風力を組み合わせて設置する方が系統への負担は少なく、さらに蓄電池を追加することで系統を効率的に活用できる」としている。また、ハイブリッドとすることで、気象条件に依存する発電量予測の不確実性を低減できるメリットもあると関係者は述べている。印刷用PDF
2019.08.13
フランス:欧州委員会、EDFによるドイツのアグリゲーターE2M買収を承認
欧州委員会は2019年8月13日、フランスの電力大手EDF(フランス電力)によるドイツのアグリゲーターE2M買収を、市場の競争を阻害しないとして承認した。E2Mは、2009年に設立されたスタートアップ企業で、2,000軒の顧客が保有する4,500の再エネ発電設備等(計300万kW)をコントロールし、短期の調整力を提供する事業をドイツで展開している。EDFは、買収決定時の2019年6月のプレス記事で、「欧州レベルでのアグリゲーション事業の市場規模は2億kW(うちドイツでは7,500万kW)と推定され、2030年には倍増が見込まれている。E2Mの買収により、EDFのアグリゲーション事業でのプレゼンスを強化する」としている。印刷用PDF
2019.08.13
米国:電力信頼度協議会、猛暑で節電要請緊急アラートを発令
テキサス電力信頼度協議会(ERCOT)は2019年8月13日午後3時10分、猛暑に伴う電力需要の増大により、供給予備力が基準(300万kW)を下回る、230万kW以下となったため、節電要請の緊急アラート(EEA1:Energy Emergency Alert Level 1)を発令した(同日午後5時に解除)。同日午後、ERCOTの需給調整市場(リアルタイム市場)の価格は、9,000ドル/MWhに達した。前日の2019年8月12日、ERCOT管轄エリアの最大電力需要は過去最大(7,453万kW、午後4~5時)を記録した。EEA1発令日(2019年8月13日)の最大電力需要は7,418万kW(午後3~4時)であった。今後2020年と2021年には、新規の風力・太陽光発電の稼働により、供給予備力は高まる見通しである。なお、ERCOTのEEA1発令は2014年1月(早朝の供給予備力不足発生)以降初であった。印刷用PDF
2019.08.05
インドネシア:ジャカルタなどで大規模停電が発生
2019年8月5日付の現地紙等によると、8月4日午前11時50分頃、ジャカルタおよび西ジャワ州と中部ジャワ州の一部で大規模停電が発生した。インドネシア国有電力会社PLNの戦略的調達部門長のDjoko氏によると、少なくとも2,130万人の顧客が影響を受けたとしている。同日夜には一部地域は復旧したものの、翌8月5日朝の時点で断続的に停電の影響を受けている地域があった。8月7日付の報道紙によると、当初PLNのMade副社長は、停電理由を首都圏への供給電源の一つであるSuralaya発電所の発電機不具合によるものとしていたが、4日夜にSripeni社長代行がMade氏の発言を修正し、中部ジャワ州にあるUngaran-Pemalang間の500kV送電線の不具合が原因であったとしている。なお、PLNによる公式な事故原因は公表されていない。印刷用PDF
2019.08.01
米国:カリフォルニア州で全米最大規模のバイオメタン製造施設が完成
2019年8月1日付のエネルギー専門紙によると、Calgren Renewable Fuels社は、カリフォルニア州に再生可能天然ガス(バイオメタン)(RNG:renewable natural gas)の製造施設を建設した。この種の施設はカリフォルニア州では最初であり、バイオガス製造施設として全米最大規模である。Calgren Renewable Fuels社は4カ所の農場から牛糞を集めて、自然発酵させることによりメタンを生成し、Southern California Gas Company(SoCalGas)社へ売却する。これにより、年間13万tの温室効果ガスの排出を抑制することができる。SoCalGas社は、2022年までに供給する天然ガスのうちRNGを5%とすることを目標としており、副社長のJeff Walker氏は2030年までに20%としたいとコメントしている。印刷用PDF
2019.07.31
英国:National Grid ESO、新技術開発投資プロジェクトの報告書を発表
英国の系統運用者であるNational Grid Electricity System Operator(ESO)は2019年7月31日、新技術投資資金(NIA)を活用したプロジェクトの進捗状況に関する報告書を発表した。NIAは、託送料金規制(RIIO)において認可されている送配電分野における新技術への投資資金であり、同社は総額336万ポンド(約440億円)を投資してきた。過去に実施された案件は36件におよぶ。内容はEV充電の需要予測、分散型電源を用いたブラックスタートなどがある。EV充電の需要予測プロジェクトでは、需要家による約800万回の充電実績値を分析し、大半のEV充電は家庭用充電器で実施されていることを示した。さらに、EV充電における需要ピークについては、家庭用充電器は平日午後7~8時、職場用充電器は平日午前8~9時、公共用充電器は平日午前9~10時に発生することも示した。印刷用PDF
2019.07.30
中国:江蘇省電力公司、過去最大の需要削減を達成
江蘇省電力公司は2019年7月30日、需要ピーク時間帯である14~15時において、デマンドレスポンス(DR)に参加表明したアグリゲーターを含む大口需要家3,155軒、電力貯蔵事業者1社(出力8,000kW)に加えて、家庭用一般需要家452世帯が合計402万kWのDRを提供したことを明らかにした。同社は、これは同社が持つ最大記録である352万kW(2016年)を更新する世界最大規模としている。今回のDRは事前に需要家の空調設備に設置したAIシステムによる自動制御を実施したほか、電力貯蔵設備の充電抑制もあわせて行った。なお、このDRに参加する需要家にはインセンティブが付与されることとなっており、省内の南京市におけるショッピングモールは1,557kW相当のDR参加で4万6,000元(約70万円)の収益を得られたとされている。なお30日の最大電力は1億716万3,000kWであり、これは江蘇省電力公司における過去最大となっている。印刷用PDF
2019.07.30
チェコ:政府、脱石炭に向けた石炭委員会の設立を発表
チェコの産業貿易省および環境省は2019年7月30日、脱石炭に向けて同国の将来における褐炭の必要性および石炭政策を検討する石炭委員会の設立を発表した。石炭委員会は産業界や学者、地方政府の代表者ら19名の委員で構成され、産業貿易大臣および環境大臣が共同委員長を務め、2020年末までに政府に対し報告書を提出する予定である。発表では、同国は世界第15位の石炭産出国であり、2018年の発電電力量のうち褐炭火力発電が43%を占めることから急激な脱石炭は不可能としつつ、石炭委員会では脱石炭に向けたスケジュール等を検討するとしている。印刷用PDF
2019.07.29
米国:民主党のハリス議員とオカシオコルテス議員、気候均等法案を発表
2020年の大統領選挙で民主党の候補者指名を争うカマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)とグリーン・ニューディール(GND)決議案の提案者であるアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(ニューヨーク州)は2019年7月29日、気候均等法(Climate Equity Act)の草案を発表した。発表によると、同法案は気候と環境の正義に基づくGNDなどの気候変動政策が歴史的、社会的に環境面での不公正に直面する地域社会(低所得層や人種的マイノリティの居住地域など)へ確かな恩恵をもたらすことを目的とする。具体的な手段では、議会予算局(CBO)が主要な法案の経済性について採点を行うのと同じ方法を用い、気候変動関連の法案がすべて公平性の面から採点されることを検討している。また両議員は、本質的にGNDは次の3つの原則に基づいていなければならないとし、第一に化石燃料の使用を中止し気候変動と闘う、第二に21世紀の良質な仕事でクリーン経済を築く、第三に地域社会が取り残されないようにすることを挙げ、同法案をGNDの重要な要素と位置付けている。今後両議員は、草案に対する地域社会のリーダーの意見を踏まえつつ、今秋にも法案の連邦議会への提出を目指す。印刷用PDF
2019.07.26
中国:蓄電池大手CATL、日本で住宅向け蓄電池事業を開始
2019年7月26日付の地元紙によると、中国の大手電池メーカーの寧徳時代新エネルギーテクノロジー(CATL)が、日本で太陽光発電等の自然エネルギー関連事業を手掛けるネクストエナジー・アンド・リソース株式会社と住宅向け蓄電池の開発・販売における業務提携契約を締結した。両社は、CATLの定置型リン酸鉄系リチウムイオン電池(LiB)と太陽光発電設備を組み合わせた、設置費用が従来品の約4分の1となる安価な発電システムを、2020年までに開発および販売する予定である。CATLは2011年に中国福建省で設立された民間企業で、2019年6月末時点の同社蓄電池生産能力は1,310万kWhで、2017年には車載電池の出荷量でパナソニックを上回り、世界最大となっている。印刷用PDF
2019.07.25
中国:国家能源局、原子力3サイトの建設承認を公表
国家能源局は2019年7月25日、定例の上半期エネルギー情勢に関する記者会見で、山東省の栄成、福建省の?州および広東省の太平嶺における原子力発電所の建設を承認したことを明らかにした。あわせて会見の席上、2019年6月末時点で中国内における6,000kW超の発電ユニットに占める非化石電源の割合が37.2%となり、昨年比で1.2ポイント増加したことについても述べられた。増加の背景には、風力、太陽光など発電設備の増加に加えて、原子力発電ユニット(海陽2号機)の運開もこれに貢献したと見られる。印刷用PDF
2019.07.25
米国:連邦議員、太陽光優遇税制を5年間延長する法案を上下院に提出
投資税額控除(ITC)の延長を目指す超党派の連邦議員は2019年7月25日、2019年末で太陽エネルギー(太陽光・太陽熱)に対するITCの現行レート30%の適用期間が終了するため、上・下院にITCを5年間延長する法案(S2289/HR3961)を提出した。法案は、上院ではキャサリン・コルテス・マスト議員(民主党、ネバダ州選出)と14人の民主党上院議員が共同提出し、下院ではマイク・トンプソン議員(民主党、カリフォルニア州選出)と24人の下院議員(民主党21人、共和党3人)が共同提出した。同法案には、太陽エネルギー産業協会(SEIA)が支持を表明し、延長に向けたロビー活動を本格化させるなど、連邦議会の内外で延長に向けた動きが活発になっている。また地元では、提出された法案に共和党上院議員が加わっていないことを懸念する声もある。印刷用PDF
2019.07.24
中国:陽江原子力発電所6号機、商業運転への準備が完了
中国広核電力股?有限公司は2019年7月24日、陽江原子力発電所の6号機(PWR、100万kW)が7月24日にすべての審査に合格し、商業運転条件をクリアしたと報じた。陽江原子力発電所ではフランス製のPWRを基に、出力を1,000MWeに拡大した準国産機CPR-1000として1~4号機までが建設されているが、5~6号は国産化率をさらに高めたACPR-1000を採用している。印刷用PDF
2019.07.24
日本・中国・ロシア:日中がロシアの北極海LNG 開発に参画
2019年7月24日付の報道によると、ロシア大手天然ガス開発会社「ノヴァテク」(NOVATEK)は7月22日、自社の「アルクティクLNG2」プロジェクトの事業権益の30%を、三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による共同出資会社「ジャパン・アルクティクLNG」、中国石油天然ガス集団(CNPC)、中国海洋石油集団(CNOOC)の3社へ売却した。今回の売却により、同プロジェクトの持株構成はノヴァテクが60%で、ジャパン・アルクティクLNG 、CNPC、CNOOC、仏トタルがそれぞれ10%となる。同プロジェクトはヤマロ・ネネツ自治管区のギダン半島を拠点とするもので、LNGの総生産能力は年間1,980万tに達する。関係者によると、第1期分の生産開始時期は2023年頃と予想され、北極海航路を通じてアジアや欧州を中心に供給される見通しである。印刷用PDF
2019.07.24
カナダ:アルバータ州、容量市場創設を撤回
アルバータ州政府は2019年7月24日、「アルバータ州は、費用対効果が高く信頼性の高い卸電力市場(電力量のみの市場)に戻り、電力システムに対する投資家の信頼を回復する。複雑な容量市場への移行は行わない」と発表した。同州は、1996年以来電力量取引市場を運営してきており、2016年には2021年に運用を開始すべく容量市場への移行を発表し、以降アルバータ州独立系統運用機関(AESO)が電力市場の見直し作業を行ってきた。しかし2019年4月の州選挙で政権を獲得した統一保守党が、前政権による様々な措置の見直しを行うことを決定、5月には独立委員会を設置し、電力市場改革について90日間でレビューを行うよう指示した。そのため、AESO作業部会は見直し作業を中断していた。印刷用PDF
2019.07.23
米国:FERC、PJMに2019年8月容量オークション中止指示
連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2019年7月23日、米国東部の地域送電機関PJMに対して、2019年8月に予定されていた容量オークション(2022年-2023年対象)の中止を指示した。2018年6月、FERCはPJMから提案されていた容量市場改革案を否決した背景がある。FERC委員のリチャード・グリック氏は「オークションの適法性と、結果として生じる容量の寄与(resulting capacity commitments)に関して、深刻な問題を生じる可能性がある」とした。印刷用PDF
2019.07.22
英国:政府、新規原子力建設に向けての新たなファイナンス素案を提示
英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2019年7月22日、新規原子力発電所建設に向けての新たな資金調達支援策として「規制資産ベース」(RAB:Regulated Asset Base)モデルを公表し、2019年10月14日までの間パブリック・コンサルテーションを実施すると発表した。2050年までにカーボンニュートラルを目指す英国として、洋上風力、太陽光等の再エネが主力としつつも、常時稼働可能で大量の低炭素電力を供給できる原子力発電の価値を認め、規制資産として建設中から電気料金に組み入れる仕組みを目指す。資金調達費用の低減により、産業界の自主的な費用削減努力と併せてプロジェクト価格の引き下げを後押ししようとするもので、コンサルテーションによって消費者も含め広く関係者からの意見を集約していく。また報道によると、先週新たに首相に任命されたジョンソン首相は国会での質疑の際、「原子力はエネルギー・ミックスの一部を構成する」と原子力支援の方向性を確認したとされる。印刷用PDF
2019.07.19
ドイツ:エネルギー大手E.ON、ブロックチェーン利用の個人データ共有で特許取得
大手エネルギー事業者のE.ONは2019年7月19日、欧州特許庁から、ブロックチェーンを用いた個人データの共有技術に関する特許を取得したことを発表した。同社は、需要家の個人データ(消費電力量など)を自社の運用するプラットフォームに提供してもらい、提供されたデータを自社の提携事業者にと共有するシステムの開発を進めている。今回の特許技術(ブロックチェーンを用いた暗号技術)は、データ共有の際に権限のない第三者の閲覧を制限する効果を高める。需要家は5ユーロ(約650円)の費用を負担する必要はあるが、個人データを提携事業者にと共有することで省エネなどのサービスを受け、光熱費削減などを実現する可能性を得られる。同社は2019年末までに同技術を活用したサービスの実証事業をスタートさせ、2020年初頭に商業化を目指している。印刷用PDF
2019.07.18
中国:CNNC、海南省自由貿易区で小型炉モデル建設プロジェクトを開始
中国核工業集団有限公司(CNNC)は2019年7月18日、海南省政府主催の自由貿易試験特区の建設着工・契約式典において、中国型多目的小型モジュール炉(SMR)「玲龍一号」(Linglong One)のモデルプロジェクト(出力12万5,000kW)の開始を発表した。「玲龍一号」はCNNCが2010年頃に開発に着手し、2016年4月に国際原子力機関(IAEA)の設計レビューを通過したとされている。本件の建設許認可を発給する国家発展改革員会は、2017年5月に同プロジェクトの準備工程の開始を承認しているが、国内の安全審査機関である国家核安全局の審査などの状況は不明である。印刷用PDF
2019.07.18
ベルギー:仏Engie子会社、洋上浮体式太陽光発電プロジェクトを発表
仏Engie子会社であるベルギーのTractebel社は2019年7月18日、同国のコンソーシアムによる洋上浮体式太陽光プロジェクトについて発表した。洋上インフラサービスのJan De Nul GroupとDEME社、太陽光発電設備メーカーのSoltech社、Ghent大学がプロジェクトに参加する。従来のダム湖等に設置される浮体式太陽光発電設備とは異なり、強い海流や高波の環境下における実証試験で技術商用化を目指す。印刷用PDF
2019.07.18
米国:エネルギー情報局、今夏の天然ガス価格は過去20年で最低と予想
2019年7月18日付の米国エネルギー情報局(EIA)の発表によれば、2019年6~8月の天然ガス価格が過去20年で最低レベルになると予想した。これは、2019年7月に発表された「短期エネルギー見通し」(STEO:Short-Term Energy Outlook)によるもの。2019年6~8月のヘンリーハブ天然ガススポット価格が平均で2.37ドル/MM(100万)BTUになると予想され、夏場の平均価格として1998年以来最低となる。また、2018年夏場の平均より0.55ドル/MMBTU、約19%の低下となる。6月の実績は、2.44ドル/MMBTUであり、これは5月より19%低下している。低下の要因は、初夏が比較的穏やかな気候であったため、発電用の天然ガス需要が低く推移していることによるものである。しかし、夏場の気温が上昇するようであれば、予想価格を上回る可能性もあるとしている。EIAは、2019年と2020年には天然ガス供給の伸びが緩やかになるため、価格は上昇し2019年後半の平均は2.50ドル/MMBTU、2020年の平均は2.77ドル/MMBTUになると予想している。印刷用PDF
2019.07.13
台湾:原子力委員会、第一原子力発電所の廃炉を正式に許可
2019年7月13日付の現地紙報道によると、台湾原子力委員会(原能会)は7月12日、第一原子力発電所の廃炉を正式に許可した。これを受けて台湾電力公司は、25年間を要する同発電所の廃炉作業を開始する。同発電所1号機は2018年12月5日に、また2号機も7月15日に、運開40年を迎えた。今後、初めの8年間で除染作業を開始し、その後の12年間で廃炉作業を実施、3年間のモニタリング期間の後、最後の2年間で最終的な作業を終了する。反原子力団体の緑色公民行動連盟の洪申翰事務局次長は、台湾のエネルギー転換のマイルストーンであると評価し、今後の安全管理と除染を徹底するよう求めた。一方、地元の新北市は廃炉に向けた使用済燃料の保管方法を巡って懸念を表明しており、台湾電力は同市当局と近く協議を行う予定である。印刷用PDF
2019.07.12
米国:トランプ大統領、ウラン輸入制限に同意せず
米国は、ウラン関連役務(鉱石採掘、精錬、転換、濃縮、燃料製造)の9割以上を輸入に依存している。本状況が拡大通商法232条(対象物が国家安全保障に対して大きな脅威となる場合、関税引き上げ等の輸入制限実施の権限を大統領に与える)に該当するとした商務省報告に対し、トランプ大統領は2019年7月12日、同意しないと発表した。ただし、米国内のウラン産業が厳しい状況下にあり、それが国家安全保障上の課題であることには同意し、米国核燃料ワーキンググループを設置し90日以内に国家安全保障の観点から米国内でのウラン燃料サプライチェーンに関し報告することを命じた。原子力エネルギー協会(NEI)のコーズニック会長は「今回の大統領判断を称賛する。ウランの輸入制限は原子力発電所に非常に大きな経済的打撃を与えかねない。また、米国核燃料ワーキンググループの設置は、ウラン鉱石採掘業者を始めとするウラン燃料製造にかかわる米国企業をサポートする非常に現実的な取り組みである」と発表しており、原子力発電業界は、ウラン燃料費の増加が回避されることとなった今回のトランプ大統領の決定を歓迎している。印刷用PDF
2019.07.12
米国:カリフォルニア州、電力会社の破綻回避の基金を創設
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2019年7月12日、電力設備を起因とした山火事の発生で電力会社が経営破綻することを回避するための基金(210億ドル)を創設する法案に署名した。今後、住民に被害があった場合、電力会社が支払う損害賠償金を本基金から補う。2019年1月、同州の電力大手パシフィック・ガス・エレクトリック社(本社:同州サンフランシスコ)は、2017年と2018年に同州で発生した山火事により、300億ドルを超える損害賠償費用が発生する可能性があるとして破産申請を行った。これを受けて、信用格付け機関は、同州の電力大手サザン・カリフォルニア・エジソン社(本社:同州ローズミード)とサンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリック社(本社:同州サンディエゴ)について、山火事による巨額損害賠償を抱えるリスクを低減する法的な具体的対策が取られない限り、これら2社の格付けを下げる可能性を示していた。印刷用PDF
2019.07.11
フランス:国際エネルギー機関、世界のCO2削減には原子力が必須と提言
国際エネルギー機関(IEA)は2019年7月11日、最近発表した原子力と水素に関する報告書(“Nuclear power in a clean energy system”と“The Future of Hydrogen”)に関連した会議をパリで開催し、大江博OECD日本政府代表部大使をはじめレヴィEDF会長他が出席した。IEAのファティ・ビロル事務局長は、世界のCO2排出量を削減するためには、「唯一の解決策はない」と発言し、原子力を含むすべての技術の利用を呼び掛けた。「現在の政策が見直されなかった場合、原子力設備の約3分の2が2040年までに失われてしまう」、「原子力発電所の閉鎖を止めることが、クリーン電力の将来のためには、必須である」と述べ、原子力発電所の運転延長が「コスト面で非常に競争的である」と強調した。また、EDFのレヴィ会長は「工業国が既存の原子力発電所の運転延長や設備の新設に投資しないと、気候変動目標の達成が危うくなる」と主張した。印刷用PDF
2019.07.11
米国:ニューヨーク州、電力系統近代化に1,500万ドル支出
ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事は2019年7月11日、電力系統の近代化プロジェクトに1,500万ドルを支出することを発表した。同州の送配電系統に、再エネ電源を統合する際に生じる技術的課題を解決することが目的である。同州では、電源を2040 年までに100%クリーンエネルギー由来とする法案(Climate Leadership and Community Protection Act)が2019年6月に成立しており、今回はその取り組みの一環である。資金提供は2019年前半と後半の2回に分けて行われ、前半はニューヨーク市の電力会社コンソリデーティッド・エジソン社(Con Edison社)とパートナーを組む、分散型電源関連プロジェクト(モニタリング、データ分析、先進的予測)等が対象となる。印刷用PDF
2019.07.10
中国:電力分野の温室効果ガス排出量は2027年頭打ちとの予測
2019年7月10日付の現地紙によると、Bloomberg New Energy Finance社が中国における電力分野の温室効果ガス排出量について、2027年頃をピークとし、その後は減少に転じるとの見通しを明らかにした。同社は、中国における電力需要は2050年までに現在と比較して約65%増加するものの、再エネ発電のコストが今後さらに低下するため、石炭火力が2025年以降は新設されないと予想している。印刷用PDF
2019.07.09
ロシア・中国:ロスアトムの燃料子会社、中国の高速実験炉に燃料供給
ロシア国営原子力企業のロスアトム社は2019年7月9日、子会社であるTVEL燃料会社が中国の高速実験炉(CEFR)用の燃料1バッチ分を納入したと発表した。同社の発表によると、同燃料はTVEL社と中国原子能工業有限公司(CNEIC、中国核工業集団有限公司CNNCの子会社)、中国原子能科学研究院(CIAE)との契約に基づき、同社モスクワ地区の工場で製造されたものである。CEFRは研究用に使われているが、2万kWの発電所としても運用され、国際原子力機関(IAEA)は、ロシア以外の国に存在する唯一の高速動力炉として分類している。また、中国が建設中のCFR-600型高速中性子実証炉用の燃料も、同社とCNNCの子会社が2019年1月に締結した契約に基づき同工場で製造する予定としている。さらに両国は、田湾原子力発電所のロシア型軽水炉VVER-1000用燃料の供給、ロシア製燃料部品を使ったYibin(四川省宜賓)工場でのVVER-1000用燃料のライセンス生産に続き、VVER-1200用燃料の供給についても交渉しており、高速炉技術の協力は、その長期的戦略の一環と見られる。印刷用PDF
2019.07.09
フランス:政府、仏発の航空券および運輸部門における新税導入を発表
ド・リュジ環境移行・連帯大臣(当時)およびボルヌ交通担当大臣は2019年7月9日、航空部門および運輸部門を対象とし、2020年から新税を導入することを発表した。航空部門については、すべての航空会社のフランス発の航空券が対象となる。フランス国内およびEU域内行についてはエコノミー:1.5ユーロ、ビジネス:9ユーロ、EU域外行についてはエコノミー:3ユーロ、ビジネス:18ユーロが課されることとなる。運輸部門については、トラック輸送用の燃料を対象とした税制優遇措置が削減され、2020年から、軽油1リットルにつき2ユーロ・セントの増税が適用される。政府は、これらの政策により見込まれる税収(航空部門は年間1億8,000万ユーロ、運輸部門は年間1億4,000万ユーロ)を、フランス交通インフラ支援機構(AFITF)に全額充当するとしている。政府のこの決定について、Air France社をはじめとする航空会社および運輸業界は強く反発している。印刷用PDF
2019.07.07
韓国:政府、「ディスラプティブ」技術開発に1,600億ウォンの予算を計上
2019年7月7日付の現地紙によると、産業通商資源部(経産省に相当)は高性能電気自動車(EV)など、ディスラプティブ(革新的な)技術開発予算として1,600億ウォン(約150億円)を予算計上したことを明らかにした。この予算は「Alchemist」(錬金術師)と名付けられ、支援対象となる技術は、1分間の充電で600km走行可能なEV、ロボットスーツ、透明なソーラーパネル、変換効率35%以上の高性能ソーラーパネル、走行するほど大気を浄化できる自動車、高効率ヒートポンプなどである。8月6日までに支援対象案件を決定し、向こう6年間で研究開発、実証試験を行う予定としている。印刷用PDF
2019.07.05
中国:上海市、世界最大規模のごみ処理発電施設が運開
2019年7月5日付の電力関係紙によると、上海市のごみ処理センターである老港再生エネルギーセンターの第2期プロジェクト(処理能力6,000t/日)のプラントが6月28日に運開した。発電能力は15万kW(5万kW×3機)。第1期プロジェクトと合わせると、上海市の年間ごみ排出量の3割以上(約300万t)の処理能力を持つ、世界最大規模のごみ発電施設となっている。なお、上海市は7月1日付で、ごみをリサイクルごみ、台所ごみ、有害廃棄物、残渣の4種に分別することやこれを順守しない場合、最高で個人に200元(約3,200円)、事業者には5万元(約80万円)の罰金が科される内容の「生活ごみ管理条例」を施行している。 印刷用PDF
2019.07.04
欧州・ポーランド:ポーランド、仏独主体のバッテリー製造計画に参画
2019年7月4日付の現地報道によれば、フランスとドイツが中心となって進めている欧州のバッテリー製造能力の向上計画に対して、ポーランドが正式に参画を表明した。2019年6月28日に欧州委員会に表明し、同7月4日に両国大臣とともに式典を行った。同計画は、欧州の電気自動車で用いられるバッテリーの大半がアジアで製造されていることへの危機感から、フランスが7億ユーロ、ドイツが10億ユーロを投じて、2023年までに両国に一地点ずつバッテリー製造工場を建設するものであり、材料の調達やリサイクル手法の確立も目指している。ポーランド政府やポーランド企業が参画することとなるが、その支出予定額や具体的な関わり方等については明らかにされていない。また、イタリア、ベルギー、オーストリア、フィンランドの参画可能性も報じられている。印刷用PDF
2019.07.02
中国:政府、2030年までの温室効果ガス排出削減目標の引き上げを示唆
環境情報サイトは2019年7月2日、中国政府は、フランス政府、グテーレス国連事務総長との共同声明で、気候変動目標について現状目標を越える「更新」を行う意向を明らかにした。パリ協定に基づき各国はそれぞれが設定する温室効果ガスの排出削減目標を提出しているが、2020年までに、これらの目標を「更新」することになっている。これまで提出された目標ではパリ協定の温度抑制目標が達成できないと分析されているため、国連ではこれまでの目標を上回る目標を再設定することが必要と訴えており、今回の声明は中国政府として目標引き上げを示唆したものである。EUでも2050年の目標を引き上げ、カーボンニュートラルとすることを議論しているが、EUとして意思決定は先送りになっており、中国が目標を引き上げれば主要国では初めての動きになる。 ており、既にシェルやBPなどは今回の措置を歓迎するコメントを発表している。 印刷用PDF
2019.07.02
中国:石油・天然ガス探査・開発を外資へ開放
2019年7月2日付の現地紙などによると、国家発展改革委員会と商務部は外国投資に関する規制業種を示す「ネガティブ・リスト」の2019年版を発表し、石油・ガス探査開発事業について、これまでは外国資本は中国事業者とのJV方式に限定されていたが、この制限を撤廃することを明らかにした。現地では、この方針に関して、中国政府の国際協力および国内開発推進政策の一環との見方がされているが、これまで中国における石油・天然ガス開発は、中国石油天然気集団(CNPC)などの国営企業が大きな位置づけを占めており、既にシェルやBPなどは今回の措置を歓迎するコメントを発表している。 印刷用PDF
2019.07.01
フランス:下院、「エネルギー移行法」改正法案を採択
環境移行・連帯省は2019年7月1日、エネルギー移行法の改正等を行う「エネルギーと気候に関する法案」が、国民議会(下院)で6月28日に採択されたことを発表した。エネルギー移行法の改正は、現在諮問機関等で審議中の「エネルギー多年度計画」(PPE)に法的効力を持たせるために必要なもの。同改正法案は40条以上から成り、第1条で、「2050年の温室効果ガス排出量を1990年比で6分の1未満に削減し、カーボンニュートラル達成」を掲げている。また、そのための手段として、「2022年に国内4カ所の石炭火力発電所の停止」、「低断熱住居の全廃」、「原子力発電電力量切り出し制度(ARENH)の切り出し量引き上げ」等を挙げている。同法案は、7月16日から上院で審議される予定。 名以上のエクセロン社の社員も、ホルテック社のもとで廃止措置作業に従事する。 印刷用PDF
2019.07.01
米国:廃炉事業のホルテック社、オイスタークリーク発電所の買収完了を発表
Holtec International社(ホルテック社)は2019年7月1日、2018年9月に閉鎖したオイスタークリーク原子力発電所をエクセロン社から買収したことを発表した。同発電所については、原子力規制委員会(NRC)が2019年6月、エクセロン社からホルテック社へのライセンス移管を承認していた。ホルテック社は今後、同発電所の使用済燃料をプールからサイト内の乾式貯蔵施設(ISFSI)に移送する計画である。また、これまで同発電所に勤務していた200名以上のエクセロン社の社員も、ホルテック社のもとで廃止措置作業に従事する。 印刷用PDF
2019.07.01
米国:ドミニオン・エナジー社、洋上風力発電の建設プロジェクトに着手
電力大手ドミニオン・エナジー社(本社:バージニア州リッチモンド)は2019年7月1日、バージニアビーチ沖、陸から約43km(約27マイル)の場所に、洋上風力発電タービン(発電容量6,000kW)を設置するプロジェクト(Coastal Virginia Offshore Wind project)において、陸地側工事に着手したと発表した。本プロジェクトは2017年に発表され、米国連邦政府の管轄水域に設置が認められた最初のものである。2020年夏季に電力海底ケーブルを敷設し、電力系統に接続される予定。本プロジェクトは、同社の温室効果ガス排出削減と再エネ導入の取り組みの一環である。同社は洋上風力発電を対象に、2023年までに11億ドルの設備投資を行う計画である。 印刷用PDF
2019.07.01
米国:カリフォルニア州で世界最大級の蓄電設備の建設が計画
2019年7月1日付の報道によると、米国の蓄電システム会社であるFluenceは、カリフォルニアの電力会社であるサザンカリフォルニアエジソン社との契約により、老朽化した南カリフォルニアのAlamitos発電所の改良工事の一環として10万kW/40万kWhの大型蓄電設備を設置することを明らかにした。同蓄電設備は2021年1月1日に運転開始する計画で、老朽化したガス火力発電設備の最新鋭コンバインドサイクル・ガスタービン火力発電設備への更新と蓄電設備と組み合わせることで系統の信頼性向上と再生可能エネルギーの統合が期待される。 印刷用PDF
2019.06.30
アラブ首長国連邦:単一で世界最大の太陽光発電プロジェクトが運転を開始
2019年6月30日付の現地報道によれば、アラブ首長国連邦(UAE)で水道事業と電気事業の計画、調達、供給の調整を行う大手企業Emirates Water and Electricity Company(EWEC)は、設備容量が118万kWとなる、単一のサイトでは世界最大の太陽光発電プロジェクト「Noor Abu Dhabi」が商業運転を開始したことを発表した。同発電所は、広さ8km2の敷地に320万枚のソーラーパネルが設置されている。同社は、このプロジェクトにより、アブダビでは再生可能エネルギーによる発電量が増加し、発電部門での天然ガス使用が削減され、エネルギーの持続可能性と効率性を高まり、UAEのCO2排出量が年間100万t削減されるとしている。このプロジェクトはアブダビ電力公社と日本の丸紅と中国のJinko Solar Holdingとのコンソーシアムとの合弁事業である。 印刷用PDF
2019.06.30
中国:国家発展改革委、中西部地域向けの海外資本導入促進政策拡大へ
国家発展改革委員会は2019年6月30日、海外資本による国内産業への参加促進政策である「外商投資認可特別措置」2019年版を更新した。新措置法は7月30日から実施され、海外資本が参入できる種目を大幅に拡大するほか、中西部への参入を特に優遇するとしている。流通分野では、海運、都市ガス、熱供給などインフラ事業の投資規制を撤廃した。中西部に対しては農業、資源探査など、参入可能業種を増やしたほか、今後、更なる促進政策を制定することとされている。 印刷用PDF
2019.06.28
ラオス:政府、低使用量家庭向け電気料金を50%引き下げ
2019年6月28日付の報道によると、ラオス政府は、外国からの投資促進、製造業の競争力向上、および低所得者の生活水準改善のため電気料金を引き下げる。カマニー・エネルギー鉱業大臣が記者会見で明らかにしたもので、引下げ率は家庭用が50%、産業用が7~16%。新料金がいつから適用されるかは明らかにされていないが、月間使用量50kWh未満の家庭には1kWh当たり4.55円の特別料金が適用される。一方、使用量50kWh以上の家庭には同9.1円を適用し、さらに2025年まで年1%ずつ引き上げる。他の閣僚や県知事の多くは、低所得者を優遇するべく月間使用量150kWhまで特別料金を適用するよう提案している。産業用料金は、中小企業向けを1kWh当たり10.13円から同9.89円に引き下げ、月間使用量10万kWh以上の大口需要家は現在の同9.28円から同9.89円に、100万kWh以上は同7.8円に引き下げる。 印刷用PDF
2019.06.28
中国・米国:Tesla社EV爆発事故、バッテリーモジュールが原因と発表
Tesla社は2019年6月28日、同社の電気自動車(EV)「Model S」が起こした上海での爆発事故(2019年4月21日)の原因はバッテリーモジュールであり、システムには欠陥が無かったと発表した。同社は、中国版Twitterの微博(Weibo)への投稿の中で、調査チームによる分析の結果、「車両に搭載されたバッテリーモジュールの一部が原因」としている。この不具合を受け、同社はバッテリーの保護強化と寿命延長のため、「Model S」と「Model X」のバッテリーの充電と温度を管理するソフトウェアをアップデートしたと発表している。 印刷用PDF
2019.06.28
ベルギー:周辺国の脱石炭加速化で電力不足が拡大の見通し
ベルギーの送配電会社Eliaは2019年6月28日、2025年の原子力全廃に伴い不足する発電設備容量の見通しを360万kWから390万kWへと上方修正したことを明らかにした。現状、電力需要の約50~60%を原子力発電で賄う同国では、政策による2025年の原子力全廃に向けた代替電源の確保が急務となっている。今回の見通し修正は、周辺国で加速する脱石炭火力の動きに鑑み、今後、電力調達の不確実性が高まることや、困難化することを考慮に入れたもの。さらに、隣国の脱石炭火力の加速の影響により、2025年の国内原子力全廃を待たずして、2022~2025年の間にも100万kW超の容量不足が発生し、電力需給面での対策を余儀なくされることも新たに明らかにした。同社は、40年を超えた原子炉の運転期間の延長許可、容量メカニズムによる制度的な補償など、連邦政府の組織的な関与による制度の早期確立なくしては、国内の安定供給維持に重大な影響を及ぼすと警鐘を鳴らしている。 印刷用PDF
2019.06.27
英国:政府、CCUSプロジェクトへ2,600万ポンドを支援
2019年6月27日付の報道によると、政府は9つのCCUS(Carbon Capture Utilization and Storage)のプロジェクトへ合計2,600万ポンド(約35億4,000万円)を支援する。9つのプロジェクトには、英国の発電事業者であるDraxが所有するノースヨークシャーのDrax Power Plant(バイオマス発電所)におけるBECCS(バイオマス発電とCCSを組みあわせてCO2排出をマイナスとする技術)プロジェクトの規模拡大(500万ポンド(約6億8,000万円)の援助獲得)や化学製品メーカーであるTata Chemicals Europeが所有するノースウィッチの重炭酸ナトリウム工場へのCO2回収設備設置(年間4万tのCO2を回収、420万ポンド(約5億7,000万円)の援助を獲得)などが含まれる。 印刷用PDF
2019.06.25
フィンランド:ポシヴァ社、使用済燃料封入施設の建設を開始
フィンランドの使用済み燃料最終処分の実施主体であるポシヴァ社(TVO社とフォルトゥム社の合弁会社)は2019年6月25日、最終処分場予定地であるオルキルオトで使用済燃料封入施設の建設を開始したと発表した。同国では使用済燃料を直接処分する方針であり、同工場では、使用済燃料を最終処分用のキャニスターに封入する作業が行われる。最終処分場の操業は2023年を予定している。 印刷用PDF
2019.06.24
中国:政府機関、電力貯蔵に関する行動計画を発表
国家発展改革委員会、国家能源局、科技部、交信部の4部門は2019年6月24日、共同で電力貯蔵技術および産業発展に関する行動計画(2019-2020)を発表した。同計画では、電力スポット市場の構築や関連政策の策定を急ぐとするとともに、電気自動車用バッテリーおよび充電設備の活用、海水揚水発電や研究開発、国家規格の標準化等がうたわれた。 印刷用PDF
2019.06.21
フランス:大手電力EDF、組織再編案を労働組合に提示
2019年6月21日付の現地報道によれば、フランス電力(EDF、国が株式84%を保有)は同6月20日、原子力事業と再エネ・小売事業の分離を柱とする組織再編案を労働組合に提示した。EDFを親会社「EDFブルー」と子会社「EDFグリーン」に分割し、「EDFブルー」は原子力発電、水力発電に加え、送電子会社RTEを管轄する。一方、「EDFグリーン」は電力小売事業、配電事業、再エネ事業を担う。「EDFブルー」の株式は国が100%保有し、「EDFグリーン」の株式は「EDFブルー」が65%程度保有する(残りは一般投資家に開放される)。また、「EDFブルー」の原子力発電電力量は、全量が規制価格で卸されるようになるとの報道もある。EDFの資金調達能力の向上を目的とする今回の再編案は、今後フランス政府との合意を経て、2019年末までに欧州委員会に提案される予定。この組織再編案に対して、労働組合は小売部門等の従業員の待遇悪化につながるおそれがあるとして強く反対しており、2019年9月19日にストを行うことを発表した。 印刷用PDF
2019.06.20
米国:FERC、サイバー攻撃の報告義務要件を強化
米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2019年6月20日、電力系統のサイバーセキュリティに関する報告義務要件を改定した。これまではサイバー攻撃について、系統信頼度に致命的な被害を与えた場合のみ報告義務があった。しかし、2018年の北米電力信頼度協会(NERC)調査によると、停電等の実害が及ばなかった程度のサイバー攻撃は増加しており、電力系統のリスクは増しているとの結果を得た。これを受け、FERCは電力会社に対しサイバー攻撃に関する報告の範囲を拡大し、またこれらの情報をNERCおよび国土安全保障省と共有するとしている。 印刷用PDF
2019.06.20
英国:産学共同プロジェクト、水素列車の試運転が開始
2019年6月20日付の報道によると、英国のバーミンガム大学と鉄道車両リース会社であるPorterbrook社が共同で開発した水素列車「HydroFlex」の試運転がイングランド中部の州であるWarwickshire州のLong Marstonで実施された。水素列車はドイツで実用化されて以来世界で2台が走行しているが、今回のHydroFlexは3例目を目指すとしている。英国では2019年現在、鉄道網全体の42%のみが電化(列車は70%以上が電動化)されており、電化されていない箇所は主にディーゼル燃料(列車の約24%を占める)で走行しているため、その燃料を水素へ転換することでCO2削減が可能であるとしている。また、HydroFlexは今後2年以内の運開を目指しており、政府が打ち出している2040年までのディーゼル列車の廃止に貢献するとしている。 印刷用PDF
2019.06.19
米国:環境保護局、火力発電所からのCO2排出量削減の新規制案を公表
米国環境保護局(EPA)は2019年6月19日、オバマ前政権の「クリーン・パワー・プラン」(CPP)を置き換え、トランプ政権が米国民に手頃で信頼できるエネルギーを提供しつつ、排出量の削減を継続することを目的とした「アフォーダブル・クリーン・エナジー最終規則」(ACE:Affordable Clean Energy)を公表した。ACEの最終規則は、2017年3月にトランプ大統領が発令した「エネルギー自給と経済成長の促進に関する大統領令(Executive Order 13873)」に基づき実施されたCPPの見直しの集大成という位置づけで、最終規制の内容は、2018年8月に初めて公表されたACE案とほぼ同じ内容である。ACEはCO2排出量規制のための州政府に対するガイドラインと位置付けられている。ACEが実施されると、石炭火力発電所へのCO2排出量規制の推進は、連邦政府ではなく州政府が担うようになる。このため、州政府は石炭火力発電所に対して、州独自のCO2排出量削減基準を設定することができるようになる。またACEは、既存の石炭火力発電所の熱効率向上を求めている。そのためにEPAは6つの技術的選択肢を挙げており、これらの技術を利用し、CO2排出量の削減につなげる。さらにACEは、各州に石炭火力発電所の効率向上に向けた計画の3年以内の提出を義務付ける。一方で州政府は、個々の石炭火力発電所での限られた効率向上を要求するかどうかを決定する広い裁量を付与されることから、老朽化石炭火力発電所の延命をも可能にする。石炭火力発電所からのCO2排出量削減について、CPPから緩和されたACEの最終規制の公表を受け、2020年の大統領選挙に向けて気候変動との闘いを争点に掲げる民主党は批判を強めている。また、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、アイオワ、コロラド、ニューヨークの各州の司法長官は、ACE規則を阻止するために訴訟を起こすとの声明を出すなど、気候変動政策を積極的に推進する州からの反発も依然として続いており、今後の動向が注目される。 印刷用PDF
2019.06.18
米国:ニュージャージー州がCO2排出量取引制度(RGGI)に再加入
エネルギー専門情報サイトは2019年6月18日、ニュージャージー州のマーフィー知事(民主党)が、米国北東部で実施しているCO2排出量取引制度(RGGI)に再加入するための規則について同州が公式に同意し、RGGIでの排出量取引に復帰することを発表したことを報じた。ニュージャージー州はRGGIが開始した2009年には同制度に参加していたが、2011年にクリスティー前知事(共和党)が脱退を発表し、その後2018年11月の知事選挙で当選したマーフィー知事がRGGIへの再加入を検討していた。RGGIは北東部の9州が共同で取り組んでいる排出量取引制度で、ニュージャージー州の再加入で10州となるが、バージニア州もRGGIへの参加を検討している。 印刷用PDF
2019.06.16
アルゼンチン・ウルグアイ:6月16日の早朝に広域停電が発生
アルゼンチン日刊紙は2019年6月16日(日)、同日にアルゼンチン全土(南部フエゴ島除く)と隣国ウルグアイにわたる広域で大規模停電が発生し、5,000万人以上が影響を受けたと報じた。報道では、地下鉄や鉄道なども運休し、隣国パラグアイやブラジル南部地域の一部にも影響が出たことが報じられている。停電の発端はアルゼンチン東部サルト・グランデ~ヤシレタ間の500kV送電線の故障で、その後、アルゼンチン電力系統(SADI:Sistema Argentino de Internexion)内の発電所が停止し、影響が広範囲に及んだものとされる。同送電線はサルト・グランデ水力発電所、ヤシレタ水力発電所が接続しているもので、サルト・グランデ水力発電所(189万kW)はウルグアイの電力需要の50%程度、およびアルゼンチンの電力需要の3%程度を賄うとされているが、停電の影響で停止した。一方、ヤシレタ水力発電所(320万kW)は停電による影響はなかったと発表されている。今回の原因について政府発表は無く、系統運用者CAMMESAのJorge Ruiz Soto氏は「停電の発生原因は特定できていない」と述べている。エネルギー省は48時間以内に原因の究明に当たるとしている。同省はサイバーテロによる攻撃も原因の一つとして排除しないが、前週の大雨で送電線に何らかの影響があったことも推測されている。アルゼンチンのマクリ大統領は6月17日に声明を発表し、復旧状況を伝えるとともに、根本的な原因を調査すると約束した。 印刷用PDF
2019.06.13
中国:政府、2030年までの省エネ行動計画を発表
国家発展改革委員会(NDRC)をはじめとする政府の7省庁は2019年6月13日、2030年までの省エネ行動計画を公表した。これによると、民生部門の冷房・冷蔵・冷凍分野などの省エネの目標として2022年に1,000億kWh、2030年には4,000億kWhの消費削減を設定している。政府は今後、効率が悪い旧式機器の買い替えの推進支援・奨励策を導入するほか、関連設備の省エネ基準の引き上げなどの施策を打ち出す予定である。 印刷用PDF
2019.06.13
中国:国家開発銀行、上海協力機構関連国のインフラ事業へ巨額の融資
大手紙は2019年6月13日、中国国家開発銀行(CDB)が開示した資料を分析した結果、上海協力機構(SCO:Shanghai Cooperation Organization)の加盟国(ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタン)、オブザーバー国(モンゴル、イラン、ベラルーシ、アフガニスタン)、対話パートナー国(スリランカ、トルコ、アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール)への電力分野を含むインフラ関連プロジェクトの融資規模は2019年3月までに496億ドル(約5兆4,000億円)に達したと報じた。経済協力で加盟国とオブザーバー国にそれぞれ設置している銀行連合体にも87億ドル(約9,450億円)、100億元(約1,570億円)それぞれの融資を実施している。 印刷用PDF
2019.06.13
中国:2020年の非化石エネルギー利用目標15%は前倒しで達成の見込み
2019年6月13日付の地元紙によると、国家能源局の幹部が青海省で開催されているクリーンエネルギー発展に関する国際フォーラムの席上、「2018年末までの再エネ利用実績を分析した結果、一次エネルギー消費に占めるクリーンエネルギーの利用比率の上昇が進んでおり、2020年までに15%という政府目標は2019年内に達成できる見込みである」と述べた。政府は、2030年20%という次の目標に向けて取り組みを始めている。なお、水力を含む、風力、太陽光発電の導入量はそれぞれ世界トップで、累計7億2,900万kW(国内総発電設備の38.4%)、2018年の発電電力量は1兆8,670億kWh(国内総発電電力量の26.7%)となっている。 印刷用PDF
2019.06.13
カナダ:連邦政府、アルバータ州に来年1月から連邦炭素税を導入
2019年6月13日付の報道によれば、カナダのキャサリン・マッケンナ連邦政府環境大臣は同日、アルバータ州のジェイソン・ニクソン環境大臣に書簡を送付し、同州による炭素税廃止決定に対して、同州の消費者に連邦炭素税を来年1月から課すという計画を伝えた。また、マッケンナ連邦環境大臣は、「今秋の総選挙で自由党が再選された場合、自由党連邦政府は2022年以降、炭素税を1t当たり50ドル(ガソリンに対して約11.5セントリットル)以上引き上げることはない」と語った。 印刷用PDF
2019.06.12
欧州:ドイツVW、リチウムイオン電池の大規模工場建設に参画
ドイツのフォルクスワーゲン社は2019年6月12日、スウェーデンのバッテリーメーカーのNorthvolt社と共同で、スウェーデン北部のSkelleftea市に欧州初となるリチウムイオン電池の大規模工場を建設すると発表した。既に欧州投資銀行から3億5,000万ユーロの融資を受けており、計画では2019年8月に着工、2021年に製造が開始され、同工場での生産規模は年間3,200万kWh相当となる予定である。両社はこの他、ドイツ北部のSalzgitter市にも共同でリチウムイオン電池の製造工場を建設する計画で、Salzgitter市の工場は生産規模が年間2,400万kWh相当で、2023~2024年に稼働が開始される見通しである。 印刷用PDF
2019.06.11
タイ・ラオス・マレーシア:ラオス、マレーシアとの三国間取引を拡大
2019年6月11日付の報道によると、タイのエネルギー省はラオス、マレーシアとの電力取引量を現在の3倍に増やす方針であることを明らかにした。この取引は既に10万kW規模でパイロットスキームが開始されているが、今回明らかとなった内容では、これを3倍の30万kWとする方向であり、2020年9月の署名を予定している。マレーシアとタイ・ラオスに1時間の時差が有ることを利用し、タイが自国のピーク時間帯に両国からの買電量を増やすとしている。 印刷用PDF
2019.06.11
韓国:エネルギー貯蔵設備の火災事故調査委員会、調査結果を公表
2019年6月11日付の現地紙報道によると、相次ぐエネルギー貯蔵設備(ESS)の火災事故に対応するため韓国政府が2019年1月に設置した官民合同の事故調査委員会が同日、事故調査報告を公表した。調査対象となったのは23件の事故で、韓国政府は調査期間中、トップメーカー2社のSamsung SDI社、LG化学のESS設備の出荷停止、全国で稼働中のESS全体の35%に相当する1,499カ所の設備の運用差し止めを命令していた。事故原因について、(1)蓄電池の保護装置、(2)設備の運用管理、(3)設備の設置状況、(4)蓄電池と制御装置のマッチング、に問題があったことが原因と結論付けた。しかし、メーカーの責任を追及することは避け、安全基準を見直して9月に発表するとの考えを明らかにした。この発表を受けて、Samsung SDIなど各社は、秋以降には出荷を再開できるものと期待を表明している。 印刷用PDF
2019.06.11
英国:Scottish Power、英国最大の陸上風力発電所への蓄電池設置計画が進展
エネルギー大手のScottish Powerは2019年6月11日、同社が保有・運転する英国最大の陸上風力発電所であるWhitelee風力発電所(最大出力53万9,000kW)の敷地内に蓄電池を設置する計画に関して、同計画がスコットランド自治政府から承認されたと発表した。設置される蓄電設備はサッカーコートの半分ほどの大きさで、リチウムイオン電池5万kWで構成され、1時間以内でフル充電が可能。この蓄電池を利用し、風力発電の間欠性を補完するとともに、英国の系統運用者であるNational Gridへ周波数調整サービスを提供するとしている。本計画は、2019年2月にScottish Powerが20億ポンド(約2,820億円)を再エネやEV充電設備の設置等に投じるという2019年の投資計画を発表した際に言及されていた。今後、2020年早期に蓄電設備の設置を開始し、同年末までに運開する予定としている。 印刷用PDF
2019.06.10
英国:政府、FITに代わる補助金制度を2020年1月から導入予定
ビジネス・エネルギー産業戦略省(BEIS)は2019年6月10日、固定価格買取制度(FIT)に代わる再エネ(5,000kW以下)の新たな支援制度となる「Smart Export Guarantee(SEG)」の法案を提出した。BEISの最終案によると、契約数15万軒以上の規模を持つ小売供給事業者に対し2019年末までに各社で買取価格を設定することを義務付け、2020年1月からSEGの運用を開始する。SEGの対象は、合計5,000kW以下の再エネ発電設備(太陽光、小水力、小規模CHP、陸上風力、バイオガス)を新たに導入する需要家で、電力を系統に供給した際に買取価格(Export Tariff)が支払われる。BEISは、買取価格の設定を小売各社に委ねることで競争が生じ、買取価格は卸市場価格の水準に収れんしていくであろうと説明している。また、FITのように全国一律ですべての需要家から賦課金を徴収するわけではないため、需要家負担は少なくなるとみている。さらに、SEG契約者が補助金を最大限受け取るため蓄電池が積極的に導入される可能性もあり、需要が高まる時間帯に電力が投入されることで負荷平準化につながることも期待されている。 印刷用PDF
2019.06.07
米国:2019年4月末時点の発電設備容量、再エネが石炭火力を初めて上回る
連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2019年6月7日、2019年4月の「Energy Infrastructure Update」月例レポートを公表した。レポートによると、4月末時点の再生可能エネルギー(水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱)の発電設備容量の割合が21.56%(2億5,753万kW)となり、石炭火力の21.55%(2億5,748万kW)を、わずかではあるが初めて超えたことが明らかになった。再エネの発電設備は2019年初より、風力で18ユニット154万5,000kW、太陽光で102ユニット147万3,000kW、水力で4ユニット2万9,000kWが運開し、増加傾向にある。特に風力の発電設備容量の伸びは顕著であり、現在の8.25%(9,862万kW)から、今後数カ月で水力の8.41%(1億44万kW)を上回る見込みである。他方、石炭火力は2022年までに85万kWの発電設備が新たに導入予定である一方、1,300万kWの廃止が計画されている。なお、実際の発電電力量は、各電源の稼働率で異なってくるため、年間を通した発電電力量で再エネが石炭火力を上回るとは限らないが、米エネルギー情報局(EIA)は2019年4月の再エネの発電量が石炭火力の発電電力量を初めて上回り、同5月も同様となる見通しを明らかにしている。 印刷用PDF
2019.06.07
米国:ブルームバーグ元NY市長、石炭火力発電所の廃止等に5億ドルを資金提供
マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長の財団であるBloomberg Philanthropiesは2019年6月7日、2030年までに米国内のすべての石炭火力発電所の閉鎖や天然ガス火力発電所の新設を止め、100%クリーンエネルギー経済を目指すために、ブルームバーグ氏が取り組む新たなキャンペーン「Beyond Carbon」に5億ドルを寄付すると発表した。ブルームバーグ氏は2019年3月5日、2020年の大統領選挙への不出馬を表明した際、こうした100%クリーンエネルギー経済を支援するための活動を行うことを宣言していた。なおブルームバーグ氏は2018年3月、国連事務総長の国連気候変動対策特使に任命され、気候変動に関する取り組みを積極的に行っている。またBeyond Carbonは、州政府および地方都市と協力して、100%クリーンエネルギー法、気候汚染を段階的に抑制するための目標とスケジュール、電気自動車の普及促進などを進めていくとしている。現地では、ブルームバーグ氏とBeyond Carbonは、2020年の大統領選挙でのトランプ大統領の再選を阻止し、新たな政権によるクリーンエネルギー政策の実行を盤石にしていくため、クリーンエネルギーを優先する地方議員やその候補者等に対して、資金面での支援等も行っていくと報じている。 印刷用PDF
2019.06.06
スペイン・豪州:Iberdrola社、洋上風力事業強化のためパートナーと連携
エネルギー専門サイトは2019年6月6日、スペインの電気・ガス事業大手のIberdrolaが洋上風力事業の競争力を強化するため、豪州のインフラ基金Macquarieの100%小会社であるGreen Investment Groupと提携したことを報じた。今回の提携は、オランダで入札手続きが実施されている洋上案件について協力するものであるが、今後の協力強化のベースとなると考えられている。欧州の陸上風力や太陽光発電において、Iberdrolaはトップ事業者で、2018年2月に発表した「事業戦略2018-2022」では、投資全体の3分の1を引き続き再生可能エネルギーに投資すること、特に洋上風力事業を強化する方針を発表している。現在稼働している洋上発電設備の規模ではIberdrolaは世界で4番目であり、Orsted(387万kW)、Vattenfall(222万kW)、E.ON(144万kW)の後塵を拝しているが、開発中の案件を1,200万kW以上有しており、今後の有望な事業と位置付けている。なお、洋上風力事業は初期投資額が大きく、資金力の有無が競争力を大きく左右するため、ポルトガルのエネルギー事業者EDPとフランスの大手であるEngieもJV設立を発表するなどの動きがある。 印刷用PDF
2019.06.05
韓国:政府、第3次エネルギー基本計画を閣議決定
2019年6月5日付の現地紙報道によると、韓国政府は6月4日、4月に提案した第3次エネルギー基本計画を閣議決定した。地元紙は韓国政府が再エネ導入を加速し、脱石炭火力、脱原子力政策を維持する姿勢を改めて示したものと受け止めている。同計画では、現在全体の7%に止まっている再エネを2040年までに30~35%まで拡大し、石炭火力はガス火力への改造を行うとしている。ただし原子力比率については明示せず、老朽化した原子力のライセンス延長はせず、新しい原子力の建設も推進しないという形で、徐々に原子力比率を低下させる方針を示した。 印刷用PDF
2019.06.04
チリ:政府、2050年までの完全なカーボンニュートラルを計画
エネルギー情報サイトは2019年6月4日、チリ政府が「2050年までに完全なカーボンニュートラル」を目指すことを発表したと報じた。その過程で、「2040年までに石炭火力を全廃」するとしている。チリの低炭素化に向けたエネルギー政策は前バチェレ政権(中道左派)から開始されたが、現ピニェラ政権(中道右派)によってさらに強化されることになった。国内で運転している石炭火力発電所は28カ所あり、2018年末時点で石炭火力の発電電力量は国内全体の38%を占めているが、既に2024年までに8カ所が廃止される予定である。また、国内で事業をするAES Gener、Engie、Colbun、Enelの大手4社は自主的な動きであるが、政府の方針に協力する姿勢を示している。一方で、今後の再エネ導入拡大に向けて、更なる系統増強が必要になると見られている。 印刷用PDF
2019.06.04
中国・日本:EV大手のBYDと京セラ、新規事業で協業
地元メディアは2019年6月4日、電気自動車大手の比亜迪(BYD)と日本の京セラが太陽光発電システムとEVバスを活用した「需給一体型」の新ビジネスを展開すると報じた。今回の協業では、VPP(仮想発電所)試験プロジェクトで開発されたアグリゲーション技術を利用して、エネルギーの需給バランスを調整しながら、再エネにより発電された電気の100%有効活用を目指すとしている。今後は自治体や電力小売、送配電事業者との協力も視野に入れながら、2020年にも実証試験を開始し、2021年以降の事業化を目指すとしている。 印刷用PDF
2019.06.04
米国:バイデン前副大統領、大統領選に向けた気候変動構想を公表
2020年の米国大統領選挙に民主党から立候補を表明しているジョー・バイデン前副大統領は2019年6月4日、大統領選挙に向けた気候変動構想「クリーンエネルギー革命」を公表した。同計画では、10年間にわたって連邦政府がクリーンエネルギー、インフラおよび公衆衛生に1兆7,000億ドル(地方政府や民間部門等を加えた総額は5兆ドル)を投じ、それによって1,000万人の雇用を創出し、2050年までに100%クリーンエネルギー経済とカーボンニュートラルを実現するとしている。目標の実現に向け、バイデン氏が大統領に就任した場合、(1)2025年の任期の終わりまでにマイルストーン目標を含む実効化メカニズムを確立し、(2)クリーンエネルギー、気候研究およびイノベーションに歴史的規模で投資を行い、(3)特に気候変動の影響を甚大に受けている地域においてクリーンエネルギーのイノベーションを経済全体に迅速に展開させる、としている。 印刷用PDF
2019.06.02
フィンランド:次期政権、2035年にカーボンニュートラルを目標に
環境専門サイトは2019年6月3日、フィンランドの次期連立政権が、世界でも最も早い時期となる2035年にカーボンニュートラルの達成を目標とすることで合意したと伝えた。1カ月にわたる政権協議の中で、5つの政党が合意したもので、次期政権下で法制化し、2025年に実態に応じて見直しを行うことになる。欧州ではノルウェーが2030年にカーボンニュートラルを目標としているが、これには炭素クレジットの購入を見込んでいるのに対し、フィンランドの目標達成では炭素クレジットに依存しない方針とされる。政権協議において左派や環境派が目標達成の時期を早くすべきと主張する中で右派との妥協で成立したもの。 印刷用PDF
2019.06.02
フランス:規制電気料金の5.9%値上げが6月1日に実施
2019年6月2日付の現地報道によると、同年6月1日、規制電気料金の5.9%(付加価値税込み、付加価値税抜きでは7.7%)値上げが実施された。この値上げにより、電気暖房を使用する家庭の電気料金は年間約85ユーロ値上がりし、約2,500万世帯が影響を受ける。エネルギー規制機関(CRE)のCarenco長官は、「国民の負担が大きいことは理解するが、電力の安定供給、品質、長期的に見た料金の均平化という3つの要素のために、今回の値上げは必要」としている。一方政府は、規制料金の算出方法の見直しを検討しており、6月下旬に実施予定の「エネルギー移行法」改正法案の審議の際に、新たな算出方法が提案される見込みである。なお、フランスの消費者団体であるCLCVおよびUFC-Que Choisirは、国務院(政府諮問機関と最高行政裁判所を兼ねた組織)に値上げの中止を訴える姿勢を見せている。 印刷用PDF
2019.05.31
世界:貿易摩擦により石油の先物価格が大幅に低下
2019年5月31日付の報道によると、5月29日~6月2日にかけ、石油の市場価格が下落を続けている。米国WTI、英国Brentのいずれの原油価格も2%を超える下落を示しており、2018年11月以来の大幅な価格の低下となっている。今回の石油価格の低下は、米中の貿易摩擦や、米国によるメキシコ製品に対する追加関税が要因として挙げられ、中国における製造業の業績予測が減速していることが追い打ちをかけているとの報道もある。 印刷用PDF
2019.05.31
米国:コロラド州知事、2040年再エネ100%目標に向けた法案に署名
地元メディアは2019年5月31日、コロラド州のポリス知事が、自身の選挙公約である「2040年までに100%再生可能エネルギーでの電力供給」を実施するための「ロードマップ」と位置付ける一連の法案に署名したことを伝えた。今回署名したのは複数の法案(エネルギーと気候変動に関する法案が7、EV普及に関して4)で、これにより州全体の温室効果ガス排出量を2025年には26%、2030年に50%、2050年に90%削減(いずれも2005年比)とする目標を設定した。電気事業については州の公益事業委員会(PUC)の役割を明らかにし、電気事業者が温室効果ガス排出削減計画を作成するようPUCが指導することや、政策立案に際しては「炭素の社会的コスト」(Social Cost of Carbon)(注、オバマ政権時に連邦政府が提唱した概念で、条件によって10~100ドル/tCO2程度とされる)を勘案することなどが示された。州内の自治体にはエネルギー効率化を進め、省エネ建物を推進するための条例を定めるよう求めている。 印刷用PDF
2019.05.31
米国:ピルグリム発電所恒久停止、稼働原発97基に
ピルグリム発電所(BWR1基、マサチューセッツ州)は2019年5月31日、恒久停止し、約47年に及ぶ運転に幕を下ろした。同発電所を保有するエンタジー社は、2019年5月での恒久停止を2015年に発表していた。これにより米国内で稼働中の原発は97基となった。北東部6州の電力系統を運用制御する地域送電機関ISOニューイングランドは、同発電所の供給力68万kWが失われることについて、「今夏までに天然ガスまたは石油を燃料とする3つの火力発電所が運転を開始し、太陽光発電と風力発電もあわせて減少分に対応することができる」と述べている。なお、エンタジー社は、廃止措置を担うホルテック社へのライセンス移管承認申請をしており、現在原子力規制委員会(NRC)による審査が行われている。 印刷用PDF
2019.05.30
中国:能源局、貧困対策の太陽光発電プロジェクト等に補助金30億元を計上
国家能源局は2019年5月30日、2019年度の風力電源、太陽光電源の開発について、固定価格買取制度を利用しないプロジェクトを推奨するなど、実質的な再エネ支援の縮小を打ち出したが、一方で太陽光発電に関しては、貧困対策として実施しているプロジェクトや、国が指定したモデルプロジェクト等を対象に、総額30億元(約490億円)の補助金を予算として割り当てると発表した。業界関係者は、支援縮小に伴う事業者の開発意欲の後退を緩和させるための、一時的な支援措置ではないかと推測している。 印刷用PDF
2019.05.28
豪州:2030年の再エネ比率が50%に達する見通し
2019年5月28日付の報道によると、オーストラリアの再エネ分野のシンクタンクRepuTex Energyは、東部6州・地域が参加する卸電力市場(NEM)において、2030年までに発電電力量に占める再エネの割合が50%に達するとの見通しを明らかにした。5月18日に行われた総選挙では、再エネ導入目標について、与党・保守連合は現状維持の「2020年23.5%」とする一方、野党・労働党は「2030年50%」への引き上げを公約していた。RepuTex Energyによると、今回の保守連合の勝利により、連邦政府の再エネ政策の変更がないとしても、州政府(特に、クイーンズランド州およびビクトリア州)による再エネ導入促進策により、結果的に目標を上回る設備が導入されると分析している。 印刷用PDF
2019.05.28
台湾:馬英九前総統、第四原子力建設再開への国民投票を呼びかけ
2019年5月28日付の現地紙報道によると、記者会見の席上、台湾の馬英九・前総統が出身政党である国民党の次期総裁候補者4名に対して、総統に選出された場合には現民進党政権の定めた脱原子力政策を見直し、第四原子力発電所の建設再開をめぐる国民投票を行って民意を問うよう呼びかけた。馬氏は、再エネで原子力を短期間のうちに置き換える現政権の政策は現実的ではなく、台湾大停電の教訓に照らせば原子力は必要であり、第四原子力は信頼度の高い電源であると台湾国民の理解を得ることが必要であると主張した。 印刷用PDF
2019.05.28
中国:国家電網有限公司、所有実験室100カ所を一般開放へ
送配電会社最大手の国家電網有限公司は2019年5月28日、自社が所有している実験室100カ所を一般社会へ開放する方針と表明した。海外を含む、企業、学校、研究機関などが行う、電力を含むエネルギー分野の研究開発に同社施設を開放し、研究活動を支援する。 印刷用PDF
2019.05.26
南アフリカ:大統領が炭素税法案に署名し、6月1日から施行
2019年5月26日付の現地報道によると、南アフリカのラマポーザ大統領が炭素税法案に署名し、2019年6月1日から同法が施行されることになった。第一段階は2022年12月までで、CO2排出1t当たり約8.3米ドル(約900円)が課される。2023~2030年に予定される第二段階の前に、同税の影響とCO2排出目標に対する進捗を評価する。同国は2010年に最初の法案を提案したが、電力会社Eskomや鉱業会社、製鋼会社らが電気料金上昇の懸念を訴え数回、導入が見送られてきた。 印刷用PDF
2019.05.24
中国:送配電コストの監査指針を発表、EV充電設備など除外
電力規制部門である国家発展改革委員会、国家能源局は2019年5月24日、送配電部門のコスト監査指針(2015年版)を見直し、現行の会計制度にあわせて、有効期限を3年間とする監査指針を発表した。新指針は送配電線を500kV以上、220kV、110kV、35kV、10kVの5種類、変電設備は110kV超と110kV以下(110kVを含む)の2種類に分け、それぞれの償却年数を規定した。送配電業務と直接関係ないEVの充電設備や、電力貯蔵設備などの費用算入は認めないこととし、揚水発電など調整用電源についても、施設ごとの費用算定を実施するため、送配電コストの算入対象から除外されている。 印刷用PDF
2019.05.23
欧州:緑の党、欧州議会選挙で議席数を拡大
2019年5月23~26日にかけてEU全域で行われた欧州議会選挙で、緑の党系の政治会派が議席数を大幅に伸ばしている様子が伝えられている(以下、2019年5月27日時点の開票結果に基づく)。国別に見ると、例えば、ドイツでは緑の党が、前回選挙(2014年)の約2倍となる21%の得票率で、国内では社民党(SPD)を抑え、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)に次ぐ第2の議席数(20議席)を獲得した。フランスでは、欧州エコロジー=緑の党(EELV)の得票率が前回実績を4ポイント上回る13%となり、国内で第3位となる12議席を獲得した。同様に、アイルランド、ベルギー、オランダなどの加盟国でも、環境系の政党が議席数を伸ばしている様子が伝えられており、欧州議会全体では、緑の党系の政治会派(緑・欧州自由同盟グループ:Green/EFA)による獲得議席数が69議席となる見通しである(現有議席数は52議席)。現地報道では、こうした結果が意外性をもって受け止められている向きも見られるが、一方で最近、欧州をはじめ世界各地で、気候変動問題への取り組み強化を訴える運動が若年層を中心に広まっており、こうした動きが、若者の投票行動に影響を与えた可能性も伝えられている。 印刷用PDF
2019.05.23
米国:米国各地で竜巻が発生し停電
2019年5月23~28日にかけ米国各地で竜巻が発生し、被害が発生した。23日にはメリーランド州コロンビアで現地時間午後9時頃竜巻が発生した。この竜巻によりレーガン国際空港では、時速68マイルの突風が観測され、現地電力会社のPepcoによると午後10時50分の時点で、ワシントンDCで2,000戸以上、モントゴメリー郡で1,400戸以上、プリンスジョージ郡で2,300戸以上の停電が発生した。同じく現地電力会社のDominion Powerによると、バージニア州北部で5万4,735戸が停電した。また、地域のニュースによると、26日にはオクラホマ州サパルパで竜巻が発生し、27日午前10時41分時点で、2万1,000戸が停電している。この他、24日にミズーリ州ジェファーソンシティ、27日にはインディアナ州に隣接するイリノイ州ソーク・ビレッジでも竜巻が発生し、停電など多くの被害が発生した。 印刷用PDF
2019.05.22
韓国:政府、「第3次グリーン成長5カ年計画」を閣議決定
2019年5月22日付の現地紙報道によると、韓国政府は5月21日の閣議で、「第3次クリーン成長5カ年計画」(2019~2023年)を決定し、環境新技術や温室効果ガス削減に5兆ウォン(約4,600億円)を投入する方針である。温室効果ガスの排出枠の見直し、植林面積の拡大に取り組むほか、交通部門では2022年までに電気自動車(EV)43万3,000台、燃料電池車(FCV)6万7,000台の導入を目指し、EV急速充電器1万台、水素ステーション310カ所を整備、また建物部門では公共建物について2020年からゼロエネルギー認証取得を義務付ける。 印刷用PDF
2019.05.21
フランス・ポルトガル:EngieとEDP、洋上風力の共同事業会社を設立へ
2019年5月21日付のエネルギー専門サイトによると、フランスの大手エネルギー事業者のEngieとポルガルの大手エネルギー事業者のEDPが洋上風力事業を統合して共同事業会社を設立すると報じた。両社は、それぞれが個別に実施、検討している洋上風力案件を持ち寄ることで効率的な事業運営をめざしている。EngieのCEOは「洋上風力事業は2030年まで成長が見込める部門で、共同事業会社の設立により我々の競争力を高め、市場で成長して行きたい」としている。当面の投資対象地域としては欧州に加え、米国、韓国や日本を含むアジアが検討対象となっている。また、両社は着床式に加え浮体式の洋上風力事業の実証事業に参加しているため、将来は浮体式でリーダーを目指すとしている。共同事業会社は規制当局の承認が得られれば、2019年内に設立される見通しである。 印刷用PDF
2019.05.20
スウェーデン:自動運転トラックの走行試験が始まる
スウェーデンのスタートアップ企業EINRIDEは2019年5月20日、T-Podと呼ばれる自動運転トラックの公道での試験走行を開始した。これは、同国の運輸庁が2019年3月11日にT-Podの公道での走行に関する同社の申請を許可したことによるもので、工業地域内の倉庫とターミナルの間の公道を走行することが可能となった。T-Podはバッテリーを搭載した車体重量26トンのトラックで、遠隔操作により積荷の運搬が可能でカメラやレーダー、3Dセンサーを搭載することで周囲の状況を認識し、5Gネットワークにより遠隔操作することが可能としている。過去の報道によると、T-Podに搭載されたバッテリーの容量は1台当たり200kWhで、航続距離は200kmである。スウェーデン国内で2020年までにGothenburgとHelsingborg間(約250km)の積荷の運搬が検討されている。 印刷用PDF
2019.05.16
米国:連邦議会、再エネ優遇税制の延長・拡大へ向けた動きが活発化
上院財政委員会のC.Grassley委員長(共和党、アイオワ州)ならびに同委員会筆頭委員のR. Wyden氏(民主党、オレゴン州)は2019年5月16日、税制見直しに関する超党派タスクフォースを立ち上げると発表した。この税制見直しの一環として、発電税額控除(PTC)と投資税額控除(ITC)の失効後の再エネ支援策が検討されると見られる。PTC、ITCはこれまで米国内の再エネ開発を牽引してきたが、風力発電を対象としたPTCは2019年末に失効、太陽エネルギーを対象としたITCは2020年から段階的に減額され2023年に失効する。他方、下院では同年4月4日にM.Doyle議員(民主党、ペンシルベニア州)が、電力貯蔵設備を対象とする優遇税制を盛り込んだ法案(HR2096)を上程した。現状、太陽光発電設備に併設された電力貯蔵設備はITC適用の対象とされているものの、単体で設置された電力貯蔵設備は対象外となっており、ITCの適用を求める事業者の声を受けて、連邦議会では2016年頃から検討が行われていた。同法案に対しては100名以上の民主党下院議員が支持を表明している。 印刷用PDF
2019.05.15
台湾:第一発電所の2基、環境アセスメントが認可され初の廃炉作業へ
台湾の環境規制当局である行政院環境保護署は2019年5月15日、台湾電力公司が提出していた第一原子力発電所の1号、2号機ユニットの廃炉環境アセスメントを認可した。これで台湾電力公司は、廃炉作業に着手する。廃炉計画では、原子炉の停止プロセスに8年、施設の解体に12年、環境回復に5年の計25年間を要する上、300億台湾ドル(1,100億円相当)の費用がかかるとされている。台湾電力公司は、廃炉費用を理由とした電気料金の値上げはなく、また廃炉作業は監督官庁の厳格な管理と規制の下で安全に進めるとしている。 印刷用PDF
2019.05.15
中国:発改委、工・商業用小売電気料金引き下げを各省政府、電網会社に通達
国家発展改革委員会は2019年5月15日、各省、自治区、直轄市、電網会社等に通知を発出し、一般工・商業用小売電気料金の10%引き下げに向けた措置を取るよう指示した。同時に、増値税(消費税)の税率を17%から13%に引き下げることで、直接卸取引の電力や省間・区域間の融通電力に対する減税分から引き下げの原資を捻出させる。さらに、一般工・商業需要家が電力の市場取引に参加する規模を拡大させることで、競争を通じた電気料金の引き下げに努めることも指示した。 印刷用PDF
2019.05.14
米国:連邦下院、政権要求額から5億ドル増の原子力関連予算案を発表
連邦議会下院歳出委員会は2019年5月14日、トランプ政権要求額から4億9,400万ドル増加となる、総額13億ドルの2020年会計年度原子力関連予算案を発表した。本予算案の要旨では、先進型原子炉および既設原子炉の安全性と経済性を向上させるための研究開発、長期にわたる国際的な原子力リーダーシップへの寄与が挙げられている。トランプ政権が要求していた予算の内、ニューメキシコ州とテキサス州で進められている統合型使用済燃料貯蔵施設関連予算は含まれているが、ユッカマウンテン最終処分場関連予算は含まれていない。 印刷用PDF
2019.05.14
米国:トランプ大統領、キャメロンLNG輸出基地を訪問
ルイジアナ州ハックベリーで建設中のキャメロンLNG輸出基地(合計3系列)において、一部系列がLNG生産を開始したことを受け、トランプ大統領は2019年5月14日に現地を訪問し、関係者を前に演説を行った。同大統領が掲げる「エネルギー覇権(Energy Dominance)」や国民への安価なエネルギー供給への同プロジェクトの貢献を絶賛する一方、2019年2月7日に民主党議員から上下両院に提出されたグリーン・ニューディール決議案については「でっち上げの産物で、エネルギー関係者の雇用を奪うもの」と痛烈に批判、2020年大統領選への出馬を表明している民主党系議員も名指しで批判するなど、次期大統領選での民主党への攻撃材料化を図ろうとしている。キャメロンLNG輸出基地プロジェクトには筆頭株主である米Sempra社の他に、三井物産が16.6%、三菱商事と日本郵船の合弁会社であるJLI社が16.6%、それぞれ資本参加している。 印刷用PDF
2019.05.10
中国:中国核工業集団(CNNC)、華龍1号用CF3燃料量産体制を構築
中国核工業集団公司(CNNC)は2019年5月10日、中国独自技術の第3世代炉である華龍1号(HPR-1000)用の燃料集合体「CF3」(China Fuel 3)の量産体制が整ったと発表した。CNNCは今回の進展が、華龍1号型原子炉の輸出促進にも貢献できると主張している。報道によると、2014年7月よりCF3の原型4体が秦山II期原子力発電所2号機(中国設計CNP-600型PWR、65万kW)へ試験的に装荷されているが、設計通りの性能を示していたと見られる。CF3は、四川省にあるCNNCのPWR用燃料成型加工工場で製造される予定である。 印刷用PDF
2019.05.10
韓国:ハンビット発電所1号機、再稼働準備中に手動停止
韓国原子力安全委員会は2019年5月10日、再稼働準備を開始していた韓国南西部のハンビット(霊光)原子力発電所1号機(出力95万kW、PWR、ウエスチングハウス製、1986年運開)が、同作業中に熱出力が基準値を瞬間的に超えたとして、運転者の韓国水力原子力に対し停止を指示した。現在、設備は安定的に停止している。 印刷用PDF
2019.05.09
スペイン:バレアス諸島に欧州最大級の水素製造装置を建設
2019年5月9日付の現地報道によると、スペインバレアス諸島州のFrancina Armengol知事は、2021年までに欧州最大規模の1万kWの水素製造装置を建設すると発表した。製造には、島内の太陽光発電設備から発生した余剰電力が使われる。このプロジェクトは、バレアス諸島州のリュセタ地方(マヨルカ島)で計画されている8つの再工業化プロジェクトの一つで、州政府とスペインのセメント会社である民間企業4社(Cemex、Enagas、Acciona、Redexis)と共同で進められている。また、製造した水素の用途は主に燃料自動車などの輸送機器を想定しており、予算は合計で5,000万ユーロと発表されている。現在は公開協議の段階であり、今後具体的な行政手続きが始まる見込みである。 印刷用PDF
2019.05.08
米国:カリフォルニア州の電気料金、山火事対策により高騰する可能性
カリフォルニア州公益事業委員会は2019年5月8日、「電力会社の費用と料金上昇を抑制する方策」と題する報告書を公表した。同報告書によると、同州の電気料金は上昇傾向が続いており、今後も山火事対策の強化により、更なる高騰の可能性がある。州内大手電力会社3社の電気料金について、2012~2019年にかけての年間平均上昇率は、PG&E社およびSCE社が2%、SDG&E社が6%であった。料金引き上げの主な要因は、電力会社の販売電力量が減少しているなか、規制等により所要収入や経費が増加しているためである。加えて、近年カリフォルニア州における山火事の発生リスクが増大しており、公益事業委員会は大手電力会社に対し山火事対策の強化を求めている。同報告書は、こうした対策費の上乗せにより、月額電気料金支払い額が最大7%上昇する可能性があるとしている。 印刷用PDF
2019.05.07
台湾:立法院、2025年までの脱原子力条文を電業法から削除
台湾立法院は2019年5月7日、電業法第95条「原子力発電施設は2025年までにすべて運転を停止するものとする」という項目を削除し、規定を改定した。これは、2018年11月に行われた住民投票の結果に基づいて決定された。これに対して経済部能源局および電気事業者である台湾電力は、原子力発電所の運転延長や再稼働は現実には困難であるとして、現在稼働中の第一、第二、第三原子力発電所のすべてについてライセンスの期限に従い、廃炉処理を進めていくとコメントしている。 印刷用PDF
2019.05.06
カンボジア・フランス:フランスが送電網整備に36億円を融資
2019年5月6日付の報道によると、フランス政府がカンボジアの送電網整備に2,910万ユーロ(約36億円)を融資する。仏経済財務省が近く融資契約書を締結する。スマートグリッド技術を活用した送電システムの高度化により、電力供給の効率化を目指す。カンボジア政府によれば、現時点で基幹系統に接続されていない5州(Tboung Khmum、Kampong Thom、Oddar Meanchey、Ratanakiri、Mondulkiri)を含め、2020年までに全24州が全国系統に接続される予定。 印刷用PDF
2019.05.06
フランス・アイルランド:両国間初の連系線、2026年に運開予定
フランスのエネルギー規制委員会(CRE)は2019年5月6日、フランスとアイルランドを結ぶCeltic国際連系線計画について、アイルランドの公益事業規制委員会(CRU)と共同で、資金提供することを決定したと発表した。本連系線は、フランス北西部とアイルランド南部を500kmの海底ケーブルで連系する両国間初の連系線(70万kW)であり、アイルランドにとっては欧州大陸との初の連系線となる。フランスの系統運用者RTEとともに設置・運用を行うアイルランドの系統運用者EirGridによると、本連系線により、電力料金の値下げ効果や供給信頼度の向上、再エネ電源の導入拡大が期待できるとしている。本連系線は2026年に運開予定で、必要資金は9億3,000万ユーロとなるが、各国の利益に応じてフランス35%、アイルランド65%の割合で負担することが合意されたほか、2013年にEUの共通利益プロジェクトに指定されており、EUから必要資金の60%以上の補助を受けることを見込んでいる。 印刷用PDF
2019.05.06
米国:「グリーン・ニューディール」の提案議員、原子力を排除せず
2019年5月6日付の政治情報誌によれば、「グリーン・ニューディール」の提案者である民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス議員は、ニューヨーク州で廃止されるインディアン・ポイント原子力発電所について尋ねられた際、「原子力にはオープンマインド」と答えた。同議員は「数十年前に建設された原子力発電所と現在開発されつつある、より高度な技術とは区別している」とし、「グリーン・ニューディールは、今後10年間で米国の電力需要を100%満たすために、クリーンで再生可能な、ゼロエミッションのエネルギーを求めるもので、原子力に対しても門戸は開かれている」と述べた。 印刷用PDF
2019.05.02
フランス・ドイツ:仏独、EV向けバッテリー製造に最大約60億ユーロを投資
2019年5月2日の報道によると、フランスのルメール経済・財務大臣およびドイツのアルトマイヤー経済・エネルギー大臣は同日行われた記者会見の中で、EV向けの次世代型バッテリー製造に両国官民あわせて最大約60億ユーロを投じる考えを明らかにした。自動車メーカーやエネルギー事業者など35社の民間企業から少なくとも40億ユーロが拠出されることに加え、仏独両国からの国家補助として最大12億ユーロが拠出される見込み。近く、従業員200人規模のEVバッテリー工場がフランスに設置され、2023年までに仏独両国にそれぞれ従業員1,500人規模の工場が開設される。これらの工場では、まず改良型の液体バッテリーが生産され、その後2025~2026年頃までに全固体電池の生産に移行する計画である。欧州では、2017年10月に欧州委員会が欧州大でのバッテリーの協力構想を発表しており、その後フランスは7億ユーロを、ドイツは10億ユーロをそれぞれバッテリー製造向けに投じる意向を発表し、両国連携のもと欧州のバッテリー製造能力を強化する方針を打ち出していた。今回の発表は、世界のバッテリー製造市場で優勢なアジア勢に対抗する考えとも予想される。 印刷用PDF
2019.05.02
英国:気候変動委員会、2050年カーボンニュートラルを提言
英国の諮問機関である気候変動委員会(CCC)は2019年5月2日、同国が2050年までにカーボンニュートラルを達成することを提言するレポート「Net Zero」を発表した。現在、英国は2008年気候変動法により、温室効果ガス(GHG)を2050年までに1990年比80%削減することを定めているが、2018年10月に政府が、これを上回るカーボンニュートラル達成の可能性や時期についてCCCに諮っていた。同レポートによると、カーボンニュートラル達成にかかる年間のコストは2050年まで国内総生産(GDP)の1~2%になると推計され、2008年に推計したGHG80%削減の場合のコストとほとんど変わらないとしている。これは、近年の再エネやバッテリーなどのコスト低下によるところが大きいが、カーボンニュートラル達成には、熱供給の低炭素化、CCS(二酸化炭素の回収・貯蔵)の開発、ガソリン・ディーゼル車の販売禁止(2040年)などが急がれるとし、政府の政策によりこれらを加速させる必要があるとしている。なお、地域の特性を考慮して、スコットランドについては2045年までにカーボンニュートラルを、ウェールズについては2050年までに1990年比95%削減を推奨している。 印刷用PDF
2019.04.30
中国:発改委、太陽光発電の買取り価格を引き下げ
中国国家発展改革委員会(発改委)は2019年4月30日、新設分の太陽光発電の買取り価格を改定すると発表した。メガソーラー設備の電力買取り価格は、全国をⅠ~Ⅲ類の3つの地域に分類し、2018年5月からⅠ類:0.5元(約8.3円)、Ⅱ類:0.6元(約9.9円)、Ⅲ類:0.7元(約11.6円)としてきたが、今回の改定で、Ⅰ類:0.4元(約6.6円)、Ⅱ類:0.45元(約7.4円)、Ⅲ類:0.55元(約9.1円)に引き下げ、さらに市場競争を導入して、この価格を超えない範囲で決定するよう取り決めた。同改定の実施期日は7月1日となる。 印刷用PDF
2019.04.29
米国:民主党の2020年大統領選挙候補者、新たな気候変動対策を提案
2019年4月29日付の現地報道によると、民主党の2020年大統領選挙候補者の一人であるベト・オルーク元連邦下院議員(テキサス州)は、同候補による最初の主要な政策提案として気候変動対策を取り上げ、米国が2050年までに温室効果ガス排出ゼロを達成するために、5兆ドル規模のインフラ投資計画を提案した。オルーク候補の提案では、大統領に選出された場合、住宅・交通・公衆衛生分野などのインフラ、炭素削減技術などの研究開発、自然災害対策への地域社会支援などに対して1兆5,000億ドルの連邦政府からの投資を行うことに加えて、化石燃料企業への税制優遇措置の廃止などの抜本的な税制変更により、10年間で5兆ドル規模のインフラ投資計画の実現を考えている。同提案には他に、パリ協定への再参加、連邦所有地の化石燃料企業へのリース契約の停止、連邦所有地での再生可能エネルギーの開発および植林などがある。なお、現地報道はオルーク候補による今回の提案について、オカシオコルテス議員らによるグリーン・ニューディール(GND)との共通点を指摘する一方、GNDと比べると排出ゼロまでに至る期間が長く野心的ではないとの世間の反応なども伝えている。 印刷用PDF
2019.04.26
ラオス:政府、電気料金の引き下げを決定
2019年4月26日付報道によると、政府はこのほど、電気料金単価の構成を見直して料金を引き下げることを閣議決定した。新料金は2025年まで有効となるが、発電分野への投資に対する利益は保証されるとしている。この閣議では、送電線や水力発電所建設のための森林伐採が認可されるとともに、エネルギーの効率的利用や環境保護基準を定めた省エネルギーに関する首相令も承認された。 印刷用PDF
2019.04.25
中国・ロシア:中国石油大手2社、北極LNG-2プロジェクトに出資
ロシアの大手天然ガス企業であるNovatek社は2019年4月25日、中国石油天然ガス集団公司傘下の中国石油国際探査開発公司、中国海洋石油集団公司と協力協定を締結した。中国2社は、Novatek社が主体となって開発している北極LNG-2プロジェクト(Novatek社が2019年12月から操業を開始したYamal LNGプロジェクトに次ぐ第2の大型LNGプロジェクトとしてYamal半島の東隣りにあるGydan半島で実施する案件)の20%の株式を取得することで合意した。同LNGはSalmonovガス田から採掘される。 印刷用PDF
2019.04.25
中国:「一帯一路」関連エネルギーパートナーシップ設立へ
国家能源局は2019年4月25日、北京で「一帯一路」経済構想サミットフォーラムに参加するため中国訪問中の30カ国のエネルギー関係者に対して、中国が提唱した「一帯一路」経済構想に基づいたエネルギーパートナーシップ(BREP:Belt and Road Energy Partnership)の成立を発表した。参加国はアフガニスタン、アルジェリア、アゼルバイジャン、ミャンマー、ネパールや、イラク、クウェートなどの産油国を含む30カ国で、協力パートナーシップの指針と行動目標を記載する声明文を公表した。 印刷用PDF
2019.04.25
米国:大手のSempra Energy社、米国内の再エネ資産をすべて売却
2019年4月25日付の専門紙によると、Sempra Energy社は4月22日、72万4,000kWの風力発電と蓄電設備をAmerican Electric Power(AEP)社へ10億5,000万ドルで売却した。対象となる資産は、7カ所の風力発電設備と蓄電設備1カ所であり、BP Wind Energy社との共同プロジェクト5カ所を含むすべてのSempra Energy社の再エネ資産である。Sempra Energy社は、2018年12月に太陽光と蓄電池の開発プロジェクトと風力発電設備1カ所をConsolidated Edison社へ16億ドルで売却しており、今回の売却で完全に米国の再エネ事業からの撤退となった。同社は、今回の売却の目的は負債の返済と資産の再配分としている。一方AEP社は、2050年までに2000年レベルと比較して80%の二酸化炭素の排出削減を目標としており、これに向けた買収となった。この結果、AEP社の電源に占める石炭火力の割合は2005年の70%から46%へ低下し、同じく再エネは4%から16%まで増加した。AEPによれば、買収した7つの風力発電の設備利用率は37%で、すべて16年間のPPA契約が残っている。 印刷用PDF
2019.04.23
スペイン:4月28日の総選挙に向けて、各党のエネルギー政策出揃う
2019年4月23日付報道によると、スペインでは2019年4月28日に行われる総選挙の投開票を前に、各党のエネルギー分野での方針が出揃った。主要政党は、電気料金と卸市場の改革に焦点を当てている。具体的には、現与党で中道左派の社会労働党(PSOE)は、再エネ推進および需要家による自家発・自家消費の推進、ディーゼル燃料への増税、2025年までに大半の石炭火力廃止、2035年までに原子力発電全廃、卸市場価格の変動が需要家に大きく影響しないような市場制度改革を目指すとしている。またPSOEと閣外協力している急進左派政党のポデモスは原子力発電全廃などの他、エネルギー貧困を救済するため、電気料金の低下を目指すとしている。そのために、電気料金に含まれる諸コストを最大25%削減、安い電気料金を保証する国営電力会社の創設、水力発電の国営化、卸市場における落札価格の決定方式の変更を提案している。他方、中道右派の国民党(PP)は、原子力発電の全廃を阻止するため、PSOEが作成した2030年のエネルギー・気候変動計画を変更すると主張している。中道右派のシウダダノスは、電気料金に含まれる諸税等の削減、卸市場の改革、再エネ推進、大規模需要家による電力売買契約(PPA)推進を目指すとしている。そして極右政党のVOXは、政府が所有している送電会社株式(20%)の売却、電気自動車に対する補助、再エネ推進、採算性が見合う原子力の運転延長を主張している。各誌で実施されている世論調査ではいずれも、下院(定数350議席)は第一党がPSOE(115~135議席)、第二党がPP(68~88議席)になると予測されているが、両党とも議席は過半数に届かないため、いずれかの政党と連立を組むのは必至な情勢である。 印刷用PDF
2019.04.22
ラオス・中国:ビエンチャン向け50万V送電線の新規建設が進む
2019年4月22日付報道によると、ラオス国内では首都ビエンチャンHadxaifong地区向け50万V/23万V新規送電線の建設が進んでいる。本プロジェクトはラオス電力公社(EDL)と中国・国家電網によるもので、Dongphosy変電所の建設ならびにDansee、Nabong両変電所との連系が含まれビエンチャンならびに周辺国への電力供給に重要な役割を果たす。ラオスは水力発電所の開発とあわせて送電網整備にも力を入れており、現在70の変電所と全長6万2,000kmの送電網を持つ。 印刷用PDF
2019.04.19
韓国:政府、第3次エネルギー基本計画案を公表
韓国産業通商資源部は2019年4月19日、第3次エネルギー基本計画案を公表した。これはエネルギー政策の中長期的ビジョンや目標、戦略を示すもので5年ごとに策定される。今回の計画では、「エネルギー転換を通じた持続可能な成長と国民生活の向上」を目指すこととし、2040年までに取り組む課題を提示した。同計画によると、石炭火力発電を大幅に削減する一方で、再エネ導入に力を入れ、太陽光、風力の導入拡大で、再エネ発電比率を2017年実績の7.6%から、2040年までに30~35%に拡大する。なお、この計画に基づく電力分野の具体的な取り組みは、2019年末までに発表する長期電力需給基本計画で明らかにされる予定である。しかし専門家からは、安価な原子力を抑制してコストの高い再エネを急拡大すれば電気料金の値上がりを招くと反発する意見も出ている。 印刷用PDF
2019.04.19
中国:国家能源局、8つの省で石炭火力発電所の建設差し止めを勧告
国家能源局は2019年4月19日、「石炭火力発電所の建設計画に関するリスク警告」(2019-2022)を発表した。同警告は2016年から毎年発表されており、発表年から3年間の石炭火力発電所の建設の妥当性を省ごとに「赤色」、「橙色」、「緑色」の3段階で評価する。今回の発表では、国内の8つの省(黒龍江、吉林、内蒙古、山東、山西、甘粛、寧夏、新疆)が設備過剰により「赤色」と判定された。政府はこれらの地域に対して、石炭火力発電所の新規建設の認可と着工を停止するよう求めた。 印刷用PDF
2019.04.18
米国:NJ州の原子力発電所に対するZECの適用が開始される
ニュージャージー州の公益事業委員会(NJBPU)は2019年4月18日、州内で運転中のすべての原子力発電ユニットとなる、セーラム1、2号(PWR)、ホープクリーク(BWR)に対して、「ゼロエミッション証書(ZEC)」の適用を開始することを発表した。同州のZECについては、2018年5月に法制化された後、ホープクリークを所有およびセーラム1、2号をエクセロン社と共同所有するPSEG社が、2018年11月に適用申請をしていた。今回の決定により各原子力発電ユニットは今後3年間、1kWh当たり0.004ドル、1基当たり年間約1億ドルの受け取りが予測されている。なお、この金額等については3年後にNJBPUが再評価を実施する予定である。PSEG社は今回の決定を受け、「州内のゼロエミッション電源の90%以上を占める3基の原子力発電ユニットの価値を認め、数億ドルを拠出することにより、電気料金の上昇を防止し、数千人の雇用を保護したNJBPUの決定を歓迎する」とコメントしている。 印刷用PDF
2019.04.17
米国:ComEd社、マイクログリッドによる緊急時電力供給の実証実験
イリノイ州シカゴに本社を置く電気事業者のコモンウェルス・エジソン社(ComEd社)は2019年4月17日、シカゴのブロンズビル地区において、非常時にマイクログリッドを用いて電力供給する実証試験に成功したことを発表した。本マイクログリッドは、住宅、研究機関、図書館、警察署などの負荷設備に、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源から電力供給を行うものである。今回の実験において、「単独運転シミュレーション(simulated islanding)」では悪天候下や、サイバーセキュリティ、テロ攻撃といった状況を模擬し、マイクログリッドのレジリエンシー(resiliency)を確認した。同社の代表であるドネリー氏は、「ブロンズビルマイクログリッドは、破壊的な攻撃に直面したコミュニティに対し、その価値を実証しただけではなく、再生可能エネルギーの導入を支援するものでもある」と述べた。最終的に計画されている7,700kWシステムは、シカゴの警察および消防署の本部を含む、ブロンズビル周辺の約770の顧客に電力を供給する。 印刷用PDF
2019.04.15
中国:北京で第5回日中ハイレベル経済対話を開催
中国政府は2019年4月15日、北京で開催された第5回日中ハイレベル経済対話において、李克強総理が河野外務大臣率いる訪中代表団と意見交換を行ったと発表した。李総理は、日中両国の協力は世界経済の安定、回復に重要であり、両国は自由貿易を支持し、公平で公正かつ非差別的なビジネス環境を築く必要があるとして、日本企業の対中投資拡大を歓迎すると強調した。日本側からは先端技術、金融、環境保護、水素エネルギー、スマートシティ、第三国市場などでの事業展開への期待が表明された。 印刷用PDF
2019.04.15
ポーランド:欧州委員会、高効率コージェネへの支援スキームを承認
欧州委員会は2019年4月15日、ポーランドの高効率コージェネの新たな支援スキームであるFIP制度(競争入札によりプレミアム価格決定)について、EUが定めた国家補助の規準に抵触しないとして承認した。同制度は2019年1月に発効した高効率コージェネ法によって規定されており、2028年末まで適用される。同制度への参加要件は、CO2原単位450kg/MWhを超えない設備とされ、最長15年間にわたりプレミアム価格が付与される。また、プレミアム価格の原資は最終需要家に課される賦課金によって賄われる。特定のエネルギー多消費産業は賦課金の一部が減免されるが、これも国家補助に該当しないとされ、欧州委員会より承認された。一方で、欧州委員会はポーランドの、容量メカニズムに関するエネルギー多消費産業の減免措置についても同様の調査を開始している。 印刷用PDF
2019.04.15
米国:連邦最高裁判所、NY州とイリノイ州の原子力支援策を容認
連邦最高裁判所は2019年4月15日、ニューヨーク州とイリノイ州で制度化されている、原子力発電所を低炭素電源と認定して資金的に支援する、ゼロ排出証書(ZEC)プログラムの見直しを求める上訴を取り上げないと発表した。2016年にニューヨーク州とイリノイ州で成立した、ZECの一環としての原子力発電所支援策に対し、一部の独立系発電事業者等が、市場の公平性の観点から卸電力市場を監督する連邦の司法判断を求め上告していた。本件は既に上記2州を所轄する連邦地方裁判所、連邦巡回区控訴裁判所でそれぞれ却下されており、最高裁判所に上訴していたもの。米国大手原子力発電事業者のエクセロン社は、今回の判断は、州政府が原子力を含めたクリーンエネルギーを支援する権利を連邦最高裁判所が認めたことになると歓迎の意を表した。 印刷用PDF
2019.04.12
フランス:政府、ル・アーブル石炭火力廃止後の地域振興のための協定作成を開始
ド・リュジ環境移行・連帯大臣およびヴァルゴン同副大臣は2019年4月12日、石炭火力発電所が立地するフランス北西部のル・アーブルを訪問し、「環境・産業移行のための地域協定」(PTTEI)の作成作業を開始したことを発表した。フランスでは、2017年の「気候変動計画」において、「2022年までに国内4カ所の石炭火力全廃」が決定しており、同協定は、石炭火力廃止後の地域振興を、産業面・環境面から支援するためのもの。ヴァルゴン副大臣は、「この協定作成のために、まずはプロジェクトの考案、続いて資金調達を進める。また、シーメンス社の工場建設など、既に進行中のプロジェクトも支援対象となる」としている。 印刷用PDF
2019.04.11
ドイツ:Vattenfall、塩を用いた燃料電池の実証をベルリンで開始
Vattenfallは2019年4月11日、余剰な再エネ電力の熱貯蔵を目的として、容量1万kWhの塩を用いた燃料電池の実証を開始すると発表した。中心となる技術はスウェーデンの蓄電池のスタートアップSaltX社が開発したもので、再エネを利用して発生させた熱によって、ナノコーティング加工した塩を溶解させた塩水を500℃で蒸発させ、塩と水に分離することで蓄熱する。分離後は常温で数カ月保存でき、熱が必要な際には分解した塩と水を混合させることで、再び熱が利用可能になるというものである。SaltXによると、この技術は単純な温水による蓄熱と比較して、熱効率が10倍ほど高いと試算している。実証は、Vattenfall所有のベルリンにあるReuter石炭火力発電所で実施する。なお、Vattenfallは2020年までにReuter石炭火力発電所をコージェネ電源に変更することを表明している。 印刷用PDF
2019.04.11
米国:米大統領、パイプライン設置に関する大統領令に署名
2019年4月11日の報道によると、トランプ大統領は同月10日、「私企業が石油およびガスパイプラインを容易に構築可能にする」「州政府によるパイプライン敷設に関する制限を防止する」の2つの大統領令に署名した。米国では、エネルギー関連インフラの建設プロジェクトは州政府の規制を受けるが、連邦政府関係者によると、州政府によってはプロジェクトの進行を意図的に遅らせる目的で法律を運用している事例があると見られる。今回の大統領令の発効に対し、米国大手電力会社のデュークエナジーなどは歓迎の意を表している。 印刷用PDF
2019.04.10
エジプト:規制当局、国内初の原子力発電所エル・ダバのサイト許可発給
エジプトの原子力発電庁(NPPA)は2019年4月10日、同国北部の地中海に面したエル・ダバでの4基の原子力発電ユニット建設に対し、同年3月上旬にエジプト原子力規制・放射線当局(ENRRA)からサイト許可を受領したと発表した。同許可はNPPAが2017年に提出した申請書に対して、ENRRAが詳細包括レビューを実施した結果、発給された。また、同国政府は2018年1月、ENRRAによるレビューを支援するため、国際原子力機関(IAEA)に「立地評価・安全設計レビュー(SEED)」を依頼し、安全性に関わるサイト特性、地震・津波や人為的な災害に対し、特別な注意を払ったとしている。NPPAによると、ライセンスプロセスにおけるその他すべての許認可は、ユニットごとに発給される。エル・ダバでは、ロシア設計のVVER-1200が4基建設され、初号機は2026年に運開予定であり、NPPAが所有運営する。 印刷用PDF
2019.04.10
フィリピン:マニラ首都圏等で大規模な輪番停電を実施
フィリピンでは2019年4月10日(水)以降、需給逼迫によりマニラ首都圏を含めルソン島の広範な地域において輪番停電が実施されている。エネルギー省(DOE)は今回の状況について、複数の火力発電所においてトラブルが発生し、相次いで計画外停止に追い込まれたためと説明している。輪番停電は4月10日に続き、12日(金)も実施されており、地元有力紙によると、今週中は予断を許さぬ状況が継続するとされている。 印刷用PDF
2019.04.04
中国:イタリア、エネルギー分野などで一帯一路構想協力へ
大手紙は2019年4月4日、イタリアのコンテ首相と中国の習近平国家主席が3月23日に中国が提唱している「一帯一路」広域経済構想への参加協力覚書を締結したが、その中に、エネルギーなど幅広い分野も含まれていると報じた。なお、欧州連合(EU)諸国による同構想参加はこれで14カ国目になる。 印刷用PDF
2019.04.04
ドイツ:Vattenfallが5万kWのPower to Gasプロジェクトを計画
2019年4月4日付のエネルギー情報誌は、ドイツ北部でこれまで最大規模となるPower to GasプロジェクトをVattenfallが主導して計画していると報じた。Vattenfallの他に再生可能エネルギー発電事業を行うARGE Netsとフォルクスワーゲングループの自動車メーカーであるMANが参加する。プロジェクトでは低炭素社会実現のため様々な業界で水素あるいは合成メタンを活用することが検討されており、水素はバスあるいは船舶の燃料として、合成メタンはドイツのガスネットワークで全土に供給される可能性がある。プロジェクトの立地地点は再生可能エネルギーが豊富でPower to Gasに適しており、水素製造の電気分解装置の容量は、既存の技術で5万kW以上が可能としている。 印刷用PDF
2019.04.03
フランス:系統運用者、石炭火力の2022年全廃が困難となる可能性を指摘
フランスの系統運用者RTEは2019年4月3日、2022年の石炭火力全廃が電力の安定供給に与える影響について報告書を発表した。RTEは2018年11月、既存の石炭火力(4地点5基、計300万kW)を2022年までに全て閉鎖しても基本的に安定供給の確保は可能とする報告書を発表したが、今回、政府の要請により、「フラマンビル原子力3号機の運開(165万kW、2020年)、ランディヴィジオ・ガス火力の運開(42万kW、2021年)、英仏国際連系線Eleclinkの運開(100万kW、2020年)が遅れた場合」という条件のもと、石炭火力全廃の影響を改めて試算した。RTEは、上記の3つが全て遅れた場合に安定供給を確保するためには、まず消費電力の削減、原子力発電所の10年ごとの定期点検スケジュールの最適化(需要がピークを迎える冬季の停止を避ける)により、それぞれ100万~200万kWの余裕を確保することが必要であるとし、そのうえで、需給状況の厳しいフランス西部の安定供給を確保するためには、西部に位置するコルドメ石炭火力2基の閉鎖の先送り(または検討されているバイオマス発電への転換)が必要であるとした。ただし、必要な運転時間は通常の気候で年間数十時間、厳冬の場合でも年間250時間に限定することで、政府が目標とするCO2排出量削減への影響は軽減可能とした。 印刷用PDF
2019.04.03
米国:FERC、ISO/RTOに対し電力貯蔵設備取扱いの詳細ルール提出を
2019年4月3日付の専門紙によると、連邦エネルギー規制委員会(FERC)は4月1日、各地の独立系統運用者(ISO)および地域送電機関(RTO)に対し、電力貯蔵設備の取扱いに関する詳細の提出を指示した。FERCは既に2018年2月、各ISO/RTOに対して電力貯蔵設備を卸市場へ受入れるための市場ルール変更を指示しており(オーダー841)、今回の指示はそれに続くものである。内容は、電力貯蔵設備が売り手および買い手として卸市場でどのように取り扱われるのか、また、設備の仕様や運用パラメータ等に関するもので、各ISO/RTOは30日以内に回答しなければならない。 印刷用PDF
2019.04.02
ベネズエラ:政府、4月1日から30日間の計画停電を開始
エネルギー情報サイトは2019年4月2日、ベネズエラ政府が電力供給危機を解消すべく、2019年4月1日から30日間の計画停電を開始したことを報じた。同国のマドゥロ大統領はテレビ会見の中で計画停電やその詳細に触れることなく、負荷管理の体制に関する30日間の計画を承認したと述べるにとどまった。大統領は、同国の国内系統に電磁気やサイバーアタックを行ったとして米国を非難するとともに、主要電源となっているグリ水力発電所が攻撃を受けていると説明した。さらに、大統領は非常に厳しい状況に置かれている同国において、上水道の供給再開を最優先に、電力などの復旧に尽力すると述べた。一方、米国など50カ国以上から暫定大統領として支持されているグアイド暫定大統領(国民議会議長)は、危機的な状況を打開できないマドゥロ政権を非難している。なお2019年現在、石油輸出国機構(OPEC)の議長を務めるベネズエラであるが、国内経済の不振によって石油投資が落ち込み、かつてOPECのトップ3であった産油量も大きく減少している。さらに米国が2019年1月から国営石油会社PDVSAを経済制裁の対象に指定したことで、原油輸出も次第に減退している。 印刷用PDF
2019.04.01
フィリピン:ルソン系統、複数の火力の計画外停止で需給逼迫のおそれ
フィリピン送電会社(NGCP)は2019年4月1日、ルソン島の電力系統において、今後、当分の間は需給が厳しくなるという見通しから、事業者に向けて「イエローアラート」を発した。フィリピンでは供給予備力を確保するため、一次調整力(緊急予備力)または二次調整力(運転予備力)が不足した場合には「イエローアラート」を、さらに三次調整力(待機予備力)がゼロとなった場合や供給力が需要を満たせない状態に陥った場合には「レッドアラート」を、NGCPが系統利用者に通知することが義務付けられている。今回の予備力不足はMasinloc石炭火力発電所2号機(34万kW)やPagbilao石炭火力発電所1号機(38万kW)等の計画外停止によるものであるとされている。ただし、4月1日を例にとると、ルソン系統全体における最大電力が1,018万kWであったのに対し、利用可能な発電容量は1,156万kWに達しており、今回はあくまで注意喚起であり、停電や電圧低下につながるものではないとしている。 印刷用PDF
2019.04.01
英国:系統運用者、2025年までに「ゼロ・カーボン」の系統を構築へ
英国の系統運用者であるナショナル・グリッド(NGESO、2019年4月から系統運用部門が分社化)は2019年4月1日、太陽光や風力などの再エネ電源のみでも安定供給を達成できる系統を2025年までに構築する「Zero Carbon Operation 2025」を発表した。現状、火力発電なしでは系統における電圧や周波数の調整力、慣性力の維持が課題となるが、NGESOは、新たな市場の設計や新システム、サービス、製品の開発により、こうした課題を解決するとしている。NGESOは、今後の具体的なアクションプランとして、再エネ電源や蓄電池による周波数調整の実証と必要な調整力の把握、慣性力や短絡容量を維持できる新技術を確保するための新たなアンシラリーサービスメニューの設定、電圧を安定させる新技術の実証実験、系統の慣性力のモニター技術や再エネの発電量予測の向上といった新たなデータマネージメント技術の導入などを挙げている。 印刷用PDF

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