2025 年度
海外電力調査会が収集した世界各地の電気事業情報を、エリア別、項目別にフィルタリングできます。各年度毎の表示となります。
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2025年度
- 2025.4.16
- 中国・ベトナム:中国・ベトナム共同声明に原子力発電協力
- 新華社は2025年4月16日、ベトナムを訪問中の習近平国家主席とルオン・クオン国家主席の共同声明の内容を発表した。共同声明には、人工知能、クリーンエネルギー、グリーン開発、デジタル経済などの新興分野における協力の強化、安全で安定した産業チェーンとサプライチェーンの共同構築に加え、原子力発電分野での協力が盛り込まれている。具体的には、原子力発電の研究開発協力を検討し、安全規制および原子力安全の標準化の分野における協力を強化するとされている。
- 2025.4.14
- 中国:政府、石炭火力発電アップグレード行動計画を発表
- 現地紙は2025年4月14日、国家発展改革委員会と国家能源局が「新世代石炭火力発電アップグレード特別行動実施方案(2025~2027年)」(以下、方案)を公表したと報じた。方案では電力現物市場、アンシラリーサービス市場、石炭火力容量価格メカニズムの整備を奨励するとともに、新型電力システムへの適応に向けて、石炭火力発電設備の効率的な調整力の強化と環境価値の合理的な評価を目指す。クリーン・低炭素、安全・信頼性、高効率な調整能力、智能運用の方向性に基づき、既存設備の改造や新設機の建設・運用、新世代石炭火力の試行を指導するものとなっている。技術要件としては、調整能力では最低出力を既存機では25~40%に、新設機では25%以下に、新世代機では20%以下とすることを求めている。このほか、周波数制御機能との両立も重視し、出力変化率やピーク対応能力が求められている。石炭消費の指標について、新世代機では超々臨界・水冷コンデンサ方式では標準炭換算で270g/kWh以下(注:熱効率45.5%以上)が目安とされている。
- 2025.4.11
- 中国:仮想発電所(VPP)の構築加速に指針発表
- 国家発展改革委員会および国家能源局は2025年4月11日、電力供給の安定化に役立つ仮想発電所(VPP)の構築加速に関する指針を発表した。同指針は、分散型電源を含む様々な分散型リソースを仮想発電所として集約し、電力系統の最適化や電力市場取引に協調する電力運用組織モデルと明確に定義・位置付け、その開発と導入の加速を求めている。具体的には、中長期電力市場、リアルタイム市場、アンシラリーサービス市場への参加メカニズムを改善・充実させ、デマンドレスポンスの機能を最適化することが提案されている。
- 2025.4.11
- ドイツ:EnBW、国内初の水素混焼ガス火力の試運転開始を発表
- ドイツのエネルギー大手EnBWは2025年4月11日、水素対応ガス火力への更新を進めていたStuttgart-Münster火力発電所(1908年運開、熱電併給)の試運転を開始したと発表した。今回の更新では、既存の石炭および重油焚きガスタービンに代わり、水素混焼可能なSiemens Energy製の天然ガスタービンが導入された。同社COOのPeter Heydecker氏は「2030年代半ばに予定している二度目の更新の後、十分な量の水素が供給されれば、同発電所は水素100%での専焼運転に移行する」との見通しを示した。他方、CEOのGeorg Stamatelopoulos氏はエネルギー転換に必要な発電所は市場原理だけでは成立困難と指摘。そのうえで、新連立政権に対し「発足後100日以内の政策パッケージの一環として、より多くの投資を促す制度設計が必要だ」と述べ、開発を後押しするインセンティブの強化を求めた。
- 2025.4.9
- 英国:UK Power Networks、ヒートポンプの電力系統安定化への利用を検証
- 英国の配電事業者UK Power Networksは2025年4月9日、ヒートポンプの活用により電力系統の安定化を目指すプロジェクトHeatNetの開始を発表した。本プロジェクトでは、AI技術を用いてヒートポンプの稼働を調整し、電力需要のピークを緩和する仕組みを構築する。英国政府は、ヒートポンプの設置台数を2028年までに年間60万台(現在3万5,000台)とする目標を掲げており、急速な普及に伴う電力系統への負担が懸念されている。本プロジェクトは現在、概念実証(PoC)段階にあり、こうした課題への対応策として期待されている。また、英国の規制機関であるガス・電力市場局(OFGEM)による戦略的イノベーション基金(SIF)の支援を受けて実施される。なお、同基金は低炭素社会の実現に向け、ガスおよび電力ネットワークの革新を促す取り組みに対して、2028年までに総額4億5,000万ポンド(約850億円)を支援する計画である。
- 2025.4.9
- 米国:トランプ政権、エネルギー規制の時限化を要請する大統領令に署名
- 現地紙は2025年3月24日、立法院経済委員会が同日、日本の電気事業法に相当する「電業法」の修正草案を初審通過させ、全条文を行政院案のまま可決したと報じた。これにより、台湾電力公司(台電)は発電・送配電・小売りを統合した現行の体制を維持し、2017年の電業法改正時に定められていた2025年末までの会社分割義務は撤回された。修正案は、2050年のカーボンニュートラル達成と電力市場の健全化に向け、再エネ取引の自由化、電力系統の柔軟性強化、取引市場の透明性向上を図っている。今回の修正には、再エネ販売事業者の取引先制限の撤廃、系統用蓄電設備・デマンドレスポンスの制度化、台電の経営体制維持、取引プラットフォームの中立性強化が含まれる。また、「特定電力供給業」として新たに定義された系統用蓄電設備やデマンドレスポンスの業者も制度の枠内に組み込まれた。さらに、台電の経営体制維持に伴い、送配電業務に対しては利益の部門別会計制度を義務付けている。
- 2025.4.8
- ドイツ:天然ガスから水素へ25kmのパイプラインが転換完了
- ドイツのガス輸送会社ONTRASは2025年4月8日、バート・ラウヒシュテット・エネルギーパークとフランスの石油メジャーTotalEnergiesのロイナ製油所を結ぶ全長25kmの水素パイプラインが完成したと発表した。このパイプラインは1980年代に敷設された天然ガス用パイプラインを水素輸送用に転換したもの。同エネルギーパークには8基、合計50MWの陸上風力発電が設置され、その電力を用いて30MWの水電解装置でグリーン水素を製造し、年間約2,700tの水素を輸送する。あわせて製造された水素を貯蔵するための塩洞窟の整備も進められており、2025年末までには水電解装置と製油所側の設備が完成し、水素輸送が始まる予定である。このパイプラインは、ドイツ国内で構築が進められている水素基幹ネットワークおよび欧州全体で計画されている水素バックボーンの一部となる。
- 2025.4.8
- 米国:トランプ大統領は石炭産業を支援するための大統領令を発布
- トランプ大統領は2025年4月8日、衰退しつつある石炭産業を支援するため、石炭掘削や石炭開発リースを優先するなど4つの大統領令を発布した。なお、AIやデータセンター需要への供給に石炭火力を使用することも推進する内容。米国のエネルギーシンクタンクGlobal Energy Monitor(GEM)によると、2000年以降、天然ガスや、再エネとの競争により、約770基の石炭火力が廃止されたとしており、今後5年でさらに多くの石炭火力が閉鎖する。トランプ大統領はDOEに対し、石炭が2020年エネルギー法に基づく重要物質および重要鉱物の定義を満たしているかについても判断するよう指示した。
- 2025.4.8
- 米国:DOE、原子力によるDCへの電力供給の利点と課題を発表
- 米国エネルギー省(DOE)原子力局は2025年4月8日、2028年の米国の総発電電力量の最大12%を消費する可能性があるとされるデータセンター(DC)に対し、原子力が電力を供給する6つの利点と5つの課題を発表した。利点は、(1)99.999%以上のエネルギー信頼性を求めるDCに高い稼働率で24時間365日稼働、(2)計画的で短い停止期間(18~24カ月間運転ごとに数週間)、(3)DCの多様な電力需要に合わせた柔軟性(多様かつ拡張可能な設計)、(4)燃料費の影響が小さく、80年の長期運転でDC長期事業計画に貢献、(5)コンパクトな先進型炉は隣地に設置して送電費節約、(6)安い電源確保の可能性を秘めた恒久停止炉の再稼働。一方、課題は、(1)新設に時間がかかる(先進型炉の普及は2030年代)、(2)初号機の費用が高い、(3)コロケーションによる費用分担問題、(4)原子燃料サプライチェーンが未構築、(5)使用済燃料の中間貯蔵または処分施設ができるまでの長期保管。
- 2025.4.7
- 中国:石炭火力のエネルギー効率下限を引き上げへ
- 国家市場監督管理総局(SAMR)は2025年4月7日、石炭火力を対象とするエネルギー効率の下限値の新基準を、4月1日から実施すると発表した。新基準は従来の石炭火力発電ユニットに加え、コ・ジェネレーション、循環流動床ユニットなどの超々臨界ユニットを対象として含み、稼働中ユニットの平均石炭消費量は1kWh当たり標準炭換算約302gを基準としている。新規建設ユニットはタイプ別にさらに1~10g引き下げるとされている。
- 2025.4.7
- 米国:米国の電力需要、2050年までに50%増加の見込み
- 米国電気工業会(NEMA)は2025年4月7日、米国の電力需要は毎年2%増加し、2050年までに50%増加する見込みであると発表した。電力需要の伸びは主にはデータセンターや、EVなどのe-モビリティが牽引しており、今後10年間でデータセンターの電力消費量は300%増、2050年までにe-モビリティの電力消費量は9,000%増と予測している。NEMAのデブラ・フィリップスCEOは「現在の米国の電力網は、驚異的な電力需要の伸びに対応できないため、技術導入や政策における創意工夫が必要である」と述べている。
- 2025.4.4
- 韓国:尹前大統領弾劾後のエネルギー政策の変化
- 現地メディアは2025年4月4日、尹錫悅前大統領の弾劾により、エネルギー政策に大きな変化が予想されると報じた。尹政権は、原子力を中心とした「CF100」政策を強調し、原子力発電の新規建設および運転期間の延長を積極的に推進していた。一方、野党共に民主党は「RE100」政策を支持し、再生可能エネルギーの生産基盤拡大を重視してきた。現地メディアは、次期政府では原子力と再生可能エネルギーの比率調整が行われる可能性があり、これは2035年の温室効果ガス削減目標(NDC)の設定にも影響を及ぼす可能性があると指摘している。
- 2025.4.3
- 英国・EU:米国の相互関税によるエネルギー価格高騰やサプライチェーンリスクが上昇
- 2025年4月3日付の英国のエネルギー情報誌は、米国トランプ大統領がEUに20%の相互関税を課すと発表したことで、欧州の主要な風力関連メーカーの株価が下落し、同分野が今後更なる混乱に直面するリスクがあると報じた。また、再エネ事業者団体RenewableUKは同日、Jane Cooper副代表のコメントを発表。同氏は「関税と貿易摩擦は消費者価格の上昇と産業への悪影響を招くため、英国政府によるエネルギー安全保障を強化する貿易戦略の策定が急務だ。関税と最近の米国政府による洋上風力開発の消極的な姿勢により、英米企業はクリーン技術分野での事業機会を失うおそれがある。また欧州に工場を持つ英国メーカーにとって、これらの措置がサプライチェーン全体に広範な影響を及ぼす懸念がある」と述べた。
- 2025.4.2
- 中国:中国石化と寧徳時代、1万カ所の蓄電池交換ステーション構築で協力強化
- 現地紙は2025年4月2日、石油大手の中国石油化工(Sinopec)が同日、蓄電池製造最大手の寧徳時代(CATL)と北京で産業・資本両面における協力枠組み協定を締結し、全国で1万カ所の蓄電池交換ステーションを共同で建設する計画を発表した。2025年中に少なくとも500カ所の建設を予定している。今回の協業では、寧徳時代が開発した「板チョコ電池」規格の導入が示されており、これにより蓄電池の標準化と異車種間での互換性確保を図る。中国石化は既に3万カ所の複合エネルギー補給ステーションを有し、寧徳時代は世界最大の動力電池サプライヤーとして多くの自動車メーカーと連携している。さらに3月には、寧徳時代はEV専業メーカーの蔚来(NIO)とも協定を結び、世界最大級の同規格の蓄電池交換ステーションネットワーク構築を進めている。2024年末時点で中国の新エネ車保有台数は3,140万台に達し、充電設備も前年比49.1%増の1,345万基に拡大している。
- 2025.4.2
- ドイツ:50Hertz、無効電力の市場調達を先行実施
- ドイツ北東部を管轄する送電系統運用者50Hertzは2025年4月2日、同月1日から無効電力の市場ベースでの調達入札を開始した。連邦系統規制庁は高圧および超高圧ネットワーク事業者に対して、2025年6月末までに、従来の化石燃料発電所との相対契約に代わる市場ベースでの無効電力の調達を義務付けているが、50Hertzは前倒しでの実施に至った。同社は同年1月末に試験的な入札を開始し、ザクセン州のWitznitz太陽光発電所(600MW)やブランデンブルク州の風力発電所で実証を行った。インバータを使用して夜間や無風時にも無効電力の供給が可能なことが確認されたため、正式な導入に至った。調達は管轄エリアを5つの区域に分割して行う。提供者には供給量に応じた単価に加え、継続的な供給能力を備えた場合には待機報酬も支払われる。
- 2025.4.2
- EU:ECA、現状の系統投資規模ではエネルギー移行達成に不十分との認識
- 欧州会計検査院(ECA)は2025年4月2日、電力系統の近代化に関する調査を実施し、現状の投資ペースを継続した場合の2024~2050年の総投資額が1兆8,710億ユーロに上ることを報告した。一方で欧州委員会は、同期間中に合計で1兆9,940億~2兆2,940億ユーロの投資額が必要になると推計しており、現状の投資ペースでは不十分であるとの認識をECAは示している。同時にECAは、投資ペースの加速に向けてEU加盟国間での系統開発計画の調整や許認可プロセスの簡素化、設備および人材不足の解消といった取り組みのほか、蓄電池やデマンドレスポンスといったフレキシビリティの拡充による系統増強費用の軽減が重要であると主張している。
- 2025.4.1
- 中国:南シナ海で推定埋蔵量億t級超の油田を発見
- 現地メディアの2025年4月1日付報道によると、中国海洋石油総公司(CNOOC)は3月31日、深圳から約170km平均水深100mの海域で推定埋蔵量1億t以上の油田を発見したと発表した。同社は南シナ海東部恵州19-6油田における深海・超深海探査中に確認されたとしている。初歩的な評価では、1日当たり平均413バレルの原油と6万8,000m3の天然ガスの生産が可能とされている。
- 2025.3.26
- 中国:鉄鋼、セメント、アルミを排出権市場の対象業種に追加
- 生態環境部は2025年3月26日、全国排出権取引市場に温室効果ガスの排出量が多い鉄鋼、セメント、アルミ精錬の3業種を追加する案を発表した。取引対象となる温室効果ガスには、CO2以外に四フッ化炭素(CF4)、六フッ化エタン(C2F6)が含まれる。追加後の市場参加者は、既に参加している電力業界約2,200社と合わせて約3,700社となり、中国全体のCO2排出量の6割(80億t)を占める。生態環境部は、参加業種の範囲を広げることで企業の排出削減コストを抑え、排出量削減に向けた取り組みを促すことが期待できるとしている。また、同案では、生産活動への影響を考慮し、ルール周知、排出量の査定、規則整備などのため、2026年までの移行期間を設けている。
- 2025.3.25
- EU:戦略的重要原材料供給プロジェクト47件を選定
- 欧州委員会は2025年3月25日、2024年5月に発効した重要原材料法に定めた戦略的原材料の採掘、加工、リサイクルまたは代用品生産を行う47のプロジェクトを、戦略的プロジェクト(Strategic Projects)として選定した。戦略的原材料とは、再エネ、防衛、デジタル、航空宇宙などの分野で特に重要であるとともに、将来の供給リスクが懸念されると指定された17の原材料であり、再エネ分野では銅やリチウムなどが含まれる。今回選定された戦略的プロジェクトはこのうち14種をカバーしており、資金調達やオフテイカーとのマッチングで支援を受けられる。加えて、通常では5~10年を要する許認可プロセスにも、採掘には27カ月、他プロジェクトには15カ月の期限が設けられ、手続の早期完了を目指す。欧州委員会は47の戦略的プロジェクトすべての稼働に要する投資額を225億ユーロと見積もっている。
- 2025.3.25
- 欧州:2024年の蓄電池設置容量は家庭用、系統接続用合計で1,190万kW
- エネルギー情報誌は2025年3月25日、欧州蓄電池協会(EASE)が公表したデータについて報じ、2024年の欧州の新設容量が家庭用、系統接続用の合計で1,190万kWに達したと報じた。このうち家庭用(Behind the meter)は前年より17%低下して690万kW、系統接続用(Front of the meter)は前年比60%増加の490万kWとなった。家庭用蓄電池の設置理由として、家庭用太陽光発電の普及が挙げられている。EASEが想定する将来の蓄電池市場は、最も普及するケースで、現在の3,500万kWから2030年には1億6,300万kWに達する。
- 2025.3.25
- 米国:シュナイダーエレクトリック、米国で7億ドル超の投資を計画
- フランスの大手電気・産業機器メーカーであるシュナイダーエレクトリックは2025年3月25日、2027年までに同社の米国事業に7億ドル以上を投資する計画を発表した。この投資は、データセンター、電気事業、製造業、エネルギーインフラ分野における製品・サービスの需要の高まりに対応するもので、同社の米国での投資としては過去最大となる。資金は、製造施設の拡張や研究施設の新設に充てられ、1,000人以上の雇用創出が見込まれている。なお、シュナイダーエレクトリックは、各地域で販売する製品の約90%を現地で調達・生産する目標を掲げており、今回の発表は北米におけるサプライチェーン強化戦略の一環と位置付けられている。
- 2025.3.24
- 台湾:電業法修正案が初審通過、台湾電力の分割は撤回
- 現地紙は2025年3月24日、立法院経済委員会が同日、日本の電気事業法に相当する「電業法」の修正草案を初審通過させ、全条文を行政院案のまま可決したと報じた。これにより、台湾電力公司(台電)は発電・送配電・小売りを統合した現行の体制を維持し、2017年の電業法改正時に定められていた2025年末までの会社分割義務は撤回された。修正案は、2050年のカーボンニュートラル達成と電力市場の健全化に向け、再エネ取引の自由化、電力系統の柔軟性強化、取引市場の透明性向上を図っている。今回の修正には、再エネ販売事業者の取引先制限の撤廃、系統用蓄電設備・デマンドレスポンスの制度化、台電の経営体制維持、取引プラットフォームの中立性強化が含まれる。また、「特定電力供給業」として新たに定義された系統用蓄電設備やデマンドレスポンスの業者も制度の枠内に組み込まれた。さらに、台電の経営体制維持に伴い、送配電業務に対しては利益の部門別会計制度を義務付けている。
- 2025.3.24
- ドイツ:ドイツ復興金融公庫、水素コアネットワーク支援で初の資金拠出
- ドイツ復興金融公庫(KfW)は2025年3月24日、水素コアネットワーク整備支援として、約1億7,200万ユーロを専用の償却口座へ拠出したと発表した。ドイツでは2032年までに全長9,040kmの水素コアネットワーク整備が計画されており、その利用料は水素需要家が負担する。ただし初期段階では利用者が限られるため、連邦ネットワーク庁は料金上限を設けて需要拡大を促す。この上限と実際に必要な運営コストとの差額は償却口座から補填される。これによりネットワーク運営事業者は初期から安定収入を確保でき、投資リスクが軽減される。将来的に利用者と収入が増えれば追加収入が償却口座に返還され、2055年までにKfWの資金と相殺される予定。償却勘定が均衡しない場合、残額の76%を連邦政府、24%をネットワーク事業者が負担する。水素コアネットワークの建設は2025年から始まり、KfWはこの取り組みに向けて240億ユーロの融資枠を確保している。
- 2025.3.24
- 米国:DOE、軽水炉型SMR導入に向けた9億ドルの資金援助の申請受付を再開
- 米国エネルギー省(DOE)は2025年3月24日、第3世代プラス(軽水炉型)小型モジュール炉(SMR)の商業展開を支援するための総額9億ドルの資金援助について、新たなガイドラインのもと改めて申請の受付を行うことを発表した。同支援は第1段階(最大8億ドル)でファースト・ムーバーを最大2チームまで支援してSMRの受注を促進し、第2段階(最大1億ドル)で設計、許認可、立地などの課題に対処してファースト・フォロワーによる追加導入を支援するという2段階で構成され、2024年10月に申請受付が開始された後2025年1月に期限を迎えていた。DOEは受賞者の選定は技術的な優秀性のみに基づいて行われると説明しており、新たなガイダンスではコミュニティの利益に関する要件がなくなった。申請期限は2025年4月23日で、既に応募していた申請者も新たなガイダンスにしたがって再申請する必要があるほか、新規の申請も受け付けるという。
- 2025.3.21
- 中国:政府、CO2ピークアウトパイロットエリア第2弾18件を発表
- 国家発展改革委員会は2025年3月21日、二酸化炭素(CO2)排出ピークアウトパイロットエリア第2弾のリストを発表した。新疆ウイグル自治区、甘粛省など西北部地域を含む都市、産業パークなど18カ所のパイロットエリアとなっている。2023年12月に発表した第1弾の30カ所と合わせ、他の地域に先駆けてCO2排出ピークアウトを実現する目標を掲げている。国家発展改革委員会は、これらの地域のエネルギー消費の低炭素化転換や製造業のハイエンド化・スマート化・グリーン化などの具体的なプランの作成に協力、支援を行う。
- 2025.3.20
- ミャンマー・ロシア:ロスアトム、ミャンマー首都近郊に原子力発電所を建設へ
- 2025年3月20日付の報道によると、ロシア国営原子力企業ロスアトムのAlexei Likhachev 総裁は、同月4日に署名したミャンマーでの小型モジュール炉(SMR)建設協力に関して、原子力発電所は同国首都のNaypyidaw近郊に建設される、と述べた。建設を予定されているのは110MWのSMRで、将来的には330MWまで容量を拡大する可能性がある。また、同総裁は、2000年時点で当時のミャンマー政権が、同国における10MWの原子力研究炉の建設と運用についてロシアに協力を検討するよう要請していたことから、両国の原子力発電プロジェクトは数十年前に合意されたものだと述べた。
- 2025.3.20
- 中国:農村部での分散型太陽光導入促進行動案、管理強化と課題洗い出し
- 国家能源局は2025年3月20日、農村地域の分散型太陽光発電の導入促進に関する行動案を発表した。それによると、該当地域の分散型太陽光導入は住民である農民の意見を全面的に尊重したうえで、市場化し、法に基づく事業環境を構築しなければならないとしている。能源局は56カ所の地域をモデル地区として指定し、管理監督の強化を実施するとともに、所在地の電力会社の協力を得て、導入に関連する課題を洗い出す。
- 2025.3.20
- 英国:規制機関、送電事業者による系統増強用資材の先行確保のため新制度導入
- 規制機関のガス・電力市場局(OFGEM)は2025年3月20日、送電事業者(TO)が系統開発・増強に必要となる資材などの先行確保を可能にする制度(APM:Advanced Procurement Mechanism)を導入すると発表した。今回の発表では、国内3者のTOに対し計40億ポンド(約7,785億円)の限定予算を割り当てるとした。収入規制下にあるTOは、通常はプロジェクトが特定のマイルストーンに到達した後に資材調達のための資金アクセスをOFGEMに求めるが、APMではOFGEMの承認無しで資材の事前確保のための保証金の前払いが定められた上限内で可能となり、将来の資材価格高騰などのリスクを軽減する。なおプロジェクトの行き詰まりリスクに対応し、APMの対象は仕様変更や他のプロジェクトへの転用が可能な資材に限られる。また、プロジェクトやサプライチェーンの状況に応じて支出上限の変更が可能となる条項なども設けられている。
- 2025.3.20
- 米国:FERC、2024年の電力と天然ガス市場に関する報告書を公表
- 連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2025年3月20日、米国の2024年の電力と天然ガス市場に関する報告書「2024 State of the Market」を公表した。報告書では、米国全土の電力需要が前年比で2.8%増加するとし、主な要因として、カリフォルニア州、テキサス州および中大西洋地域における気温上昇を挙げた。また、電力のピーク需要について、2029年までに夏季は1億3,200万kW、冬季は1億4,900万kW増加すると予測している。主な要因は産業用需要の増加であり、データセンターについては1,300万~5,500万kWの需要増加が見込まれるとした。発電電力量は前年比で石炭火力が3.3%減少した一方、太陽光が32%増加、風力が7.7%増加した。2024年末時点の発電設備容量の内訳は、天然ガス火力が44%、石炭火力が14%、風力が12%、太陽光が9%、原子力が8%、水力が7%、石油が2%、蓄電池が2%などとなっている。
- 2025.3.18
- 中国:2024年電力関連企業55社、海外市場で672億ドル分の契約を締結
- 電力専門紙は2025年3月18日、中国機電産品輸出入商会(CCCME)の集計によると、国内の電力関連企業55社は、2024年に海外市場で前年比31%増となる約672億ドルを超える契約を結んだと報じた。そのうちバイオマス関連は402.9%の大幅増となる23億ドルに達し、バイオマスエネルギー分野における中国の技術革新が国際市場で大きなシェアを占めていると専門紙は評価している。
- 2025.3.17
- 中国・英国:中英エネルギー対話、送電網、再エネなどで協力へ
- 国家能源局は2025年3月17日、北京で王宏志国家能源局長と英国のミリバンドエネルギー安全保障・ネットゼロ担当大臣が共同議長を務めて「第8回中英エネルギー対話」が開催されたと発表した。両国は、クリーンエネルギー技術、エネルギー転換のロードマップ、エネルギー安全保障、国際エネルギーガバナンスなどのテーマで意見交換を行い、「中国と英国のクリーンエネルギー協力に関する覚書」に署名した。覚書では、電力市場改革と送電網、バッテリーエネルギー貯蔵、洋上風力発電、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)、クリーンな低炭素化、再生可能水素が協力の主要分野として記載されている。
- 2025.3.17
- 英国:RWE、大手データセンター事業者と10年間の再エネPPAを締結
- ドイツの電力大手RWEは2025年3月17日、データセンター事業者のTelehouse International Corporation of Europeと10年間(2035年末まで)の電力売買契約(PPA)を締結したと発表した。本契約により、ロンドン・ドックランズキャンパスにある5つのデータセンター(このうち、最も新しいTelehouse Southは容量18MW)で使用する電力の大部分を同社のロンドン・アレイ洋上風力発電所の電力で賄うこととなる。同発電所は175基、総出力630MWのタービンを備え、2013年の稼働開始時から2018年まで世界最大の洋上風力発電所であった。なお、TelehouseはKDDIの子会社であり、世界10カ国以上で事業を展開し、使用する電力の100%を再エネで賄う方針である。
- 2025.3.17
- 米国:DOE、パリセード発電所支援の債務保証枠での2回目融資の実施を承認
- 米国エネルギー省(DOE)のクリス・ライト長官は2025年3月17日、ホルテック社によるパリセード原子力発電所(PWR、85万7,000kW)の再稼働プロジェクトに対し第2回目となる約5,679万ドルの融資の実施を承認すると発表した。2024年9月にDOEが同プロジェクトに最大15億2,000万ドルの債務保証を行うことを発表しており、2025年1月には初回として3,800万ドルの融資が行われている。同発電所は2022年に運転を停止したが、同発電所を保有するホルテック社は2025年第4四半期に再稼働するための準備を進めており、予定通り進めば恒久停止した商業用原子炉が再稼働する初の事例となる。ライト長官は「国内のエネルギー生産の増加、安全保障の強化および米国民のコスト低減というトランプ大統領の公約を推進するための新たな一歩である」とコメントしている。
- 2025.3.15
- ドイツ:RWEとE.ONがエネルギー転換の見直しを求め共同声明
- ドイツの電力大手RWEのCEOマルクス・クレバー氏とE.ONのCEOレオンハルト・ビルンバウム氏は2025年3月15日、「エネルギー転換2.0」政策の実行を提案する共同文書を発表した。両氏は従来の計画目標に固執せず、需要に即した低コストのエネルギー転換を求めた。現行の再エネおよび系統拡大目標は過剰であり、計画見直しにより今後10年間で数千億ユーロのコスト削減が可能とする。2030年の電力需要は750TWhに増加すると想定されているが、現状は急激な伸びを示していない。したがって当面は南北連系線や洋上風力開発の必要性は薄く、従来計画より7~8年プロジェクトを遅らせることで経済的負担が分散され、社会にとって大きな利益になるという。また、系統接続の優先順位の設定や、個人宅の屋根置き太陽光パネルに対する補助金の廃止、発電所安定法案における特定の転換時期を指定するH2-ready(天然ガスから水素へ転換)要件の撤廃などを求めた。
- 2025.3.12
- 米国:EPA、大規模な環境規制の見直しでGHG危険認定の撤回に言及
- 米国環境保護庁(EPA)は2025年3月12日、トランプ政権のエネルギー政策推進に向けた大規模な環境規制の見直しを行うことを発表した。影響が大きいとみられているのが、オバマ政権下のEPAがマサチューセッツ州対EPAの最高裁判決(2007年)に基づいて温室効果ガス(GHG)を健康と福祉に有害とした2009年の危険認定(Endangerment Finding)を撤回するという内容。リー・ゼルディン長官は、法律の厳格な解釈に基づき進めると強調し、撤回によりエネルギーコストの低減と自動車産業の復活を促すと発言した。撤回された場合、EPAによるGHG排出規制の法的根拠が失われることになるため、民主党や環境団体は強く反発しており、今後法的措置を取ることを表明している。
- 2025.3.11
- 英国:国内初のグリッドフォーミング蓄電池が系統接続
- 系統運用機関NESOは2025年3月11日、国内初のグリッドフォーミング蓄電池がスコットランドで系統に接続し、稼働を開始したと発表した。グリッドフォーミング蓄電池(Grid Forming Battery)とは、その高度な制御機能により、同期電源と同様に短絡容量と慣性力を調達する蓄電池で、系統安定性の向上に寄与できる。今回稼働したのは、NESOによるシステム安定性向上を図るイニシアティブ「Stability Pathfinder」のフェーズ2に織り込まれているプロジェクトのひとつである。スコットランドに注力したフェーズ2では、こうしたグリッドフォーミング蓄電池と同期コンデンサ5つずつから成る10のプロジェクトで10年間の契約が締結されており、その規模は合計で3億2,300万ポンド(約627億円)に達する。この日は、フェーズ2の最初の2プロジェクトが稼働した。
- 2025.3.11
- 英国:規制機関、長期エネルギー貯蔵に対する支援制度の技術要件を公表
- 規制機関のガス・電力市場局(OFGEM)は2025年3月11日、長期エネルギー貯蔵設備(LDES)を対象とする支援制度(キャップ&フロア:プロジェクト収益に下限と上限を設け過不足を決済)の最終的な技術要件を公表した。最大出力で連続8時間以上電力供給が可能な設備が支援対象となり、連続6時間以上というこれまでの案から引き上げられた。支援対象とするか不透明であったリチウムイオン電池は上記要件を満たす場合に対象となる。設備容量の下限は、実証済み技術(揚水発電やリチウムイオン電池)が対象の「ストリーム1」では100MW、発展途上技術(液体空気電力貯蔵、圧縮空気電力貯蔵、フロー電池など、1MW以上の規模で実証例のある技術)が対象の「ストリーム2」では50MWに設定された。今後、初回枠については2025年春にも申請受付を開始し、プロジェクト収益の下限・上限設定プロセスなどを経たのち2029年頃に支援を開始する。
- 2025.3.11
- 英国:政府、重要インフラ開発の促進に向けた法案を提出
- 英国政府は2025年3月11日、住宅建設やインフラ開発を加速させる法案を提出した。法案の主旨は、重要プロジェクトの審査の合理化や訴訟制限、自然保護区域内の開発緩和に伴う環境復元基金の設置、公正な価格での公益目的の土地確保など。電力関連は、系統接続改革のサポート(同法公布から3年以内に限り、必要な場合のみ、国務大臣や規制機関に優先接続の順位付け権限を付与)、スコットランドの電力インフラ計画規則の変更(申請要件の厳格化による審査遅延件数の削減)、長期エネルギー貯蔵設備(LDES)に対する支援制度の導入、新設の送電鉄塔から500m以内の住民の電気料金割引、洋上風力の試運転時の海底送電線運用を認める特例措置の期間延長、森林地への適切な電力設備設置のための1967年森林法の改正、電気自動車(EV)用公共充電器運営事業者(CPO)に付与する道路工事認可の簡素化(ライセンス制から許可証制への切り替え)などとなっている。
- 2025.3.11
- 米国:SEIA、2024年の太陽光発電導入量は5,000万kWと報告
- 太陽光エネルギー産業協会(SEIA)は2025年3月11日、米国の2024年における太陽光発電の導入状況に関する報告書「US Solar Market Insight」を発表した。同報告書によれば、2024年に過去最高となる5,000万kW(2023年比21%増)の太陽光が導入され、これは同年に新規導入されたすべての発電設備容量の66%を占めた。SEIAはこの増加の理由としてインフレ抑制法(IRA)に基づくタックスクレジットなどを挙げた。また、SEIAは2035年までに太陽光の総発電設備容量が7億3,900万kWに達すると予測する一方で、同産業は連邦政府の政策変更による不確実性に直面しているとの認識を示した。
- 2025.3.10
- マレーシア:マレーシア国会、CCUS法案を可決、施行急ぐ
- 2025年3月10日付報道によると、マレーシア国会に提出されていた炭素回収・利用・貯留(CCUS)法案が同月6日に可決され、政府は連邦と州間の法律の整合化を急いでいる。Datuk Seri Rafizi Ramli経済大臣は、長期的な投資機会確保のため、本法案を同月末までに策定・施行することが必要だと述べた。本法案では、CCUSに関するライセンス発行、コンプライアンス、産業発展を監視するためにマレーシア炭素回収・利用・貯留庁を設立することや、炭素回収設備の登録が必要となること、海上・陸上両方の炭素貯留施設の許可取得が義務付けられることが定められている。なお、CCUS事業を行う有力候補とされていたサラワク州・サバ州は本法案の対象から除外されており、今後は州が独自の規制を用意するとみられている。