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各国の電気事業(主要12か国)

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2018年3月時点




 目 次


      1. エネルギー政策動向
エネルギー資源が豊富な国:化石燃料を中心としたエネルギー構造、脱化石燃料が課題
エネルギー・電力消費量は世界一、エネルギー構造改革を推進
石炭火力発電の高効率化、クリーン化へ取り組み強化
2. 地球温暖化防止政策動向
CO2排出量も世界一:自主削減目標を設定、排出権取引市場対象拡大へ
3. 再生可能エネルギー導入政策・動向
再生可能エネルギー開発を積極的に推進
風力と太陽光開発:世界一の規模
4. 原子力開発動向
開発推進の方針を維持するも、国内の開発はペースダウン
原子力の海外進出を活発化
5. 電源開発状況
石炭火力の開発を抑制、非化石電源の開発を推進
急ピッチで進む送電網整備
6. 電気事業体制
国家直営から国有企業化へ、統合や再編を後押し
電力体制改革の新たな動き
7. 電力供給体制図



1. エネルギー政策動向

エネルギー資源が豊富な国:化石燃料を中心としたエネルギー構造、脱化石燃料が課題
 中国はエネルギー資源に恵まれており、特に石炭の確認埋蔵量は約1.48兆トン(2013末時点)と世界有数の規模である。石炭の年間生産量、消費量ともに世界一で、全世界の半分以上を占めている。石炭埋蔵量の8割は西部と北部地域に集中しており、発電用などに使われる一般炭の主要産地である山西省や内蒙古自治区などで採れる石炭は、主に華東区域と華中区域、および広東省地区の発電所に供給されている。一方、石油と天然ガス資源の多くは、東北、中部、西部地域と海域に賦存している。その他、再生可能エネルギー資源は沿海部の需要地から一番遠い西部の新疆自治区、北部の内蒙古自治区周辺、および東北地域に大量に賦存している。また、水力は四川省や、貴州省など中部か西南部が豊富である。
エネルギー・電力消費量は世界一、エネルギー構造改革を推進
 近年の経済発展により、中国のエネルギー消費量は驚異的な伸びを示してきた。一時、国内炭の価格高騰により輸入炭が増えていたが、2014年以降、経済成長の鈍化に伴い、国内炭は生産量が減少し、価格も下落、輸入炭も減少している。2016年の一次エネルギー消費量は中国標準炭換算(1kg = 7,000kcal)で43.6億トンと世界一であった。政府は、エネルギー確保や雇用維持の観点から石炭を中心とする構造を維持しながら、中長期的に石炭の比率を低下させ、産業の構造転換や環境問題の解決を目標として掲げている。

 電力についても、2016年の年間消費電力量は5.97兆kWhで世界一となっている。発電の中心は火力で、全発電設備容量16.5億kW(2016年末時点)のうち火力は10.61億kWで、全体の64.3%を占め、またそのほとんどが石炭火力である。
石炭火力発電の高効率化、クリーン化へ取り組み強化
 火力発電に加えて、重工業の発展、自動車の普及、都市化の進展に伴って、中国では大気汚染や水質汚染などの公害が深刻化している。

 これら環境問題に加えて地球温暖化にも対処するため、政府は「国民経済・社会発展第十三次5カ年計画」(2016~2020年)でも環境対策の強化を目指している。これを受けて公布された「エネルギー発展第十三次5カ年計画」(2016~2020年)では、石炭・石油開発、シェールガス開発を推進するとともに、再エネ、環境負荷の低い石炭火力発電所、ガス火力発電所の開発などが盛り込まれている。「石炭火力発電高効率化・排出削減向上改造行動計画(2014-2020)」(2014年9月)では、東部地区において石炭火力の新設を原則禁止すること、新設ユニットの発電効率を1kWhあたり300g(標準炭換算)以上とすること、および既設発電所の汚染物質排出量にも、新規制に適合した設備改造を要求している。これに対応できない既設の発電所は、2020年までに強制的に廃止させることが示唆されている。このため、石炭火力発電所の超低排出化改造が合計4.2億kW規模のプラントで実施される計画である。超低排出の目標は、煤塵が10mg/Nm3、SO₂が35mg/Nm3(約12ppm)、NOxが50mg/Nm3(約24ppm)となっており、非常に意欲的な基準となっている。なお、「十三・5」期間前にすでに1.6億kW規模が超低排出の水準となっており、2020年には合わせて5.8億kW、全石炭火力の半分以上を超低排出化対応プラントとする方針である。
 「国民経済・社会発展第○○次5カ年計画」は「5年間における国の運営に関する基本方針を示したもので、開始年の3月に開催される全国人民代表大会(日本の国会に相当)で承認される。略して、第○○次5カ年計画」と呼ばれる。

2. 地球温暖化防止政策動向

CO2排出量も世界一:自主削減目標を設定、排出権取引市場対象拡大へ
 中国はエネルギー消費の増大に伴い、CO2排出量が急増し、2007年には60.3億トンと、米国の57.6億トンを抜いて世界最大の排出国となり、2015年は90.4億トンとなった。CO2総排出量の50%近くを発電が占める。

 気候変動問題については、中国政府の公式目標として、2014年11月に北京で開催されたAPEC首脳会議において、温室効果ガス排出量を2030年前後に減少に転じさせ、2030年には非化石エネルギーが一次エネルギーに占める比率を20%前後に増加させる方針が示された。その後、2015年11月にパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、2020年までに単位GDP当り排出量を2005年比で40~50%削減(2014年実績は33.7%)、一次エネルギーに占める非化石エネルギー比率を15%(同11.2%)、さらに森林面積を増加させることなどを国際社会に表明し、そのため約200億元(約4,000億円)規模の「中国気候変動南南協力基金」を設立するとした。

 一方、2013年6月から、深圳市をはじめ、全国7カ所(深圳市、北京市、天津市、上海市、広東省、湖北省、重慶市)で、温室効果ガス排出取引市場が試験的に導入されている。これらの政策の効果を検証した上で、2018年1月から全国に拡大することになり、第一段階では、電力分野が導入対象となっている。なお、市場規模は30~40億トン、取引額は80億元と世界第2位規模の市場になると見込まれている。

3. 再生可能エネルギー導入政策・動向

再生可能エネルギー開発を積極的に推進
 中国には豊富な再生可能エネルギー(以下、再エネ)が存在する。再エネを活用するため、政府が2006年に施行した「再生可能エネルギー法」は、固定価格買取制や、発電事業者への再生可能エネルギー導入の強制的割当制度(RPS)などの推進制度を確立した。

 2011年から2015年の5年間にわたる「第十二次5カ年計画」では電力・エネルギー部門の非化石エネルギー比率、単位GDP当たりエネルギー消費、単位GDPあたりCO2排出量削減、石炭火力発電所のSO2、NOx排出低減などを「拘束される目標」として義務付けた。そのため、年間数千万kWのペースで風力および太陽光発電設備が増設されてきている。開発が進んだのは立地条件の良好な西北部が中心であるが、これらの立地集中地域は電力の大需要地である沿海部の大都市からは遠く離れている。そのため大規模かつ長距離の送電系統が必要となるが、その整備が追い付かず、発電する能力がありながら送電出来ない状況が生じている。中国ではこの状況を風力発電では“棄風”、太陽光発電では“棄光”と呼んでおり、問題となっている。

 諸問題の解決に向けて、2016年に発表された前述の「エネルギー発展第十三次5カ年計画」では、安定的な電力供給の継続、風力・太陽光発電の大量導入の継続を前提とした電力システムの柔軟化が掲げられている。風力、太陽光発電については、開発を最適化しつつ発展に力を入れるとされている。2020年時点の全国の風力発電設備は2.1億kW以上、うち洋上風力発電は500万kW前後とし、また太陽光発電設備は1.1億kW以上、うち分散型太陽光発電を6,000万kW以上、太陽熱発電を500万kWとする計画である。

 なお、水力については1,000万kW級の大規模発電所を10カ所、陸上風力については内蒙古自治区を始め8つの省・自治区に1,000万kW規模の風力発電基地を9カ所(総設備容量約1.2億kW)建設するとともに、中・小型風力、洋上風力も積極的に開発、洋上風力は東部沿海部で開発を進めるとしている。

 発電事業者への再生可能エネルギーの強制的導入割当制度(RPS)では、保有する火力などの発電設備容量が500万kW以上の事業者に対し、再生可能エネルギー発電設備の比率を2020年までに8%以上とする義務が課されている。政府は送配電事業者には再エネによる電力を全量買取ることを義務づけ、買取価格や、「全量購入に関する監督管理方法」、「省エネ発電指令方法」を制定するなど制度面で支援している。
風力と太陽光開発:世界一の規模
 風力資源は豊富であり、中国気象局のデータによると、開発可能容量は24億kW(陸上のみ)とされている。発電設備容量は2005年に186万kWであったものが、2017年には16,367万kWと12年間で88倍となった。

 太陽光は設備容量で2015年に世界第1位のドイツを抜いた後、2017年末には導入量が1億3,025万kWに達している。大量導入が進んだ背景には、政府の支援策が大きい。政府は、2009年から太陽光発電のモデル事業を推進するために「金太陽モデルプロジェクト」を発表し、財政支援などによって、大型工業・商業施設、公共機関、未電化の辺境地区などで太陽光発電モデル事業を重点的に支援している。2016年は貧困対策を対象として、太陽光パネルの設置費用を補助金として支援している。

4. 原子力開発動向

開発推進の方針を維持するも、国内の開発はペースダウン
 中国は、フランス、ロシア、米国、日本などの技術を導入しながら国内原子力機器メーカーの技術力を高めていくという政府の方針の下、原子力発電開発を積極的に進めてきた。2017年末時点で、38基(3,580.7万kW)が運転中であるが、総発電設備容量に占める比率は3.87%とまだ小さい。運開済みの原子炉の炉型はCANDU炉2基を除き、すべて加圧水型軽水炉(PWR)である。

 中国は大気汚染問題や地球環境問題への対応などから、石炭火力の代替電源として今後も原子力開発を推進する方針を打ち出している。政府は2016年11月、「電力発展十三・五計画 (2015~2020年)」を発表し、沿海部での原子力発電プラントの新・増設を継続するとともに、中国自主技術による第三世代炉へシフトしていく方針が示されている。2020年には運転中5,800万kW、建設中3,000万kWまで開発するという目標を掲げた。

 新規開発する原子力発電所は、第三世代炉など高い安全性を有する原子炉を建設していく方針である。2014年には、海外の技術を取り入れた、「華龍1号」を呼ばれる国産原子炉の基本設計を完了させ、福建省の福清原子力発電所の5・6号と、広西壮族自治区の防城港原子力発電所の3・4号で建設されることになった。一方、内陸部にある大河川や湖沼近傍に立地する原子力発電所の開発計画は福島事故を受けて、2017年末時点まで建設許認可審査が停止したままである。
原子力の海外進出を活発化
 活発な原子力開発により中国内のメーカーは実力をつけており、海外進出にも積極的になっている。現在、英国、ルーマニア、南アフリカ、パキスタン、チェコで原子力開発事業を展開している他、トルコ、カナダ、カザフスタン、ウズベキスタン、ナミビア、オーストラリアでウラン燃料の開発を手掛けている。パキスタン、イギリス、アルゼンチンにおける原子力プロジェクトでは、開発・建設への合意を取り付けている。そして海外進出のために国内の原子力事業者のM&Aも活発化しており、事業拡大ための資金調達を国内外の株式市場からも調達するようになっている。

5. 電源開発状況

石炭火力の開発を抑制、非化石電源の開発を推進
 電源の中心は石炭火力であるが、総発電設備容量に占める火力発電の比率は年々低下している。一方、水力や再エネ、原子力といった非化石エネルギーによる発電設備容量の比率は年々高まり、2010年に全体の26.6%であったものが2016年には同36%となっている。再エネの中でも、とりわけ風力と太陽エネルギーの伸びが著しい。また、原子力については2016年に同2%を超えた。2004年以降、中国内の発電設備の新規運開容量は9,000万kWを下回ることはなく、2012年からは5年間連続で1億kW超が運開に至っている。これは、東京電力の発電設備容量(2016年末で6,759万kW)の1.5倍以上の設備が10年間以上にわたって毎年、建設され続けてきたことになる。

 2016年からスタートした「第十三次5カ年計画」(2016~2020年)では、一次エネルギー消費量に占める非化石エネルギーの比率を15%にするという目標が示された。これを受け、「電力発展第十三次5カ年計画」では、総発電所設備容量に占める非化石エネルギーの比率を2020年までに39%にするという目標とともに、2020年末時点の総発電設備容量を20億kW、このうち非化石エネルギーによる発電設備容量を7.7億kW前後とし、一方で石炭火力発電設備容量を11億kW以内に抑制し、総発電設備容量に占める割合を55%程度に低減するとしている。
急ピッチで進む送電網整備
 中国は、石炭資源の76%、水力資源の80%が中・西部に偏在し、電力需要地は東部沿海地域および広東省の珠江デルタ周辺に全電力需要の70%以上が集中している。

 このため、中・西部で開発される大型の火力発電所と水力発電所の電力を、できるだけ低いロスで長距離輸送するため、UHV(超々高圧)送電線(交流1,000kV、直流±1,100kV、±800kV)の建設が積極的に行われている。国家電網有限公司(以下、国家電網)と中国南方電網有限責任公司(以下、南方電網)は、2020年までにUHVの送電容量を3億kWに拡大する計画を発表している。特に国家電網は、2020年までにUHV送電線10~15ルートを建設するとしている。

 2017年の電力部門における投資額は、前年とほぼ同じ8,014億元で、そのうち流通設備への投資額は約66%に占める5,315億元となった。2017年末時点で、220kV以上の送電線の亘長は687,786km(前年比6.5%増)、変電設備容量373,331万kVA(同7.9%増)となっている。

6. 電気事業体制

国家直営から国有企業化へ、統合や再編を後押し
 2002年末に、発送配電一貫企業であった「国家電力公司」を発電部門と送配電部門に分割し、送配電事業を営む国家電網と南方電網の2社と、発電事業を営む5大発電会社(中国華能集団公司、中国大唐集団公司、中国華電集団公司、中国国電集団公司、中国電力投資集団公司)が発足した。これら7社はいずれも国務院の「国有資産監督管理委員会」(以下SASAC:State-owned Assets Supervision and Administration Commission of the State Council)が監督・管理する国有企業(中央企業と呼ばれる)である。

 送配電会社2社は、原則として揚水水力などピーク対応用の電源以外の電源資産を保有しないことになっている。5大発電所会社は全国各地に発電所を保有しており、地域割の形はとられていない。

 こういった5大発電会社のほかにも、中央政府が管理する国有企業や地方政府が保有する発電会社、民間、外資など3,800社余りの発電会社が存在するが、そのほとんどは小規模事業者で、500万kW以上の設備を有する事業者は20社足らずである。

 2013年11月、「改革の全面的な深化における若干の重要問題に関する中共中央の決定」が発表され、中央企業の整理統合が開始された。こういった流れの中で2015年6月、国家核電技術有限公司(第三世代原子炉AP1000の建設を進める企業)と国有5大発電会社のひとつである中国電力投資集団公司が合併、国家電力投資集団公司が設立されたり、2017年8月には石炭生産の最大手である中国神華集団公司と中国国電集団公司が合併、国家能源投資集団有限責任公司となった。
電力体制改革の新たな動き
 中国政府は2015年3月、「電力体制改革の更なる深化に関するガイドライン」を発表し、2002年に続いて電力体制を改革するという方針を打ち出した。この改革の主な焦点は、電気料金と電力取引の自由化(市場化)で、小売電気事業への民間資本参入を促している。この改革は、「第十三次5カ年計画」の期間である2016~2020年の5年間をかけて行うとされる。

 取引の自由化(市場化)に向けて、独立機関による電力取引機構の電力市場ルールを確立し、電力市場を整備することが求められている。この他にも、2017年末までに電圧階級別に送電会社の収入と託送料金の査定を実施し、2018年末までに電力小売市場が運用を開始する。電気料金改革は、託送料金を明確化し、広東省深圳市、内蒙古自治区西部、安徽省、湖北省、寧夏回族自治区、雲南省、貴州省での試行を経て全国に拡大される。電力市場におけるスポット取引も認められ、一部地域を除き、託送料金が一般公開されている。すでにこの市場取引を通じ、電気料金の一部値下げが実現したと報告されている。2017年には一部の電力小売り改革については、全国各地で地方政府、国家電網など傘下の配電会社、発電会社、民間企業などが小売り会社を続々と設立しており、2017年12月末で約1万社以上が登記、登録を行っているとされている。ただし、これら小売会社の実態については、まだ明らかになっていない点が多い。

 また、現在は卸料金および需要家への小売電気料金は、政府による規制料金で、省ごとに決められている。政府は、今回の電力体制改革で、市場の活用や合理的な電気料金の支払いを通じ、費用の削減効果が期待されるとして、一般工業用、産業用の料金について2018年中に10%程度の引き下げを目標としている。

7. 電力供給体制図




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