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各国の電気事業(主要12か国)

中国

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1. エネルギー政策動向

世界有数の化石燃料資源国:石炭生産量は世界一、発電の中心は石炭
中国は化石燃料資源に恵まれており、石炭の確認埋蔵量は約1.48兆トン(2013末時点)と世界有数の規模である。石炭の年間生産量、消費量ともに世界一で全世界の約半分以上を占めている。石炭埋蔵量の8割は西部と北部地区に集中している。特に、発電用などに使われる一般炭の主要産地である山西省と内蒙古自治区で採れる石炭は、主に華東区域と華中区域、広東省地区の発電所に供給されている。一方、石油と天然ガス資源の多くは、東北、中部、西部地区と海域に賦存している。
エネルギー・電力消費量は世界一、エネルギー構造改革を推進
近年の経済発展によりエネルギー消費量は驚異的な伸びを示しており、2009年以降、国内炭の価格高騰により、輸入炭が増えていたが、2014年以降、経済成長が鈍化し、国内炭は生産量と価格が前年度と比べマイナスを拡大、輸入量も1割減少となった。2014年の一次エネルギー消費量は42.6億標準炭トンと世界一であった。中長期的にエネルギー確保や雇用維持の観点から石炭を中心とする構造を維持しながらも石炭の比率低下への取り組みが進み、産業の構造転換や環境問題の解決を目標として掲げている。

2014年の年間消費電力量は5.56兆kWhで世界一となっている。発電の中心は火力で、全発電設備容量13.7億kW(2014年末時点)のうち火力は9.24億kWで、全体の67.4%を占め、そのほとんどが石炭火力である。
石炭火力発電の高効率化、クリーン化へ取り組み強化
火力発電所に加えて、重工業の発展、自動車の普及、都市化の進展に伴って、中国では大気汚染や酸性雨などの公害が深刻化している。

これら環境問題に加えて地球温暖化にも対処するため、中央政府は2012年の全国人民代表大会(全人代)で、環境にやさしい社会の構築を掲げ、省エネを進めるとともに、原子力や再生可能エネルギー(以下再エネ)の開発を推進すると発表した。「国民経済・社会発展第十二次五か年計画」(※)(2011~2015年)でも環境対策の強化が継承されている。「エネルギー発展第十二次五か年計画」(2011~2015年)では、石炭・石油開発、シェールガス開発を推進するとともに、再エネ、環境に優しい石炭火力発電所、ガス火力発電所の開発などが盛り込まれている。「石炭火力発電高効率化排出削減向上改造行動計画(2014-2020)」(2014.9)では、東部地区において石炭火力の新設を原則禁止することと、新設ユニットの熱効率をkWhあたり300g(標準炭)以下とすること、既設発電所の汚染物質排出量にも新規制を適用した設備改造を要求している。応じない場合、2020年に強制的に廃止させると示唆した。

一方、シェールガスは、米国での大規模開発を受けて、豊富な埋蔵量を誇る中国でも開発を進めることとされているが、地下水汚染など新たな環境負荷が生じる恐れがあることから産業化は時期尚早と見られている。

発電分野では、これらの施策は実現に向かっており、発電設備に占める火力の割合は2007年以降減少傾向を示す一方、再エネと原子力の割合は増加傾向にある。

省エネでは、政府は「エネルギー発展第十二次五カ年計画」で、2015年には一次エネルギー総消費量を40億標準炭トンと、2010年の32.5億標準炭トンに対して平均年率4.5%の増加に抑制するとしている。国内総生産(GDP)1万元あたりのエネルギー消費量については、2010年の0.81標準炭トンを16%削減し、2015年には0.68標準炭トンにするとしている。

※「国民経済・社会発展第○○次5カ年計画」は「5年間における国の運営に関する基本方針を示しもので、開始年の3月に開催される全国人民代表大会(日本の国会に相当)で承認される。略して、第○○次5カ年計画」と呼ばれる。

2. 地球温暖化防止政策動向

CO2排出量も世界一:自主削減目標を設定、排出権取引市場対象拡大へ
中国はエネルギー消費の増大に伴い、CO2排出量が急増し、2007年には60.3億トンと、米国の57.6億トンを抜いて世界最大の排出国となり、2012年は82.1億トンとなった。CO2総排出量の50%近くを発電が占める。

気候変動問題については、2014年11月に北京で開催されたAPEC首脳会議で、温室効果ガス排出量を2030年前後にピークとし、2030年には非化石エネルギーの一次エネルギー消費に占める比率を20%前後とする方針が示された。

2015年11~12月にパリで開催された、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、2020年までに単位GDP当り排出量を2005年比40~50%削減(2014年実績は33.7%)、一次エネルギーに占める非化石エネルギー比率を15%(同11.2%)、森林面積の増加などを国際社会に表明した。そのため、約200億元(約4,000億円)規模の「中国気候変動南南基金」を設立するとした。

深圳市をはじめ、全国7カ所(深圳市、北京市、天津市、上海市、広東省、湖北省、重慶市)では、2013年6月から、温室効果ガス排出取引市場が試験的導入されている。政府は、2017年には全国に拡大するとしており、市場規模は30~40億トン、取引額は80億元と世界第2位規模の市場になると見込まれている。

3. 再生可能エネルギー導入政策・動向

再生可能エネルギー開発を積極的に推進
中国には豊富な再生可能エネルギー(以下再エネ)が存在する。再エネを活用するため、政府は「再生可能エネルギー法」(2006年、以下再エネ法)に続いて、「再生可能エネルギー中長期発展計画」(2007年)、「再生可能エネルギー発展第十一次五カ年計画」(2008年)を発表している。

2012年には、「再生可能エネルギー発展第十二次五カ年計画」(以下「再エネ十二・五」)が発表され、①賦存量の大きい水力と風力を重点的に開発する、②2015年までに再エネの年間利用量を4.78億標準炭トンとし、一次エネルギー消費量に占める比率を9.5%に引き上げる、③2011~2015年に、新規開発する再エネ発電設備容量を1.6億kW(大規模水力6,100万kW、風力7,000万kW、太陽光2,000万kW、バイオマス750万kWなど)とし、発電電力量に占める再エネの比率を20%以上とする、④化石燃料の代替として再エネを開発する、⑤マイクログリッドを整備し、分散型の再エネ発電設備を積極的に導入する等が目標として掲げられた。目標どおり開発が行われると、2015年末時点で一般水力2億6,000万kW、風力1億kW、太陽光2,100万kW、バイオマス1,300万kW(うち農産物800万kW、メタン200万kW、ゴミ焼却300万kW)となる。

なお、水力については1,000万kW級の大規模発電所10カ所、陸上風力については内蒙古自治区を始め8つの省・自治区に1,000万kW規模の風力発電基地を9カ所(総設備容量約1.2億kW)建設するとともに、中・小型風力、海上風力も積極的に開発していくとしている。海上風力は東部沿海部で開発を進めるとしている。

発電事業者への再生可能エネルギーの強制的割当制度(RPS)では、保有する設備容量が500万kW以上の事業者に対し、再生可能エネルギー発電設備の比率を2010年の3%から2020年に8%以上とする義務が課されている。送電配電事業者には再エネによる電力を全量買取ることを義務づけ、政府は買取価格や、「全量購入に関する監督管理方法」、「省エネ発電指令方法」など制度面で支援している。
風力開発:世界一の規模
風力資源も豊富であり、気象局のデータによると、開発可能容量は24億kW(陸上のみ)とされている。設置ベースでみると、発電設備容量は2005年に186万kWであったものが、2015年には10,553万kWと10年間で56倍以上となった。
太陽光発電の導入量はドイツを抜く
2015年末の太陽光発電の累積設置容量は4,158万kW(速報値)で、世界第1位のドイツを抜いたとされる。これには政府の支援策が大きく寄与している。政府は2009年、太陽光発電のモデル事業を推進するために「金太陽モデルプロジェクト実施に関する通知」を発表し、財政支援などによって、大型工業・商業施設、公共機関、未電化の辺境地区などで太陽光発電モデル事業を重点的に支援している。一方、太陽光発電機器メーカーの生産過剰により、海外に安くパネルを販売、欧米ではダンピングの疑いで課税などの貿易問題を引き起こしている。

4. 原子力開発動向

外国からの技術導入で商業開発:大規模開発を計画
中国は、フランス、ロシア、米国、日本などの技術を導入しながら国内メーカーの技術力を高めていくという政府の方針の下、原子力発電開発を積極的に進めてきた。2015年末時点で、30基(2,836万kW)が運転中であるが、総発電設備容量に占める比率は1.9%となっている。原子炉の炉型はCANDU炉2基を除きすべて加圧水型軽水炉(PWR)である。

中国は大気汚染問題や地球環境問題への対応などから、石炭火力の代替電源として今後も原子力開発を積極的に開発する方針を打ち出している。政府は2014年11月、「エネルギー戦略行動計画」を発表し、2015年までに運転中4,000万kW、建設中2000万kW以上、2020年には運転中5,800万kW、建設中3,000万kWにするという目標を掲げた。

中国は今後、原則として、第三世代炉と同等以上の安全性を有する原子炉を建設していく方針である。2014年には、海外の技術を取り入れた、「華龍1号」を呼ばれる国産原子炉の基本設計を完了し、福建省の福清原子力発電所の5,6号に採用されることになった。一方、内陸部にある大河川や湖沼近傍に立地する原子力発電所の開発計画は、福島事故を受けて、2015年末時点ではまだ凍結されているが、2016年以降に開発の動きが活発化するとみられている。
原子力の海外進出を活発化
活発な開発により国内メーカーは実力をつけており、海外進出に積極的になっている。現在、アルゼンチンや、イギリス、ルーマニアの原子力プロジェクトの開発・建設への合意を取り付けている。海外進出のために国内の原子力事業者のM&Aも活発化、事業拡大ための資金調達を国内外の株式市場からも調達するようになった。

5.電源開発状況

石炭火力が中心:原子力、再エネ、ガス火力も開発推進
電源の中心は石炭火力であるが、近年は原子力、再エネ、ガス火力の開発が進められている。「エネルギー発展第十二次五カ年計画」では、総発電設備容量は2015年には14.9億kWになるとされている。内訳は火力9.6億kW(ガス火力は含まない)、水力2.9億kW、原子力4,000万kW、ガス火力5,600万kW、風力1億kW、太陽光は2,100万kWなどとなっている。2010年と比較すると、太陽光は平均年率89.5%、原子力と風力は同25%以上増えることになる。火力発電については年率7.8%の伸びにとどまり、全発電設備容量に占める火力比率は2010年に約73%であったものが2015年には65%になるとされている。一方、環境問題への取組みとして、老朽化した低効率の小火力の廃棄を推進している。また、石炭火力に対する排出基準の改訂が行われ、脱硫設備に加え、脱硝設備の設置が義務付けられている。
急ピッチで進む送電網整備
中国は、石炭資源の76%、水力資源の80%が中・西部に偏在し、電力需要地は東部沿海地域および広東省広州市を中心とした珠江デルタ周辺に全電力需要の70%以上が集中している。

このため、中・西部で開発される大型の火力発電所と水力発電所の電力を、できるだけロスを少なくして長距離輸送するため、UHV(超々高圧)送電線(1,000kV交流、±800kV直流)の建設が積極的に行われている。国家電網公司と中国南方電網有限責任公司(以下、南方電網公司)は、2020年までに各区域間の送電容量を3億kWに拡大する計画を打出している。特に、国家電網公司は、2020年までにUHV送電線10~15ルートを建設するとしている。

2014年度の電力部門の投資額は、前年とほぼ同じ7,805億元で、そのうち流通設備への投資額は6.82%増の4,119億元となった。2014年末時点で、35kV以上送電線の亘長は162.8万㎞、そのうち、交流750kVと1,000kVはそれぞれ13,881㎞と3,111㎞、直流±800kVは10,132㎞となっている。

近年は、再生可能エネルギー導入促進により、大型の風力、太陽光発電所の運開に合わせ、再生可能エネルギー系統連系するための送電プロジェクトの建設が進んでいる。国家電網公司は、2015年の1年間で293.6億元を投じ、約26,886km(330kV以下)の送電線を建設したとしている。

6. 電気事業体制

国家直営から国有企業化、さらに発電と送配電の分社化を実施
1949年に中華人民共和国が成立してから、電気事業は国の直営であったが、1997年に、中央政府の電気事業運営部門が、国有企業である「国家電力公司」として独立し、発電から送配電までを担う垂直統合型の電力会社が誕生し、政治機能と企業機能を分離するという、いわゆる「政企分離」が行われた。

さらに、中央政府は2002年末、発電部門と送配電部門を分離し、国家電力公司を送配電事業を営む国家電網公司と南方電網公司の2社と、発電事業を営む5大発電会社(中国華能集団公司、中国大唐集団公司、中国華電集団公司、中国国電集団公司、中国電力投資集団公司)に分割した。これら7社はいずれも中央政府が管理する国有企業(中央企業と呼ばれる)である。

送配電会社2社は、原則としてピーク対応以外の電源を保有しないことになっている。中国の31省のうち、南方電網公司が管轄する南部5省(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、雲南省、海南省)を除く26省が国家電網公司の管轄区域である。国家電網公司と南方電網公司は、発電会社から電力を購入し、傘下省電力公司が管轄する市・県にある配電会社を通じて需要家へ電力を供給している。なお、陝西省や内蒙古自治区西部には、国家電網公司に属さない、省政府が所有する送配電会社がある。

5大発電所会社は全国各地に発電所を保有しており、いわゆる地域割という形はとられていない。

一方、発電事業者は、5大発電会社のほかに、中央政府が管理する国有企業や地方政府が保有する発電会社、民間、外資など3,800社余りが存在するが、そのほとんどは小規模事業者で、500万kW以上の設備を有する事業者は20社足らずである。
電力体制改革を再起動
中国政府は2015年3月、「電力体制改革の更なる深化に関するガイドライン」を発表し、2002年に続いて電力体制を改革するという方針を打ち出した。今回の改革の目玉は、電気料金と電力取引の自由化(市場化)で、小売事業や電気事業への民間資本参入を促している。

この改革は、「第十三次5カ年計画」の期間である2016 ~2020年の5年間をかけて行うとされる。電気料金改革は、広東省深圳市、内蒙古自治区西部、安徽省、湖北省、寧夏回族自治区、雲南省、貴州省での試行を経て全国に拡大される。電力小売り改革については、全国各地で地方政府、国家電網など傘下の配電会社、発電会社、民間企業などが小売り会社を続々と設立しており、2015年12月末で146社が登録されている。ただし、これら小売会社の事業の中味については、まだ明らかになっていない点が多い。

現在までの卸電気料金および需要家への小売電気料金は、政府による規制料金で、省ごとに決められている。特に、家庭用料金については、内陸部の経済的に遅れた省では東部沿岸部に比べ、比較的安く設定されている。このように、電気料金は政策的に決められてきたことから、今回の電力体制改革で、いかに市場を活用して合理的な電気料金を設定していくかが重要であるといわれている。

電力供給体制

(2016 年1 月更新)

各国の電気事業 韓国へ

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